2014年1月31日金曜日

Vol.1301 きんもくせい -2-72



「あれっ 洋子さんが伺っていますが、、、」
「ええ その件ではなくて 新しい仕事です」
「はぁー、、、」
内藤はゴテンバ アウトレットの工事関係者が宿泊する場所の確保と
その宿泊施設のことを掻い摘んで説明した
「へぇー そうするとその参加する農家の方と話し合いですね」
「うん 建築業者も山ちゃんのことは良く知っているし ここは
どうだろう お願いできないかな」
「ええ いいですけれど うちのメリットは、、、」
「うん 山ちゃんの頭で後々の利益配分が違ってきますよ」
「なるほど 分かりました それでいつから動けば良いのですか」
「うん 出来れば早いほうが良いですね」
「はい 分かりました」
内藤との用件が終わり電話を切ると 直ぐに大熊工務店東京東支店店長
加藤武雄から電話が入った
「おはようございます 山ちゃん」
「おはようございます 珍しいですね」
「ええ それでこれから山ちゃんの処へ伺いたいんですが」
「はぁー 別にいいですが、、、」
「ははは 大丈夫ですよ ではこれから直ぐに伺います」
「ええ なにか用意するものは、、、」
「ははは それはお楽しみです」
「はい お待ちしています」
神山はGプロの高橋孝一に用事が出来た事を伝え 次長室に戻った

「やぁ 早いね ありがとう」
「ええ 直ぐにいただけました ふふふ」
「じゃ 洋子 全額預かってください お願いします」
洋子はアルタの自由費400万円を引き出しに仕舞った
タイミングを見て神山が内藤の話や加藤武雄が訪ねてくる事を話した
「へぇー そう言われればそうですよね 作業員の宿泊施設って
大切ですもの そのお話はどう進めるのですか?」
「うん 内藤さんの話しだと もうすぐFAXが来るんだけどな、、、」
「じゃ そのFAXの内容を確認しながら 進めるわけですね」
「うん そうなるね しかし遅いなァー」
神山は次長席で 仕事を纏めていると 加藤武雄達が訪ねてきた
「あれっ かんけんさんと鈴木建設さんも えっ、、、」
訪ねてきたのは6月14日に建築協会で各会社の顧問に就任した
株式会社かんけん 副社長井伊敏郎と株式会社鈴木工務店 
副社長の鈴木寅之助だった
「ははは 山ちゃんを驚かせようと思って」
「ええ まあ 座ってください」
4人はソファーに座ると 加藤武雄が
「実は内藤さんとの話は もう進んでいるんですよ」
「ああ 作業員宿泊施設の件ですか、、、」
「ええ かんけんさんや鈴木工務店さんも 下請けが工事に入るので
関係者の宿泊施設を探していたんです
そこで 私どもの会社で情報を察知して プレハブですが作っています」
「そうですよね でないとあれだけの広さだから 関係者が街に行っても
満室で宿泊する所が無いと不便ですよね うん」
「そうなんですよ それで土地を提供してくださる方 まあ殆ど農家の方で
快く土地を提供してくれたんです」
「へぇー 田んぼや畑はどうするんですか、、、」
「ええ お借りする所は 田や畑ではなくて 空き地になっていて
まあ 草がぼうぼうですが 現場には近いし メリットは充分です」
「そうすると 僕の出番が無いじゃないですか ははは」
「いえいえ 大いにあるんですよ」
加藤武雄は現場周辺の地図を広げ 説明をした
「えっ この場所にホテルですか へぇー 凄いですね」
「ええ それで箱を作るのに かんけんさんと鈴木工務店さんと
ジョイントで工事をする事になったんです」
「はぁー なるほど そういう訳ですか で僕の仕事は、、、」
「ええ まず今までの感性で外観などをアップして欲しいのです」
「はっ だってアルタスカイだって 良いデザインするし」
「ははは まあ それはそれとして 山ちゃんのデザインが欲しいんです」
神山は暫く考え
「分かりました お引き受けしましょう でも早急の話でしょ」
「ええ オープンには間に合わなくても 夏前に出来るよう考えてます」
「なるほど しかし急な話ですね ははは」
加藤武雄は今までの経緯を説明した
「なるほど かんけんさんも動いていて 鈴木工務店さんも動いてた
ところが関係者の宿泊施設だけじゃなくて ホテルの話が出てきた
そこで加藤さんとしては かんけんさんや鈴木工務店さんも
動いていた事だし ここは丸く収める意味でジョイントですね」







