2010年8月24日火曜日

Vol.45 出会い -4-4

倉元は神山が外出しやすいように演出してくれた
(倉さん ありがとさんです)
そんな話しをしている時に催事課長の奥村が部屋に戻ってきた

「倉さん 店長すごく喜んでいましたよ
例の2階と3階の飾り付けについて べたほめですよ
やあ 山ちゃんも来ていたのか 店長喜んでいたぜ 
さすが神山君だ イメージどおりだって」
「おはようございます そんなに喜んでもらうと後が怖いですね」
「だけど 良かったじゃないか そうそう奥ちゃん 
今日の昼だけど空いていたら築地の寿司どうかね 久しぶりに」
「そうですね 今日は会議が無いし ちょっと羽を伸ばしますか」

暫くすると10時になり奥村課長がみんなをテーブルに集めた
「すんません 忙しいところ しかし市川君がまだ来ていないな」
由香里が
「課長 先に進めましょうよ 事後でも構わないでしょ」
奥村は暫く考えて
「うん そうしましょう 実はこの度」
この時 催事課の部屋に市川が申し訳なさそうに入ってきた
「おお 市川君 少し遅いぞ まあ話は後だ こっちに来てくれ
これで全員集まったね では最初から」

奥村はニーナ・ニーナジャパンの上原出店に伴う神山課長の
出向人事を正式に発表した
「山ちゃん 4月6日の9時15分に銀座店秘書課で人事発令が
行われるので 遅刻しないように いいね」
「っていうと 上原が終わったら また普通の課長ですか?」
「ははは それは分からないよ 本社が決める事だから」
由香里がニコニコしながら
「よかったわね 部長さん」
「しかし 課長部長だろ あんまり嬉しくないよ」
人事の話がひと段落すると 奥村はデザイナー3人を呼び
「あちらの会議室まで お願いします」
4人は会議室に入ると奥村が
「山ちゃん 実は上原の出店だけではなく 御殿場も見て欲しい」
「えっ だってまだ来秋か次の春でしょ それだって分からないし」
「うん でもその方がいいんだよ 御殿場は最初から
プロジェクトに入ってもらいたいんだ」
「そうすると 銀座はどうするんですか?」
「うん そのために山ちゃんの 新しい事務所兼住居を借りた」
「えっ 事務所兼住居、、、横浜はどうするんですか」
「うん そこだが行ったり来たりになるな 悪いけれど」
「えっー そんな、、、でも決まった事で 進んでいるんですよね」
「うん 進んでいる」
神山は突然の出来事にパニックになったが 気を落ち着かせ
「新しい処はどこですか?」
「上原の現場近くだよ 歩いても5分のところだ」
神山は内心喜んだ
(よし これで祥子さんと毎日逢えるぞー)
「それでそこへ行くのはいつからですか?」
「うん 直ぐにでも行って貰いたいんだ しかし山ちゃん
悪いけれど 中元の飾りつけは 何とか手を貸して欲しいんだ」
「勿論大丈夫ですよ そんな手を貸すなんて ここの人間ですよ」
「うん あんがとさん ところで翔」
「はい」
「どうだ 少しは勉強したか?」
「ええ でも先輩がいないと体が足りません」
「おいおい いまからそんな弱音を吐いてどうする」
「おう 翔 弱音は後で吐けよ 今は頑張るしかないだろ
評価は別として実際に出来たじゃないか
一昨年の事はそれとして これから失敗しないようにすればいい」
「はい」
杉田は神山が来る前のお歳暮とお正月飾りを任されたが
肝心なところで デザイン力不足が指摘さて 苦い思いをした
「なあ翔 分からない事があったら何でも聞けよ いいな」
「はい 先輩 分かりました」
「それで 対外的にも御殿場の話はオフレコです いいですね」
全員が頷くと奥村は
「さあ これで円満に解決したね 山ちゃん 後でニーナ・ニーナの
筒井さんと連絡を取って 入居先のことを確認 それと
アルタの佐藤部長と連絡を取って 荷物の運搬などを確認な」
「はい 分かりました」
神山はこれで先ほど筒井が『おめでとう』と言った訳が分かった





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