2014年1月4日土曜日

Vol.1274 きんもくせい -1-71



9月23日 水曜日 快晴
ホテル オートモ 雅の間 杉田、小谷美佳 内野、篠原涼子の
合同披露宴会場

「おはようございます 山ちゃん」
「やあ 美佳さん おはよう どうですか 良く寝られましたか?」
「ふふふ 駄目です やっぱり お嫁さんって意識すると寝られなかった」
「そうだよな いくらお婿さんでも そこは今までと違うものね」
神山はホテルオートモへ早めに来て 各両親と簡単に挨拶を
済ませ 控え室でゆっくりと寛ぐときだった
「ところで 翔はどうしたの」
「ええ 挙式を済ませた後はまだ会っていないんですよ ふふふ」
「そうか 緊張して体が動かないのかな ははは」
「まぁー でも そうかもねです ふふふ」
そんな話をしていると 篠原涼子が廊下に出てきて
「おはようございます 神山さん ありがとうございます」
「いやいや それにしても涼子さんって分からないよ」
「まぁー お上手 ねぇー 美佳」
「いや 本当に綺麗で美しいよ うん」
「ほんと よく褒めて下さる気持ちは嬉しいけれどねぇー」
4人で話していると 落ち着いたのか翔と内野誠二が廊下に現れた
「おぉー 漸くお出ましだね 二人とも格好がいいよ 決まっているよ」
「先輩 ありがとうございます」
「山ちゃん ほんとありがとうございます」
翔と内野の二人は神山に深々とお辞儀をした

9月2日 銀座 次長室
「やあ 昨日はお疲れ様でした」
「あら 早いですね」
「うん まあね そんなにゆっくりも出来ないでしょ」
「そうね ふふふ 随分とニンニク臭いわよ」
「そうかぁー 昨夜はバーベキューで青森の美味しいニンニクって言うので
少し食べ過ぎたかも でもなぁー 食べている時は そんなに
匂いはしなかったけれど やっぱ臭う?」
「ええ 良い臭いですよ ふふふ」
洋子は苦笑いを抑え 自分の引き出しから綺麗なブルーの粒が一杯入った
タブレットケースを出し 神山に
「はい これをどうぞ 多少だけど臭いが解消されるわよ」
「やあ ありがとう」
洋子は席に戻る前 ガラス戸を開放して空気の入れ替えをした
「おいおい そんなに臭いか?」
「ふふふ 祐子さんは何も言わなかった?」
「だって 由紀枝のところから直だから、、、」
「じゃ 車の中は凄い臭いよ、、、」
洋子は笑いを抑えて 席に戻った
普段なら缶コーヒーなど飲物を用意してくれるが 今朝は余程臭いのか
洋子は神山の傍に寄ろうとしなかった
神山は自分で冷蔵庫から缶コーヒーをだし ソファーで飲み始めた

「しかし 洋子さぁー 林マネージャー ほらホテルのステーキハウス」
「ええ どうされたんですか?」
「うん 31日の日には美味しいとおもろこしでしょ そしてニンニク
とおもろこしは親戚が作っていて 今年は甘くて美味しいものだから
ホテルの女子従業員に配ったんだって そしてニンニクも青森の親戚から
今年のは美味しいと言われて 卸値で大量に仕入れたんだって」
「だから どうされたんですか」
「まあ まあ それで由紀枝が林マネージャーと話があり調理室へ訪ねたら
林さんから安く譲って貰ったって話しです」
「へぇー そんなに美味しくても 翌日にこんなに臭いとねぇー ふふふ」
「おいおい そんなに苛めないでください あーあ 臭いかなァー」
神山は意気消沈して缶コーヒーを飲干すと次長席に着いた

机の上に溜まっている書類を整理していると杉田から電話があった
「やあ おはようさん 早いね どうした?」
「おはようございます 実はご相談がありまして、、、」
「えっ なんだよ 改まって、、、」
「お部屋に伺っても宜しいですか?」
「おいおい 怖いな いいよ どうぞ」
電話を切ると洋子に
「洋子 翔がさぁー 何か改まって お願いだって なんだろーね」
「まぁー 改まってですか 何でしょうね 皆目検討が付かないわ」
「だよな 翔らしくないんだ なんかさ、、、」

「誠二さん 篠原涼子さん 美佳 よかった 会えるよ」
「でも 翔ちゃん大丈夫かなぁー」