2014年1月30日木曜日

Vol.1300 きんもくせい -2-72



「ええ お正月に入ったらいきます お願いしますね ふふふ」
「がんばってお仕事をしてね そうそう何かあったら 神山さんに報告よ
だってすぐ傍にいるんだし 分かった!」
「はーい 了解です ふふふ」
「じゃ 楽しい所お邪魔しました」
「ううん 嬉しいよ ほんと 由紀枝さんと亜矢子さんが居ればね
でも 遠いし無理だものね ありがとう」
「うん 遠くても応援しているからさ 頑張ってね」
「はーい 分かりました ありがとうございます」
「はーい じゃ 失礼します
そうそう 洋子さんにありがとうって伝えておいてね」
カトリアーナは電話を切ると 洋子に由紀枝の託を伝えた
神山が明るくなったので洋子は作戦が成功して良かったと思った

内藤も楽しく呑んだり食べたりしたが神山に
「山ちゃん そろそろ失礼します ご馳走様でした」
「あっ もうこんな時間ですね はい ありがとうございます」
「じゃ みなさん頑張ってください 失礼します」
内藤は神山にお辞儀をして席を立ち 美女軍団に手を振って店を後にした
「では 我々もそろそろお開きにしましょう」
「はーい ご馳走様でした」
美女軍団が神山に挨拶をすると洋子が女将に精算をお願いした
店を出ると洋子に
「洋子 桃子ちゃんと由貴をお願い 泰子は香織と真由美をお願いね」
そういいタクシー代を二人に渡し 祐子がつかまえたタクシーで帰った

赤坂のスタジオに戻ると
「さあ カトリアーナ 明日もお仕事でしょ 早く寝ようね」
「ジャーン 残念でした 明日の金曜日はお休みだって その代わり
土曜日と日曜日は出勤なのよ ふふふ だから今夜はゆっくりと出来るわ
ねぇー お願いがあるの 聞いてくれる?」
「うん なぁに」
「うん ほら 神山さんが会員の伊豆山カンツリークラブに行きたいんだ
さっき 泰子さんとも話をしていて 神山さんがOKならいいよって
それでね 3人で行きたいんです」
「おぉーそうか うん いいよ ご褒美だね でも運転があるでしょ」
「OKだったら泰子さんがここまで来てくれて それで行きます」
「ははは 参った じゃ 祐子 カトリアーナ 気を付けてね」
祐子とカトリアーナは手を握りよかったとはしゃいだ
神山は喜んでいる二人を微笑み 嬉しく思った
「やぁー 泰子 悪いね 二人をお願いします」
「はーい 良かったわ ふふふ それで明日のお休みですが
後日 有給休暇証を提出しますね」
「うん わかったよ 運転にはくれぐれも気を付けてね」
「はーい 了解です」
「じゃ お休み」
電話を切り 祐子とカトリアーナに
「泰子が快く引き受けてくれたよ 良かったね」
「ありがとうございます ふふふ」
「ねえ カトリアーナ 早速明日の支度があるでしょ それと
早く起きるから 今夜は早く寝ましょうね いいわね」
「はーい 祐子の言うとおり 早く寝ましょうね ふふふ」
神山は完全に無視をされ 二人の笑顔を眺めているだけだった
その夜は3人でお風呂に入り SEXをしたが
ベッドに入ると 祐子とカトリアーナは直ぐに吐息を立て寝てしまった
神山は若い二人の寝顔を見ながら ブランデーで気分転換し床についた

9月11日 金曜日 快晴
神山は祐子とカトリアーナを見送り 早い時間だが出勤をした
仕事に集中していると いつもの時間に洋子が出勤してきた
「やぁー おはよう」
「あらっ 早いですね ふふふ」
神山は昨夜の事を説明すると洋子は少しだけ羨ましがったが
「でも 若い時ってなんでも出来るし ほんと今しか出来ないものね」
「おいおい 洋子だって まだまだ若いよ ほんと」
「まぁー 朝からなにも出ないですよ そうそう アルタへ行って来ますね」
「えっ、、、」
「まぁー ほら自由費をいただきに伺ってきます」
「そうか 忘れていた うん お願いします」
神山がフェアレディーZのキーを渡すと洋子はニコニコして部屋を出た

