由紀枝の運転でホテルに着くと 椿総支配人が車寄せで待っていた
「神山様 由紀枝さん おはようございます」
「おはようございます 支配人 早いですね 遅刻だわぁー」
「いやいや 人手が空いている時に手伝って貰い そのままだと
心配なので ここに居たんですよ」
神山と椿の二人で缶の地ビールが入った クーラーBOX2個を由紀枝の
車に運び込んだ
「しかし 椿さん 随分と重いですね」
「ええ 氷の他に保冷剤も入れているんですよ だからでしょ」
「なるほど ほんと一人だと持てないし セダンだと積めないですね」
「ええ このクーラーBOXしか空いていなかったんです 済みません」
「いえいえ こちらが急に注文したものですから 大丈夫ですよ
それでは 亜矢子御殿へ行きましょうか」
「そうしましょう 早めに行ったほうが準備も出来ますし そうしましょう」
由紀枝と神山が乗る白いゴルフVR6と椿が運転するスカイラインは
儀式が行われる新居へ向った
亜矢子御殿に着くと 玄関まで車が溢れていて神山が先に下りて
玄関のほうに向うと不動産屋社長と挨拶をした
「おはようございます 神山様」
「いやぁー 良い天気で何よりですね」
「ええ やはり建前の時は 晴れて欲しいものですよ」
「ところで 車ですが 後4台ばかり来るんですよ
少し整理をしないと 後からの車はお客さんですからね どうでしょうか」
勝間田社長は 直ぐに社員を呼び玄関の外に出すよう指示をした
制服を着た若い社員は 設備関係や工務店関係の車を 綺麗に歩道に出した
空いたスペースに椿の車を誘導して 由紀枝の車も直ぐ傍に停めた
時計を見ていると 洋子や泰子の白いゴルフVR6が玄関にきた
「やぁー 早いね おはよう」
「うん 安全運転ですよ おはようございます」
白いゴルフVR6から洋子 泰子 祐子 由貴 桃子 カトリアーナ
真由美 香織ら8人が降りてくると 由紀枝も混ざり挨拶が始まった
「ほらほら お客さん同士の挨拶は程ほどにね でも亜矢子が居ないなァー」
まだ壁が出来ていない鉄筋だけの家を見渡しても 何処にも居なかった
「神山様 桜川様ですが 銀行に行かれ 直ぐに戻られると思いますよ」
「施主様が、、、腰を据えて貰わないと困るね ははは」
神山や椿 洋子たちが話していると 亜矢子の白いゴルフVR6が
玄関に入ってきた
「わぁー みなさんお揃いで ありがとうございます
こちらが 私の母でございます お母さん こちらが神山さんです」
「おはようございます 亜矢子がいつもお世話になり
ありがとうございます」
亜矢子の母は体調が良いのか 顔色も良く ニコニコして
洋子や由紀枝など みんなと丁寧な挨拶をしていた
「亜矢子 あのさ 驚かせてゴメンね それで今日の料理だけど
ホテルの地酒や地ビールなども追加をしました それでその分は
こちらで支払いするから 安心してね」
「まぁー そんなぁー ふふふ 甘えちゃおぅー」
「そうよ 亜矢子さん 滅多にない儀式ですもの 甘えましょうよ」
「洋子さんも 教えてくれればいいのに 驚いたわ ふふふ」
洋子と亜矢子は直ぐに直近の話などに花を咲かせていた
神山は由紀枝たちに 包みを用意させ 母親に渡すよう指示をした
「じゃ まずは僕から渡すから 順番にね いいかなぁー」
「はーい もう 小学生じゃないんだから 嫌ねぇー ねぇーみんな」
「そうよ 学校の先生みたい ふふふ」
由紀枝たちは口々に神山を非難したが 顔は笑っていた
母親に包みを渡し終えると 亜矢子がみんなに丁寧にお辞儀をした
10時少し前になると 儀式の準備で忙しくなり
洋子や由紀枝など みんなでお皿や御手もとなどをテーブルに並べ
椿や神山も由紀枝の車から地ビールの入ったクーラーBOXを
会場に運んだ
家の周りには紅白幕が張られ 準備は整った
ちょうど 神山が玄関で作業をしていると 駅前寿司の車が入ってきた
「いやぁー 神山さん おはようございます すみません 遅くなって」
「大丈夫ですよ 時間は充分ですよ」
神山は女性軍を呼び お寿司屋など料理を運ぶよう指示をした
そうしていると 酒屋がきて一斗樽を運んできた
台車にのせ樽を運ぶが 敷居を跨いだり 大人4人がかりで
祭壇にあたるところまで運んだ
神山は洋子を呼び 駅前寿司屋の大将に支払いをするよう指示した
「では神山様 終わりましたら連絡をください 器の回収をさせて頂きます」
「ええ そうですね それで余った分はどうするかなァー」