2010年8月8日日曜日

Vol.29 出会い -3-3

「失礼します さあ由香里さん お持ちしましたよ」
女将は由香里から頼まれたお好み寿司の盛り合わせを運んできた
「わぁー 美味しそうね さあ山ちゃん食べましょう」
神山も美味しそうな握りや巻物を食べ始めた

ゆっくりと食べたので部屋に戻ったのは14時を過ぎていた
神山は奥村に食後の挨拶を済ませると
「なんだー山ちゃん 今夜もお誘いが来ているよ いいなぁー
今 上野店サービス課の可愛い声した人から電話があった
内線を控えたから 大至急電話してくれないか」
神山は奥村に礼を言って席に戻ると 上野店の内線に架電した
「はい サービス課の百瀬です」
「銀座店の神山でーす こんにちわ」
「わぁー お久しぶりです お元気そうでなによりです
ところで お聞きになっていると思いますが 今夜は大丈夫ですか?」
「うん 参加させてもらいますよ」
「きゃぁー 嬉しいわ、、、参加だって、、、もしもし」
「どうしたの 周りがきゃぁーきゃぁーと騒がしいけれど」
「だって 誰が電話するかアミダで決めたんですよ だから私の周りには
神山さんのファンが一杯いるんですー」
「ははは ありがとう 昨日 亜紀さんに会ったよ 変わらず美人だ」
「ええ 全部情報は入っていますよ 泣いている赤ちゃんを抱いたら
ピタリと泣き止んだ事まで」
「おいおい そんな事まで入っているのか 参ったなぁー ははは」
「それで神山さーん 私達数名は早帰りなんです だからデートしましょ」
「うん いいよ 何時にどこだ」
「フレックスタイムでしょ そうすると4時30分にはこちらに
来ていただく事が可能ですよね」
「うん しかし5時にしよう そうすれば大丈夫だ」
「はーい そうしたら5時にうちの前にある木村屋さんの3階に
パーラーがあるでしょ そこでお待ちしています」
「うん 分かった 木村屋の3階だね じゃあ頼みます」
「はーい お願いしまーす」

電話を置くと隣の杉田が神山に                                
「いいですね 女の子に囲まれて 羨ましいなぁー」
「ははは お仕事 お仕事ですよ さて 翔 何をしているんだ
店外催事の図面なんか開いて 店外やりたいのか いいぞ」
「べっ、べんきょう しているんですよ ねえ そのうちにと思い」
「うん 偉い 何事もそう前向きじゃないと 駄目だぞ」
タイミングよく倉元が杉田に
「おう 翔 どんどん教えてもらえよ」
「はっ、はい 教えてもらいます」
この時 神山は翔が何か隠していると感じるものがあった

神山は余計な詮索をせずに 仕事に集中する事を決め書類の整理を
始めた時に 奥村の直通電話に入電があり由香里がでた
電話は市川からで 由香里は驚いたが奥村に替わった
奥村は頷いて話を聞いていたが 
「分かった なら明日は定刻どおり出勤だな うん分かったじゃあ」
そういうと何事も無かったように 受話器を戻し書類に目をやった

神山は市川のことを倉元が知っていると思い聴いてみると
「おう 市川君は山ちゃんの同期だったな 心配するのは分かるが明日だ」
神山は礼を言って席に戻り業者や売り場と連絡をしたり書類の整理をした
(うーん 何かが動いているが 市川だとアルタは関係ないし、、、)
書類を整理していても アルタと筒井の事が頭から離れなかった
暫くして腕時計を覗いてみると16時30分を指していたので
奥村課長に進言をした
「奥ちゃん そろそろ上野にいくので すみませんが」
「やあいいなぁー 可愛い子ちゃんと花見か 行きたいなぁー」
「ははは いいですよ 後で来てくださいよ」
「それは冗談として 明日は10時に来てください」
「えっ だって明日は休みを入れてあるんですが、、、」
「おう 山ちゃん 明日は大事な話があるんだとさ 俺も来るんだよ」
「はい 10時でいいですね」
「うん 頼みます」
神山はスキットしない気分だったが 倉元がああ言うので我慢した
「じゃ翔 なにかあったら携帯電話までな 頼んだよ 倉さんそれでは」
「おう 一杯呑んでこいや」
「では」





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