2010年8月19日木曜日

Vol.40 出会い -4-4

4月4日 土曜日 快晴
神山は明るい日差しで目が覚めたが 
一瞬ここがどこだか判断できなかった
ベッドの大きさや布団の違い 壁の大きなガラスなど気が付き
昨夜は祥子のマンションに泊まった事を思い出した
祥子は隣にはいなかった
キッチンのほうからお湯が沸いる音がした
しばらくしてコーヒーの香りが漂ってきた
祥子がマグカップを持って神山がいるベッドにやってきた
目を覚ましている神山を見て笑顔で
「ごめんなさい 目を覚ました?」
「いや 明るいので目が覚めてしまったから 今何時ですか」
「まだ7時です 神山さんもコーヒー飲まれますか?」
「うん 頂きます」
祥子は又 キッチンに行った
今朝の祥子は淡いピンクのシルクサテンのガウンを羽織っていた
神山のマグカップを持ってベッドに戻ってきた
「ハイ どうぞお召し上がれ」
そういうと ガウンのポケットから昨日のウイングスを出した
「コーヒーに合うかしら よろしかったら吸ってくださいね」
祥子はカフェ・クレームを取り出し ライターで火をつけた
ぴんと伸ばした人差し指と親指ではさんでふかしていた
「ああ 美味しいわ コーヒーとカフェ・クレームの組み合わせって」
「普段から 朝起きるとふかしているの?」
「ううん お休みの日とか 今朝のように気分がいい時だけですよ」
「羨ましい生活をしていますね」
「そうでもないですよ この様に自由に成れたのも先週からです」
「えっ どう言うことですか?」
「昨夜お話をしたホテルなんですが 結構厳しいのよ 朝食は何時
クリーニングは何曜日など決りごとが多くて 
学生の合宿生活みたいだったの」
「う~ん だけど逆に考えるとその方が便利じゃないですか」
「ええ 私も最初はそう思ったの」
「だけどね 急な出張の時なんかは お洋服をクリーニングに
出していなかったりとかで 慌てた事があったし そうそう
遅い出勤の時には モーニングサービスも頂けないとか、、、」
「それは 少し大変ですね」
「それだけではなくて もっと嫌な事があったの」
「なんですか 嫌な事って」
「今のように お休みの時にシガーをふかしていたの
それで お昼を食べるのに渋谷まで足を伸ばして 
美味しいラーメンを頂いたの 夕方 部屋に戻ってみると 
メモが置かれていたんです 凄いショックでした」
「誰のメモ」
「部屋を掃除してくれている おばちゃんなんだけど」
【男の人を連れ込んではいけません ふしだらです
ここでのお母さんは私ですから 今後気をつけなさい】
「このようにメモに書かれていたの 
多分このシガーの残り香りで判断したんだと思いますけどね」

祥子は今までの経緯を事細かに神山に報告していた
神山のほうは以前から知っている祥子がそんな悩みを
持っているとは全然気が付かなかった
勿論 その様な話をする機会も無かったし
今まで そんなに逢った記憶も無いから当然といえば当然だった
「だけど 筒井さんに全てを話したんです ホテルは嫌だって
そうしたら 親身になってこのマンションを探してくだっさたの」
「へー 筒井さん やるじゃないですか」
「奥様同伴で 探されてこのマンションに来られた時 奥様が一言
贅沢だわと 言われここの契約は一時保留になったの
だけど後になって 色々考慮するとここが一番私の希望している
イメージに近かったの 勿論 ホテルに居るより少し割高になるけど 
交通費とか色々考えて頂いてここになったそうですよ
あと 筒井さんの思惑の中にはきっと 
上原出店があるので近いので ホテルよりここの方が便利でしょ」
「あっ そうか~ それはそうだよね 
現場で緊急の時は久保さんが直ぐに助けに行けるものね」
「ええ 歩いて5分ですから 本当に大変な時は
直ぐにサポート出来ますよね ここに居ればの話ですけどね
それから本社が終わって帰り際にお手伝いも出来るし」
「なるほど 筒井さん先を読んでここに住まわせたんだね」
「え~ 確かにお家賃は高いかもしれませんけど 
付加価値があるからここになったと思いますよ きっと」





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