Gプロの部屋で高橋孝一達と仕事を進めていると 内藤から電話が入った
「はい 神山です」
「やあ 山ちゃん おはようございます」







2014年1月29日水曜日

Vol.1299 きんもくせい -2-72



9月10日 夜 上原駅前寿司
「お待たせしましたぁー」
「おぉー 桃子ちゃんに由貴 良く来てくれました ありがとう」
神山や洋子 カトリアーナたちは二人を向いいれ直ぐに
「じゃ 改めてカトリアーナの初お仕事でかんぱーい」
再びジョッキがカチンを音を立てると キャァーキャァーと騒がしくなった
暫く呑んだり食べたりしていると アルタの内藤がお店に来た
「あっ 洋子 内藤さんだよ それも一人だよ」
「へぇー だれと会うのかしら、、、」
そう話していると 内藤が神山を見つけテーブルにきた
「やあ 山ちゃん ご一緒させてもらっても良いですか?」
「ええ どうぞ どうぞ」
美女軍団は先日のゴルフで面識があるので挨拶をした
「やあ やあ 驚かせて済みません」
「あのぉー なにか重要な話ですか 席を替えましょうか?」
「いやいや 今夜はカトリアーナさんにご褒美ですよ」
「えっ ご褒美って、、、」
「先ほど時田さんから連絡がありましてね それで、、、」
内藤が言うには 18時を過ぎた頃に時田から電話で 神山が紹介した
カトリアーナと言う女性が売り上げに大変貢献して 銀座店は久しぶりに
大忙しになった そこで催事課で慰労会の計画を立て 関係者の出席を
募ったが神山と洋子が出席できないとのことだった
池上店長が時田を招待したが神山のことが気になり 内藤に電話があった
「そこで僕は直ぐにピーンときたよ 絶対にここだってね」
「ははは なるほど でもなぜご褒美なんですか?」
「だって 御殿場のリーダーでしょ うちとの関係おおありですよ」
「そうか なるほど 納得しました ははは」
「って ことでカトリアーナさん 今日は初仕事お疲れ様でした
これは私からの気持ちです 受け取ってください それでGGIでも
一杯スキルアップしてください お願いしますね」
内藤はカトリアーナに分厚い事務封筒を渡した
カトリアーナは神山と洋子をみると 頷いているので笑顔で受け取り
「内藤さん ありがとうございます ふふふ」
「うん 少ないけれど これで美味しいものを一杯食べてください」
「はーい 無くなったらまた甘えても良いですか ふふふ」
これには神山だけでなく みなで大笑いをした

「ところで由貴 久保さんはどうしたの?」
「ええ 銀座で慰労会をしていますよ ふふふ」
「そうか 凄い勢いだったものね」
「ええ 倉庫から3回も運んだそうです なので売り上げは1か月分以上」
「えっ そんなに売れたの へぇー」
「神山さん 内緒ですよ みんなも黙っていてね いい!」
美女軍団や神山 内藤が頷くと
「実はパリに返品する分が混ざっていたんですよ これは
久保マネージャーが間違った注文を出したわけじゃなくて
あえて納品をさせたそうなんです そしたらそれが全部はけたんです
凄いでしょ だからパリ返品は随分と無くなりましたよ」
「へぇー そんなこともあるんだ 凄いね その考え方も」
「ええ だって対象が日本人じゃないでしょ それにイタリアやフランス
アメリカ人相手だったら 充分に戦えるブランドですもの」
「あっ そうか 外国人だからOKなんだよね なるほど
その場の空気を瞬時に感じ取って 販促策を構築するとは大したものです」
「そうでしょ それで筒井が銀座店の整理と慰労会なんですよ」
「なるほど 了解しました」
聞いていた内藤が
「やはり久保さんって凄い女性ですね うん」
内藤は神山と久保が以前の事があるので これ以上は話さなかった
「じゃ 由貴と桃子ちゃんも慰労会じゃなかったの 大丈夫かな、、、」
「ええ 大丈夫ですよ ほらうちからも銀座店に出しているでしょ
その整理や倉庫からの入荷などがあって こちらはこちらで忙しかったし」
「そうだね ははは ほんとカトリアーナの一言だね 大したものです」
改めて日本酒で乾杯をすると 席は楽しく盛り上がった

