2010年8月9日月曜日

Vol.30 出会い -3-3

神山は催事課の部屋を出ると 少し釈然としなかったが 明日には
色々な事が分かると思い これからの楽しみを期待し有楽町駅まで
大急ぎで歩いていった


「やあ お待たせしましたー」
「きゃぁー 神山さんだわ いらっしゃーい」
「わぁー えーっと 凄いなぁー こんなに集まって」
「神山さん こんばんわ いらっしゃい」
「お久しぶりです 滝川さんまで 大丈夫ですか、、、」
「大丈夫よ まだまだ頼りになる子が一杯居るから 安心よ」
神山は上野鈴や向かいにある 木村屋3階のパーラーに着いた
木村屋は高級ブランドのファッションや小物を扱っているが
鈴やと競合しないよう ターゲットを若者中心に品揃えしている
特に若い女性に人気があり 鈴やの社員にも評判はよかった
1、2階が店舗で3階がパーラー4階がレストランという構成だ
4階のレストランはどちらかと言えば洋食屋に近く 味があっさりで
メニューが豊富なところが 女性に人気がある一因になっている

「神山さーん こっちのテーブルにも来てー ほら新人さんよ」
「そうよ 神山さんを一目見たくて来たんだから 早くぅー」
「はいはい ちょっと待っていてね 直ぐにいくよー」
「神山さん いつまでも人気者ね 羨ましいわ」
「そんな 滝川さんだってまだまだ美しいですよ ほんと」
「ふふふ いつもお上手ね でも大変ね銀座の催事課」
「ああ 由香里姫から聞いたんですね ええ 何かが動いていて
僕自身良く分からないんですよ でも明日朝に何かが分かります」
「そう でも考えても仕方ないから楽しみましょうよ」
「ははは さすが関東一の切れものですね 早いや」
「まあ 褒めて頂いても ここは神山さんのお勘定よ」
「えっー まあ仕方ないですね では子供のところに行ってきます」
「ふふふ はい どうぞ」
「お待たせしました 百瀬さん先ほどは綺麗な声でありがとう
うちの奥村課長が とても綺麗な声だって褒めていたよ」
「ほんとですかぁー 逆に妬まれたんじゃないんですか?」
「なぜ分かるの そのとおり 妬まれたよ
だけど 声の綺麗さは 凄い褒めていたぞ あれは本音だ」    
「まぁ しかし ねぇ 奈々子 声を褒められてもねぇー」
「そうそう この美貌を褒めてくれたら 奥村さんのファンになる」
「そうよね 若い美貌を見ずして美人を語る事無かれ あれぇ」
「ははは 伝えておくよ 名言だ」
「ねえー 神山さん この子が陽子ちゃん その子が麻衣子ちゃん」
「陽子でーす お願いしまーす ふふふ」
「私は麻衣子です よろしくでーす」
「おー 若くてピチピチしているね ほんと凄い」
その時 百瀬ゆうこが人差し指を口に当てると 神山は頷いて
「さあ 僕は向こうに戻るよ」
ゆうこは何も言わずにニコニコして頷いた

神山が滝川のテーブルに戻ると
「ねえ神山さん 市川さんがなにか可笑しいって聞いたんだけど」
「うーん よく判らないんですよ でも明日出勤するそうですよ」
「私生活の乱れで出勤できないなんて ちょっと危ないわね」
「まあそうですね」
神山は上野店の人間なのに何を心配しているのか分からなかった
自分が心配するなら分かるが それとも上野店に彼女が居るのか
「なにか新しい情報はあるんですか?」
「ううん ほら由香里さんから聞いた事だけだから、、、」
(そうか由香里さんが 色々と話を流しているのか、、、)
「まあ 明日になれば本人から聞く事も出来るし 課長も
そのつもりでいるんじゃないでしょうか」
神山と滝川はそこで話が切れると滝川恵美は
「ねえ 亜紀ちゃん元気でしたか?」
「ええ 全然変わらずに元気で 赤ちゃんも元気でしたよ」
「女の子の年子って大変だけれど 10年も我慢すれば 楽になるわ」
「ほんと 双子のように片方が泣けばもう片方も泣いていました
泣いた時に 抱っこをしてあげたんですよ そうしたらぴったと
泣き止んで もうこの子は僕の事好きなんだといって 大笑いです」
滝川は口に手を当てて大笑いした
「私が抱っこした時は泣き止まなかったわ おしめだったの」
二人はまた顔を見合わせて笑った


銀座店催事課では奥村がみんなを会議テーブルに集めた





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