2010年8月31日火曜日

Vol.52 出会い -4-4

妖艶な上目使いで神山の目を見て言ってきた
神山は吸い込まれそうになったので ちょっとだけ目をそらした
祥子はそれを見ていた
「やっぱり 神山さんは私なんかよりいい人が居るんだ」
「いや そんな事は無いよ 今は空家ですよ」
「うそばっかり でもいいや 今夜はわたしのものだもん」
また咥え込もうとされたが
「今度は 僕の番だよ さあここに座って」
バスタブの横がちょうど一人が座れるようになっていた
祥子をそこに座らせ足を広げさせた
神山は祥子のクリトリスを優しくそして時には強く愛撫した
「ねえ もうだめ 私すぐにのぼせてしまうの だから勘弁して」
「ねぇ~ バスタブにつかりましょ お願いだからやめて」
神山は愛撫する事を止め 祥子と一緒に湯につかった 
ジャグジーの泡が心地いいなかで二人は戯れた


4月5日 日曜日 曇り

目覚ましが勢いよく鳴り始めて目をさました
横に祥子が居ないのでどうしたのか
頭をはっきりさせるとがっかりした
昨夜遅く自分の家に戻った事をすっかり忘れていた

バスから上がると ビールを呑みながら祥子が
「ねえ 神山さん 持ってくる荷物ってどの位あるの?」
「うーん 多分夏物は持って来ないといけないだろうな」
「ふーん そうなんだ」
「なんで?」
「うん 私 明日実家に寄ってくるって言ったでしょ」
「うん」
「それはね 夏物を整理して こちらに運ぶ準備をしてくるの」
「そうか 突然だったものね」
「そうなの だから貴方の気持ちもよく判るわ
ねえ これから横浜に帰って支度をしたほうがいいんじゃない」
「うーん、、、」
「だって 上原の現場が始まれば 横浜に帰れないでしょ」
「それはそうだけれど」
神山は祥子と一緒に寝たいのと 横浜の支度と考えていた
それを見た祥子は
「だってこれから 嫌でも毎日顔を合わせる訳でしょ
だったら 今夜帰って 忘れ物が無いようにしたほうがいいわ」
神山は祥子の言うとおりと思い
「そうだね これから毎日会えるんだからね うん分かった」
神山は祥子にキスをして 帰り支度を済ませると
代々木上原のマンションからタクシーで横浜の自宅に帰ってきた

神山はまずシャワーを浴び 躰をシャッキとさせたあと
上原に持っていくものを 洋服など選択し紙袋に入れていった
10時が過ぎたころ横浜のアルタへ電話連絡をしたが
先方も事情を知らされていて話はスムーズに進んだ
「では 12時ころにそちらに向かいます」
「ええ お願いします」
詳細な住所を伝えると又 準備をしたが
どうしてもダンボールが必要になったので近くの八百屋へ向かった
時々いく八百屋のおばちゃんが理由を聞くと寂しそうに言った
「寂しいね 暫く合えなくなると」
「そんな 遠いところに行く訳ではないですし
すぐに 戻ってきますから」
神山はこのおばちゃんにレシピを教わり
上手に出来たものは試食をしてもらっていた
満足できるものは出来なかったが
いつも『美味しく出来ているよ』と言われ『嫁さん 要らないね』
などとも言われていた
ダンボール箱に靴などを丁寧に入れていると
約束の12時になってしまった
テレビのコンセントを抜いたりガスの元栓を
閉じたりしていると玄関のチャイムが鳴った
「アルタです こんにちわ」
「こんにちわ神山です どうもすみません」
「昨日 東京の高橋から電話がありお待ちしていました」
「それはどうもありがとう」
アルタの社員は名刺を差し出した
【アルタ横浜支店 支店長 田代純一】と印刷されていた





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