2010年8月25日水曜日

Vol.46 出会い -4-4

って事は 知らなかったのは自分だけと気が付き
先日からの動きは 誰でもない自分だったのだと がっかりした

部屋を出て席に戻る時 神山は翔を捕まえて
「翔 この事を知ったのは いつだよ」
「ええ 昨日ですよ ほんと僕もびっくりですよ」
「なあ あんなに心配したのが 自分だもんなー」
「よかったですね 部長でしょ いいなぁー」
「ははは 戻ってくれば課長だよ」
「いいじゃないですか それでも」
「ははは そうだな」
すれ違いに市川が奥村の待つ会議室に呼ばれ入っていった

神山は早速 アルタの佐藤部長に電話をした
「銀座の神山ですが 佐藤部長をお願いします」
「佐藤です おめでとうございます」
「ははは 参ったなぁー おはようございます
今 課長から聞きました こちらこそお願いします」
「いやぁー 山ちゃんが来てくれたら安心だよ 助かったよ
本当にお礼を申し上げます ありがとう」
「いやいや そんな ところで引越しとか 荷物を運ぶとか
そんな話が出ていると言うのですが」
「うん 備品類を横浜から運ぶんだよ それでね折角だから
山ちゃんの荷物も 一緒に運びましょうって段取りです」
「はぁー 凄いですね 本人が知らない間に そこまで進んで」
「まあ山ちゃんの事だから 断るわけは無いし それで進めたのさ」
「そうしたら いつですか」
「明日のお昼ごろは如何ですか?」
「もう 如何ですかじゃなくて もう決まっているんでしょ もう」
「ははは その通り なのでお電話をしてお昼に横浜が伺いますよ」
「はい そうするととりあえずの物しか 運べないですね」
「今回はそうですが これからは横浜を使ってください」
「はい では明日お電話を待っています」

神山はアルタとの連絡を終えると ニーナ・ニーナの筒井に電話をした
「参りましたよ 知らないところ話が進んでいました」
「ははは これでようやく おめでとうと言えるね        
先ほどは その事だと思って 先走りしてしまったよ」
「そうだったんですか いや僕のほうは別件なんですよ
その件は後でお話しますが 上原のどこですか?」
「うん しゃれた小さなマンションだよ それでお昼に会うとき
地図とキーカードを渡すよ」
「はい ありがとうございます」
「現場にも近いし 銀座にも近いし 非常に便利なところだよ」
「ええ 銀座の現場にすぐに入れると聞きました」
「ははは まあ 最初は仕方ないさ 上原の場合多少図面は
進んでいるんだよ でもそこからが山ちゃんの力が欲しいんだ」
「はい 喜んで参加させて頂きますよ で オープンはいつですか」
「うん 5月の半ばか6月の初めですね お願いしますね」
「はい ではお昼に」

12時30分を過ぎた時 倉元が奥村と由香里を連れて食事に行った
筒井との待ち合わせのホテルは
ここから歩いて5分のところに在るのでゆっくりと外出した
そのホテルの2階は軽食から本格的な食事も出来るところだった
周りを見渡せばビジネスマン等の打ち合わせや
濃厚な化粧をした婦人達が多かった
近くに銀座歌舞伎座があるせいか 
ここは何時もお化粧の匂いが漂っているところだった
13時少し前に筒井がエスカレーターで上がって来るのが見えた
周りを見渡し探している様子なので手を上げて答えた
「やあ 暫く 部長 おめでとう」
「いえいえ まだです それよりすみません お忙しいところ」
「そんなに 忙しくないよ ひまで困っているよ」
「ところで どうする 昼飯」
「う~ん 実はまだなんですよ」
「そうか 何食べようか 今日はご馳走するよ」
「えっ 本当ですか ご馳走様です」
「そうしたら えびかつカレーランチにしてもいいですか」
「うん それ2人前頼もう それと生ビール2つ」
神山は言われた通りにウエイターに伝えると
すぐに生ビールとおつまみのチーズがきた
神山はカレーセットを少し後に延ばす事を伝えた
「そうそう 呑む前にこれを渡しておくよ はいこれ」





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