2010年8月11日水曜日

Vol.32 出会い -3-3

「うん いくらお祭りでもな そこは呑んでも呑まれるな」
「神山さんはゆっくり出来るんでしょ」
「ああ そのつもりだよ」
「そうしたら 先日のカラオケに行きましょうよ」
「ははは 700点か」
「ええ ほらサービス課の子を誘って 行きませんか」
「なんだ そっちの話か あのさ滝川さんもいるだろどうするんだ」
「またまた 神山さんが滝川さんと一緒になって貰って
ほら判るでしょ ねっ お願いしますよ」
「おいおい 俺が良くても先方だって選ぶ権利があるんだぞ」
「そこを何とか 年に一回しかない 営繕課とサービス課のために」
「まあ 分かったよ 様子を見ながらな」
「やっぱり神山先輩だ」
「何が先輩だよ 都合のいい時だけだろ まったく ははは」

神山も営繕課の連中と呑み始めると 第2陣がやってきて
宴会の輪がだんだんと 大きく広がっていった
20時を過ぎる辺りになると 課長連中や部長が参加して
宴会はピークになり賑わいが最高潮になった
神山は人気者で サービス課の若い女の子に呼ばれたり
昔の部課長に呼ばれたり 色々と気を使ってくたびれてきた
「せんぱーい 呑みましょうよ 全然しらふですよ」
「そうかなー もうだいぶ呑んでいるぞ」
「駄目ですよ 呑んでくださいよ 折角参加してくれたんでしょ」
神山は進められるままに 呑んでいたが 若いのと一緒だと
ペースが早く 滝川さん所ではなくなると思った
神山は滝川を見てみると 部課長の相手をしているので
少し複雑な思いがしたが 滝川の事を好きに成った事が無いので
このままでもいいかと思うようになった
この頃になると大きな輪と小さな輪が出来て 仲間の輪が出来る
神山は業者が小さな輪で ひっそりと呑んでいるので 参加した
「やあ 今日はお疲れ様 大変だったでしょ」
「神山さんお久しぶりです 元気そうですね」
「まあね 先日ネコと久しぶりに呑んだんだ」
「ははは 聞きましたよ 又 寝過ごしたって」
「早い そうなんだよ それで次の日もネコちゃんところで呑んだ」
「もう神山さんは呑んでも暴れる人じゃないからいいですよね 
呑みすぎると電車で旅行しちゃうから 安心ですよ」
「おいおい 何が安心だよ こっちの身にもなってくれ
でも少しでも寝ると 酒が抜けるからいいな 寝ないと駄目だ」
「今夜はまた熱海ですか」
「もう 今夜は横浜に帰るよ 毎日横浜を通過してどうする」
二人は大笑いしながら 呑んだ

神山はサービス課の女性軍を見るが 部課長の相手をしているので
幹事に先に失礼すると話し 宴会の輪から出た
歩いているとどこの宴会場でも男女が仲良く酒を酌み交わし
愚痴や励ましなど 楽しい時間を過ごしているようだった

まだ寒い日が続いているが 今夜は少し暖かく気持ちが良かった
神山は今夜は寝ないで横浜で下車しようと心にきめ
東京駅のキオスクでビールを買うのは止めようと思った
そろそろ大通りに出るところで 見かけた女性を発見した
(あれっ ニーナ・ニーナの久保さんじゃないか 花見かな)
神山は誘いたい気持ちと 帰りたい気持ちを天秤にかけた
誘いたい気持ちが働き 声をかけることにした


4月3日26時 代々木上原

「お待たせしました お部屋を片付けてきました」
「あっ どうもありがとうございます
今 夜景を楽しんでいたところです 綺麗ですね
こんな時間なのに高層ビルの照明が何ともファンタジーですね」
「素適でしょ 私この眺めが良くてこちらに決めさせて頂いたの」
「いいですよね 疲れて帰ってきたとき 素適な夜景を見ると」
「私の部屋のほうが まだ良く見渡せますよ」
「楽しみですね」
久保祥子は白のTシャツにスリムなジーンズに着替えていた
Tシャツになると一段と胸のふくらみが増したように思えた

エレベータは6階で止まった 扉が開いた
神山は又 驚いた
正面には 総ガラスがありそこから夜景を楽しむ事が出来るのだ





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