神山はこの席に由紀枝と亜矢子が居ない事を寂しく思った
その顔を洋子は直ぐに見抜き携帯電話で何処かへ電話をした
「はい 神山さん 由紀枝さんですよ」
驚く神山だったが 直ぐに携帯を受け取り今日の出来事を話した
「わぁー 凄いじゃん へぇー やるわねカトリアーナ ふふふ」
「うん ちょっと待ってね カトリアーナと替わるね
カトリアーナです 由紀枝さん こんばんわ ふふふ」
「凄いわね うちに来ても大丈夫ね ふふふ」
「ええ 英語とフランス語では負けないけれど ゴルフと接客はね、、、」
「ふふふ 来年でしょ こっちにくるのって」






2014年1月28日火曜日

Vol.1298 きんもくせい -1-71



「あらら 主役抜きですね」
「うん まあ 翔やテツ 絵里華ちゃんの慰労会だね」
「翔や倉さんは大丈夫ですか 途中棄権って聞きましたけど」
「うん なんとか大丈夫だよ しかし蟹のはらを一杯食べられて羨ましいよ」
「テツの英語も流暢でしたが 外国人は理解していましたよ ええ」
「そうか まあ 今回はイレギュラーだし 大目に見てあげないとね」
「そうですね 明日からは平常に戻るでしょ きっと」
「うん そうなって欲しいよ ほんと 仕事にならないもの」
「はい 了解です では失礼します」
電話を切ると洋子が
「奥山さんから?」
「うん 今日のような日が続くと仕事にならないって
それと今夜 慰労会があって誘われたけど 先客で逃げました」
「まぁー 可哀相に 大丈夫ですか」
「うん 大丈夫だよ そうだ洋子 GCでおつまみを差し入れてください」
「はーい じゃ中華や洋食を準備しますね」
「うん ダブらないように由香里姫に話しておいてね お願いします」
洋子は頷くと早速 催事課の由香里の電話をし 差し入れの件を伝えた

仕事に集中しているとすぐに17時をすぎた
「洋子 もうこんな時間だ 帰ろう」
「はーい では支度をしますね」
洋子が帰り支度を始めると電話が鳴った 神山が受話器を取ると
「カトリアーナでーす ふふふ」
「よお お疲れ様 どうしたの?」
「ええ 私 この時間でアップ出来るんですよ それで電話をしたの」
「おぉー じゃ 今朝車から降りた所って分かるかな」
「ええ 大丈夫よ 少し歴史を感じる建物でしょ」
「ははは 歴史ねぇー うん そこで待っています」
「はーい じゃ着替えたら直ぐに行きますね」
電話を切ると洋子が
「カトリアーナから?」
「うん この時間でアップだって 早いね」
「そうかぁー アルバイトだし ほら6時間勤務で考えているからよ」
「なるほど そうすると 実際は8時間居ても6時間勤務なんだね」
「ええ 休憩時間があるからそうなるわね ふふふ」
「そうしたら祐子に連絡をしなければいけないな ははは」
神山は祐子に電話をし みんなで外食する事を伝えた
「そうしたら洋子 上原の駅前寿司で祝賀会だね」
「ええ 泰子さんたちはどうしますか」
「うん 呼んであげようよ 昨日だって前祝したんだし」
「はい 了解です」
洋子は泰子と由貴に電話をして祝賀会の件を伝えた

