2010年8月10日火曜日

Vol.31 出会い -3-3

「今日 集まって頂いたのは 神山課長のことです」
倉元や杉田は知っていたが 奥村の言葉を聴いていた
「実は 我が社と協力関係にあるニーナ・ニーナさんが 近いうちに
新店舗を出店しますが一つ問題が出てきて 神山課長の力を
お借りしたいと申し出がありました この申し出は施工業者の
アルタさんからも是非 神山課長の力がどうしても必要と言われ
催事課として果たして正常な 機能を果たせるかと考えましたが
残る倉元部長と杉田係長が 条件付で承諾して頂き決定しました
決定内容は 出向社員で勤務先は代々木上原事務所です
その条件はお中元装飾まで銀座店の現場も見るという事です
まあ 二束の草鞋です 以上です なにかありますか
それから 明日10時に全員に伝えますので 遅れないように」
倉元と杉田は予め聞いていたんで 質問は無かったが
催事課課員の動向を把握している由香里は色々と考え質問した
「出退勤のことやお休みの件はどうされるんですか?」
「うん この出向については本社サイドが言うのに 
対外的なことを考え合わすと 部長職出向と考えるそうだ
だから 部長と同様の扱いになる まあ自分で管理になるね」
「それで いつからですか?」
「うん まだ公にしないでくれ でも、、、業者の事があるか」
「おう そうだぞ業者には早めに翔を売り込んでおかないと」
「そうですね じゃ社内には秘密で お願いします
4月6日月曜日9時15分人事辞令です うちの秘書課ね」
「へぇー 山ちゃんが出向になるんだぁー」
由香里は先ほど神山が心配そうに話していた事が 自身の出向とは
なんだか割り切れない気持ちだった
今頃は上野店の滝川恵美と話しているので 教えたい気持ちで
一杯になったが 直にきいて貰った方がいいと思った

会議が終わると倉元は奥村に
「おう 奥ちゃん これから業者さんに電話をして 月曜日の朝
ここに来て貰うのはどうだ さっきの引継ぎの件もあるし」
「うーん そうしましょう 山ちゃんに一言お願いして 
翔のことも売り込んで貰わないといけないですからね」
「一応 この部屋に入るくらいの人を呼べばいいな」
「ええ お願いできますか」
「おう そうしたらこれから電話をして9時30分でいいか」
「ええ 挨拶が終わったらみんな帰るでしょうから 
その時間でいいと思います かえってお昼に来られると大変です」
「それからお祝いはどうするんだ 出向部長とはいえ部長だからな」
「由香里ちゃん ちょっときてくれ」
奥村は席で計算をしている斉藤由香里を呼んだ
「なんですか?」
「ほら 山ちゃんのお祝い会の事なんだけれど いくら余っている」
「ああ えーっと まだ10万円くらい有りますよ」
「そうか そうしたら 倉さんどうでしょうか ここでするのは」
「うん そうするか」
「築地からお寿司を取り寄せて酒を買えばそんなものだと思いますよ」
「うん 分かった で いつにする」
「明日 市川が出てくるので スケジュールを早急に決めますよ」
「うん 頼んだぞ 余り遅いと 有難味が薄れるからな」
「そうそう 僕の場合がそうだったんですよ よく判ります はい」
倉元は席に戻ると普段余り顔を見せない業者を中心に電話をした
中にはどの位包んできたらいいか訪ねる業者も居たが 倉元は
部長昇進という常識の範囲でお願いすると伝え 金額は言わなかった

斉藤由香里が管理しているお金は このようにお祝い事があると
業者から催事課にくるお金もあった
これを貯金し催事課の旅行や課員の冠婚葬祭等に使うようにしている


上野公園は平日なのに込み合っていた
上野店営繕課の若い課員は朝から場所とりで 出勤すると決められた
エリアのところに青いビニールシートで場所を確保していた
退社してくる仲間のために 一日中見張りをしなければいけなかった
今年は社員2名と業者の参加で3名応援に駆けつけてくれた
神山はサービス課の若い子を連れて 確保してあるところに行くと
もう 出来上がっていて 顔が真っ赤になっていた
「いらっしゃい 神山さん そしてサービス課のみなさん どうぞ」
「うん ありがとう もう直ぐ次の連中がくるだろう」
「ええ 早く来て欲しいですよ もう大変ですよ
でも 今年は彼らも手伝ってくれたんで 楽は楽でしたね」
「もうだいぶ出来上がっているね」
「ええ しかし課長や部長が来るまではしっかりしていないとね」





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