2014年1月27日月曜日

Vol.1297 きんもくせい -1-71



「大丈夫ですよ どうですか この蟹 最高級ですよ」
杉田と屋敷は蟹の販売を手伝っていて 屋敷の英語が分かり易く そして
蟹のはらと日本酒が合うと説明し 杉田が実演し試食をしていた
杉田は美味しい蟹のはらと日本酒で気分が良くなり呑むのを自重したが
屋敷が上手に説明をしているので 日本酒を呑まない訳にはいかなかった
食品部長が神山に
「山ちゃん お久しぶり 元気そうだね」
「ははは 部長こそ 顔色良いですよ」
「まあな 翔ちゃんが来るまで呑んでいたから ははは
ところで この騒ぎはどうしたの 1F、地下、催事場、3階のプレタ
殆どの売場がパニ食っているよ ははは」
神山は事の成り行きを説明すると
「へぇー そんな天才少女がわが鈴やに居るんだ へぇー」
「ただし 地下のお酒に関しては僕ですけれどね ははは」
「そうだね ははは 山ちゃん どうだね 蟹を食べていってよ」
「いえいえ 翔とテツのおかずを取り上げられないでしょ」
「そうだね ははは しかし 凄い売り上げだよ 実はね 冷凍庫に
もう無いんだよ ははは 凄い 参りました」
「えっ 1週間分が無くなったんですか」
「うん って言うか 日曜日までだけどね でも凄いよ
担当者にはっぱをかけて 明日の分を何とかしろって ははは」
「大丈夫ですか」
「うん 何とかするよ しかし外国人って美味しいものには目が無いね
それに値段を知っているから 安いと直ぐに買うよ」
「ええ そうですね ワインもそうですし 凄いパワーですね」
神山と食品部長が話していると 杉田と屋敷はスィーツのコーナーに行った
チョコレートケーキや色々甘いものを扱っている所だ
神山は不思議に思い二人を観察すると 外国人客でも歳の若い女の子に
せがまれ 場所を移動したみたいだった
屋敷が説明して一口、二口食べ客にも勧めると 笑顔で美味しいといい
幾つもバスケットを購入してくれた
若い女の子は直ぐに携帯電話で連絡をすると 同じような年齢の女の子が
売場にやってきて キャァーキャァー話しながら試食をしては
バスケットを購入してくれた
屋敷の上手な英語で 女の子達はニコニコしながら説明を聞いていた
「ねぇー マスター あそこのラーメンって美味しいの?」
これには屋敷も答えられなかったが 杉田が笑顔で食べる真似をすると
「マスター 美味しそうだから食べたいわ 案内して」
10人以上いる外国人ギャルに勧められ 実演味噌ラーメンに入った
時間が時間で 少し待つことになったが杉田が無理を話した
ラーメン店でも杉田が最初に試食をしてOKとサインを出すと
外国人ギャルたちはそれぞれ好みの味噌ラーメンを注文した
「テツ もう駄目だ お腹の中が可笑しいよ」
「だって 先輩が試食をして売り上げを伸ばすって 自分で言ったんですよ
テツ お前は英語で客を引き寄せて 後は任せろって もう」
「わかった もう苛めないで これにて終了 あとはマスターに任せる」
「もう お仕事ですよ ほんと日本酒の呑みすぎですよ」
「わかった もう言うな 俺さ部屋に戻るよ お願いだ」
「はい ご愁傷様」
「こらっーテツ でもそうだよな じゃ 頼んだよ
テツも ここのラーメン食べていきなよ 頼んだよ あのギャル達」
杉田は屋敷に5千円渡すと 外国人ギャルに笑顔で挨拶をして部屋に戻った

神山は洋子が頑張っているお酒売場に寄ると丁度休憩をしていて
「じゃ そろそろ戻ろうよ」
「そうですね 私もちょっとばかりくたびれました」
神山と洋子はお酒売場の課長に挨拶をして次長室へ戻った
「やあ お疲れ様でした」
「ほんと くたびれたわ 銀座物語の時も大変だったけど 今度は
外国人が相手でしょ ふふふ 久しぶりに頭が疲れました」
「しかし カトリアーナの一言でこんなに繁盛するとはねぇー」
「そうですよ 凄いパワーですね 驚きました ふふふ」
「では お昼を食べに行こうか どこにする?」
「そうねぇー 店内だと混雑しているし うん 串揚げ屋さんがいいわ」
神山と洋子は近くビルにある串揚げ屋でお昼を済ませた

次長室に戻ると催事課の奥村課長から電話が入った
「あっ お久しぶりです」
「専務 しかし凄い女性を入社させましたね」
「ははは アルバイトですよ」
「池上店長が驚いていますよ それで今夜は催事課でお祝いだそうです
そこで是非 専務にもご出席をお願いしたいと思いまして」
「ははは 課長 ぼくは先客が合って駄目なんですよ 済みません」
「そうかぁー 残念だなぁー 仕方がないですね」
「サービス課のカトリアーナさんを誘えばいいじゃないですか」
「うん ところが先客があるんだ 駄目なんだよ」