次長室が入っているビルの出入り口で待っているとカトリアーナが
嬉しそうに手を振って近寄ってきた
「ははは お疲れ様でした」
「ほんと 凄い外国人客だったわ 驚きました ふふふ」
「カトリアーナ お疲れ様でした ふふふ」
3人は一回赤坂のスタジオに戻り 祐子が手配したタクシーで上原に向った
駅前寿司の暖簾をくぐると女将がいつものように奥の座敷に案内した
「あーあ 疲れたわ 今頃になって疲れが出てきたわ」
「ははは 仕方がないよ 初日だし緊張もあるし ねぇー洋子」
「そうね 前のインストラクターと違った職種だし ガンバよ」
「そうそう ガンバよカトリアーナ 水泳をちゃんと教えてね ふふふ」
「そうね スイミングをすれば治るかもしれないわね ふふふ」
4人で楽しく話をしていると 泰子や香織 真由美が来た
「わぁーカトリアーナ 初お仕事 お疲れ様 ふふふ」
3人が席に着くと 女将が生ビールとおつまみを運んできた
「じゃ 初出勤でかんぱーいです」
みんなはジョッキをカチンと合わせ ジョッキを口に運んだ
「わぁー 美味しいわ ふふふ」
カトリアーナは今まで見せたことが無い呑みっぷりだった
洋子が女将に生ビールの追加をした
神山も半分ぐらい呑むと 今日の経緯を泰子らに伝えた
「へぇー 凄いじゃん それで神山さん お店はどうなの?」
「うん 多分だけど 1週間分くらいの売り上げだと思うよ」
「へぇー 凄いわね ねぇー泰子ちゃん」
「ほんと ふふふ 私 杉田さんや洋子さんが販売している所を見たかった」
「おいおい 駄目だよ 本職には負けますよ しかし杉田君や洋子などは
上手にお客を引き寄せ販売をしていたな 上手だったよ ほんと」
「へぇー じゃ益々拝見したくなったわ ふふふ」
神山は杉田や屋敷の販売方法など話したり 洋子のワインの事も話をした
「凄いですね 赤ワインのストックが半分以下ですか へぇー」
「うん 売場にあるワインクーラーの中は 空っぽになっていた
ほんと説明が上手で 美味しいとなったら値段に関係なく買ってくれたね」
「ええ 勿論 最初は安くてお得なワインが出ていたわ でもねそのうちに
だんだんと 値段が高い高級ワインまで売れ出したのよ それでね
面白いのは その高級ワインを買っていったお客って日本人なの」
「へぇー そうだったんだ 不思議だね」
「ええ 外国人が買っているのを見て多分買ったと思うわ ふふふ」
「ほんと 上原のNNショップの時を思い出したよ ははは」
「ええ 私も驚きました ふふふ」








2014年1月27日月曜日

Vol.1297 きんもくせい -1-71



「大丈夫ですよ どうですか この蟹 最高級ですよ」
杉田と屋敷は蟹の販売を手伝っていて 屋敷の英語が分かり易く そして
蟹のはらと日本酒が合うと説明し 杉田が実演し試食をしていた
杉田は美味しい蟹のはらと日本酒で気分が良くなり呑むのを自重したが
屋敷が上手に説明をしているので 日本酒を呑まない訳にはいかなかった
食品部長が神山に
「山ちゃん お久しぶり 元気そうだね」
「ははは 部長こそ 顔色良いですよ」
「まあな 翔ちゃんが来るまで呑んでいたから ははは
ところで この騒ぎはどうしたの 1F、地下、催事場、3階のプレタ
殆どの売場がパニ食っているよ ははは」
神山は事の成り行きを説明すると
「へぇー そんな天才少女がわが鈴やに居るんだ へぇー」
「ただし 地下のお酒に関しては僕ですけれどね ははは」
「そうだね ははは 山ちゃん どうだね 蟹を食べていってよ」
「いえいえ 翔とテツのおかずを取り上げられないでしょ」
「そうだね ははは しかし 凄い売り上げだよ 実はね 冷凍庫に
もう無いんだよ ははは 凄い 参りました」
「えっ 1週間分が無くなったんですか」
「うん って言うか 日曜日までだけどね でも凄いよ
担当者にはっぱをかけて 明日の分を何とかしろって ははは」
「大丈夫ですか」
「うん 何とかするよ しかし外国人って美味しいものには目が無いね
それに値段を知っているから 安いと直ぐに買うよ」
「ええ そうですね ワインもそうですし 凄いパワーですね」
神山と食品部長が話していると 杉田と屋敷はスィーツのコーナーに行った
チョコレートケーキや色々甘いものを扱っている所だ
神山は不思議に思い二人を観察すると 外国人客でも歳の若い女の子に
せがまれ 場所を移動したみたいだった
屋敷が説明して一口、二口食べ客にも勧めると 笑顔で美味しいといい
幾つもバスケットを購入してくれた
若い女の子は直ぐに携帯電話で連絡をすると 同じような年齢の女の子が
売場にやってきて キャァーキャァー話しながら試食をしては
バスケットを購入してくれた
屋敷の上手な英語で 女の子達はニコニコしながら説明を聞いていた
「ねぇー マスター あそこのラーメンって美味しいの?」
これには屋敷も答えられなかったが 杉田が笑顔で食べる真似をすると
「マスター 美味しそうだから食べたいわ 案内して」
10人以上いる外国人ギャルに勧められ 実演味噌ラーメンに入った
時間が時間で 少し待つことになったが杉田が無理を話した
ラーメン店でも杉田が最初に試食をしてOKとサインを出すと
外国人ギャルたちはそれぞれ好みの味噌ラーメンを注文した
「テツ もう駄目だ お腹の中が可笑しいよ」
「だって 先輩が試食をして売り上げを伸ばすって 自分で言ったんですよ
テツ お前は英語で客を引き寄せて 後は任せろって もう」
「わかった もう苛めないで これにて終了 あとはマスターに任せる」
「もう お仕事ですよ ほんと日本酒の呑みすぎですよ」
「わかった もう言うな 俺さ部屋に戻るよ お願いだ」
「はい ご愁傷様」
「こらっーテツ でもそうだよな じゃ 頼んだよ
テツも ここのラーメン食べていきなよ 頼んだよ あのギャル達」
杉田は屋敷に5千円渡すと 外国人ギャルに笑顔で挨拶をして部屋に戻った

