お中元ギフトは7月からが最大のピークを迎えるが
5月に入るとギフトセンターを中心に段々と広くしていく
毎年の事だが5月の半ばにはデザインが決まっていないと
各業者に発注できないし スケジュールも組めなくなる
あと6月までに外商顧客中心のホテル催事が3本ある
「倉さん ホテル催事については どうでしょうか
山ちゃんが主になってやって貰えないでしょうか」
「うーん 上原の完成とぶつからなければいいがな、、、」
「上原は それでどこまで進んでいるんですか」
「うん 借りる事は借りる ただ家賃交渉をしていると言っていた」
「そうすると平面図はまだ出来ていないんですね」
「おう 内緒で図面を取り寄せて計画は進んでいると聞いた」
二人が沈黙をしていると ドアがたたかれ
「あのー 杉田ですが、、、」
「おう 筆記用具もって入れ」
「はい ただいま準備します」
杉田が部屋に入ると奥村が
「いいか 絶対に内緒だぞ」
「はい わかりました」
「おう 実は山ちゃんの仕事が増えたんだ それで君にも覚悟して
貰わないといけないんだよ いいかな」
杉田はきょとんとして 話を聞く事にした
「じつはな ニーナ・ニーナって知っているな あそこの
アンテナショップが 代々木上原に出来るんだ そこでだ
山ちゃんの力が必要になり 向こうの現場も見る事になった
しかし 銀座店は俺と君しか居なくなると困る わかるか」
「はい 充分すぎるくらい分かります」
「翔 そこで倉さんと話したんだが お中元の飾り付けや
現場仕事は翔に任せても デザインの段階の時には
山ちゃんに入って貰わないと無理だと思う どうだ」
「ええ その通りです まだまだ自分ひとりじゃ 無理があります」
「お中元のデザインだが 具体的にどこの範囲まで出来るかな」
「うーん 先輩が居なかった時を考えれば 出来ていましたが
反省会の時も言われたように あちこちで小さなミスが出ました
なので 現場も多少携わって頂いたほうが 集中できます」
「そうか そうだよな あの時 店長から小言を頂いたからな」
奥村は考え込んでしまい 倉元もいい案が無いか考えた
杉田にとっては ミスを最大限に留めるにも神山の現場監督は
絶対に必要と考えていた
「やあ 由香里姫 おはよう」
「おはようさん あれ そのジャケットどうしたのよ」
「分かる 格好いいでしょ」
「分かるわよ だって外商で持ち回りの高いジャケットよ
いつ買ったっけ そのジャケット、、、」
「ははは 昨日さ まあ詮索はそのくらいにして みんなは?」
斉藤由香里は会議室を指差して 手を交差しバツをした
神山は小さな声で由香里に聞くが よく分からないと言われた
「ただね 翔君も一緒なのよ おかしいわね」
神山は昨日と一昨日の事は自分でなく杉田だったのかと思った
「ねえ お昼一緒に行かない 外がいいな」
「うん どうしたの」
「ほら また休みなんだ」
由香里は少し離れた隣の市川の事を指した
「そうだな 確かきのうも休んでいただろ どうしたんだあいつ」
「うん それでね ちょっと相談があるの 早く出ちゃおうか」
「うん いいけど まだ早すぎるよ」
「ねえ 築地のいせ丸に行こうか」
「いいですよ 今日は暇だし ゆっくり出来るかな」
「予約を入れておくわ じゃあとでね」
神山は席に座ると 杉田のことを考え 仕事がはかどらなかった
納品伝票に押印したりしていると3人が 部屋から出てきたが
みな無口で 少し普段と違った様子だった
杉田が席に着くと神山が
「おい 翔おはよう どうした 沈み込んで」
「先輩 おはようございます」
そう言うと 自分の席にある書類を見たり整理し始めた
神山は倉元や奥村に挨拶をしたが 返事が暗かった
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