神山は洋子が頑張っているお酒売場に寄ると丁度休憩をしていて
「じゃ そろそろ戻ろうよ」
「そうですね 私もちょっとばかりくたびれました」
神山と洋子はお酒売場の課長に挨拶をして次長室へ戻った
「やあ お疲れ様でした」
「ほんと くたびれたわ 銀座物語の時も大変だったけど 今度は
外国人が相手でしょ ふふふ 久しぶりに頭が疲れました」
「しかし カトリアーナの一言でこんなに繁盛するとはねぇー」
「そうですよ 凄いパワーですね 驚きました ふふふ」
「では お昼を食べに行こうか どこにする?」
「そうねぇー 店内だと混雑しているし うん 串揚げ屋さんがいいわ」
神山と洋子は近くビルにある串揚げ屋でお昼を済ませた

次長室に戻ると催事課の奥村課長から電話が入った
「あっ お久しぶりです」
「専務 しかし凄い女性を入社させましたね」
「ははは アルバイトですよ」
「池上店長が驚いていますよ それで今夜は催事課でお祝いだそうです
そこで是非 専務にもご出席をお願いしたいと思いまして」
「ははは 課長 ぼくは先客が合って駄目なんですよ 済みません」
「そうかぁー 残念だなぁー 仕方がないですね」
「サービス課のカトリアーナさんを誘えばいいじゃないですか」
「うん ところが先客があるんだ 駄目なんだよ」







2014年1月26日日曜日

Vol.1296 きんもくせい -1-71



神山は先ほど外国人と話したことを伝えると
「なるほどですね 分かりますよ 私も連絡しますよ ふふふ」
そこにサービス課長がきて ニコニコして神山に
「専務 お手柄ですね 聞きましたよ店長から」
「まあ カトリアーナにしてみれば当たり前のことですよ」
「それで カトリアーナさん 30分ばかり休憩して良いわよ ふふふ」
「わぁー ありがとうございます 課長」
「じゃ カトリアーナ 休憩室でコーヒーでも飲もうか」
「はーい」
二人はサービス課の控え室に向った
この時 洋子、杉田、安井奈々子、池上店長は売場で手伝いをしていた

「そうか 最高の婦人服はどこかって聞かれて NNを紹介したんだ」
「ええ だってパリだってNNは最高よ 日本ではまだマイナーだけど」
「それでお金を持っている客が NNに流れ込んだ訳だね ははは」
神山とカトリアーナはサービス課控え室でコーヒーを飲みながら話してた
他のサービス課員は神山と話をしたかったが 込み入った話をしているので
遠慮をして仲間同士で話をしていた
「先輩 今何処ですか」
カトリアーナと楽しく話をしていると杉田から電話が入った
「うん 今ね女の子がわんさか居る所で休憩している」
そう話すと 周りに居た若い女の子達が騒ぎ始めた
「先輩 そんなぁー 地下のお酒売場が大変ですよ 来てくださいよ もう
僕なんて奈々子もですが 休憩無しですよ もう 地下ですよ地下」
「おいおい わかったよ 怒るなよ そうしたらさ奥ちゃんも呼びなさい」
「えっ 課長もですか?」
「当たり前だよ 翔の方が上なんだから 呼びなさい そうそう倉さんも」
「了解しました そうします でも地下ですよ ほんと大変です」
神山が電話を切るとカトリアーナが心配そうに
「どうしたの 地下、地下って」
神山は外国人客に地下お酒売場に美味しいワインがあると話をして
それで多分 売場がてんてこ舞いになっているんだろうと説明した
「ふふふ 今度は神山さんのお話ね」
「うん なので応援に行ってきます ゴメンね」
神山が立ち上がると周りの女の子達はキャァーキャァーいって
「もう 行っちゃうんですかァー 寂しいなァー ねぇー」
「そうそう もう少し居てくださいよぉー ねぇー」
「ははは ゴメンね これもお仕事です 午後からもガンバだよ」
若い女の子達はニコニコと笑顔で答え 見送ってくれた

地下のお酒売場に行くと洋子が英語で外国人客にワインの説明をして
販売をしていた
洋子は神山を見つけると
「あーあ 駄目よ 呑みすぎたわ ふふふ」
「おいおい 説明して販売だろ」
「だって外国人って お互いに飲むと信用するのよ なのでその作戦は
大当たりしたけれど おつまみが無いでしょ ふふふ」
神山は直ぐに傍の売場で プレーンクラッカーとナチュラルチーズを買い
「はい 洋子 これを一緒に勧めればいいよ 勿論 洋子も食べてね」
「わぁー ありがとう 優しいのね」
外国人客が廻りに一杯居る事を意識して 神山のホホに軽くキスをした
客からは指笛や拍手が沸き 売場の店員たちは何事かと思った
ここで神山は少しだけ洋子のお手伝いをした
「ステーキに合うワインは ステーキを焼いている人に聞くのが一番」
この話をすると 指笛や拍手が沸き 人の輪が大きくなってきた
神山と洋子が英語で漫才のように話し ワインを紹介するので
お酒売場は ワインの在庫が心配になった
話が一段楽した時に神山が洋子に
「洋子 ありがとう ところで翔はどうしたの 僕の事を地下に来いって」
「ふふふ ほら北海道の物産展でしょ あそこに居るわよ
屋敷君 絵里華ちゃんも みんな一緒よ ふふふ」
「そうか 倉さんはどうしたの?」
「ええ 私が来る前に日本酒を勧めていたんですって それで呑みすぎて」
「ありゃー それはちょっとねぇー」
「ええ 外国人客も呑み過ぎて保健室で休憩しています」
「えっ って言うと呑み比べしたの、、、」
「ふふふ そうみたいよ 由香里の話しだと 頑張ったみたい」
「おいおい お仕事だよ それで外国人は大丈夫なのかな」
「ええ 点滴までいかないって だから夕方まで駄目ね」
「ははは 参ったね でも倉さんも良くやるよな ほんと
じゃ ぼくは向こうを見てくるよ」
「はーい カトリアーナは大丈夫」
「うん 大丈夫だよ じゃ」

「先輩 いらっしゃいませー」
「おい 翔 随分と赤い顔して大丈夫か?」






2014年1月25日土曜日

Vol.1295 きんもくせい -1-71



洋子は安井奈々子に電話をして 大至急NNブティックに来るよう伝えた
NNブティックの前は混雑をしていて けが人が出る恐れがあった
神山は婦人服飾部長を呼び 入場制限をするよう指示をした
「山ちゃん おはようさん どうしたの これ」
「ははは 分かりません」
「まったく 嬉しい悲鳴だね ははは」
外国人ツアー客はまだ増え続け 3列に並ぶよう神山は英語で指示をした
池上店長が神山のところに来て
「山ちゃん どうしたの これ」
「ははは 分かりません ただカトリアーナと何か話していたんですよ
そしたら最初のツアー客が走っていったんです それからですね」
「でも この客数だと 直ぐに売り切れだろう」
「ええ NNブティック完売ですね ははは」
「おいおい 山ちゃん しかし凄いね」
「でも 今回は上原に廻しませんよ」
「うん それは不味いな しかしどうしたものだろう」

30分もするとブティックで展開している商品の半分以上が無くなり
祥子一人でウラから品だしをしているので 神山も手伝った
そこに杉田や安井奈々子も応援に来たので
「やあ 漸く来てくれたね ありがとう」
「先輩 どうしたんですか 今 来る時に7階の婦人服も外国人で一杯
それで総務の方で入場制限をしているそうですよ」
「へぇー 凄いね どうしたのかな 分からないな」
祥子が神山に
「神山さん ありがとうございます 今 上原と連絡を取りまして
もう少ししたら 商品が入ってきます」
「そうだよね もう ウラにも商品が無いし ほんと凄いね」
「ええ 一番最初に来た外人の方が サービス課の制服をくださいでした
私驚きましたよ だってここの制服がNNって知っているのは関係者でしょ
それが外人客ですもの びっくりですよ」
「はぁーそうか 最初の客が今日から勤務のサービス課員に訪ねていたんだ
それで何か話したあと 急にNNへ走っていったんだよ
わかった 彼女がこの制服はNNで製作していますって話したんだ うん」
「ふふふ 嬉しいわ」
暫く話していると上原から商品が届き 現場引き合いをして販売した
それでも 直ぐに商品が無くなると祥子は筒井に電話して
倉庫から直接こちらに運ぶようお願いをした

事態を見ていた婦人服飾部長が神山に
「山ちゃん そうしたらさ この通路の反対側に仮設売場も設けようか」
「いいんですか アクセサリーだって大事ですよ」
「ははは 大丈夫さ 3階のプレタからもドレスを持ってくるよ」
「はぁーん なるほど 良いですね」
外国人ツアー客はフロアを1週する形で並んでいたが
そのなかで目立っていたのは携帯電話で連絡を取り合っている姿だった
一般の顧客も行列を見て 訳が分からなく並び始めていた
開店から1時間が過ぎたが 行列の最後が何処だか分からなくなり
総務を呼びロープで安全誘導する事になった
「わぁー 部長2重どころでは有りませんよ 大丈夫ですか」
「本当だね 嬉しい事だけど 怪我人が出ないようにしなければ」
NNで買い物を済ませた外国人客は化粧品売場やアクセサリー売場へ
散らばっていき 買い物をしていた
この時間になると婦人服部長が提案した仮設売場がNNブティックの
前に出来て NNの商品もそこでも販売する事になった

神山が外国人を見ていると 最初に流れ込んできたのは韓国人や
中国人が多かったようだが 今はアメリカ人やフランス人も多く見られた
神山は思い切って 列の最後尾に並んでいる客に聞いた
「いらっしゃいませ 私は神山と申します このデパートの責任者です」
「おぉー ありがとう 私はフランスから来ました」
「なぜ このデパートを選ばれたんですか 凄い行列ですよ 大丈夫ですか」
「うん 昨夜 買い物ツアーで友達になった人から先ほど連絡があった
このお店は素晴らしく良い物を販売しているってね」
「ありがとうございます お気にめして頂けると思います
ファッションだけでなく 食品も他のお店より美味しいですよ」
「おぉー ワインもあるか」
「大丈夫 ワインも本国に負けない品揃えです」
「おぉー 素晴らしい それは何処にある」
「ええ この下の階です あの階段を下りると直ぐに分かります」
「ありがとう ではこちらが終わったら寄ってみます」
その外国人客は神山と話が終わると携帯で連絡を取っていた
神山はサービスカウンターへ向うとカトリアーナが必死に案内していた
「やあカトリアーナ ありがとう ははは一大事だね」              
「凄い事になっていますね 以前来た時はお客ってこんなに居なかったのに」
「ははは それはカトリアーナの案内が最高に良かったからだよ」