2014年1月9日木曜日

Vol.1279 きんもくせい -1-71



ホテル勤務の中で聞いたレシピなどを参考にしたものを腕によりを
掛けたものを準備した
色々と考え 神山が食べた事が無いだろうと思われる料理だった
「おぉー 良い匂いだね 由紀枝」
「ふふふ ありがとうございます ねぇー 直ぐに食べられるから
バスローブのまま ここに座ってくださいね」
「うん 由紀枝さぁー お風呂は?」
「まぁー ご親切に でもね いいのよ ねぇー 早く座ってよ」
テーブルには土鍋の蓋から 湯気が少しだけ噴出していた
由紀枝が鍋の食材などをお皿に盛り付け テーブルに置くと
神山は冷蔵庫から地ビールの缶をだし 二人のグラスに注いだ
「お待たせしましたァー 由紀枝鍋でーす」
由紀枝はお風呂に入っていないのに顔を紅潮させていた
「では かんぱーい」
「はーい かんぱーい ふふふ 嬉しいわ、、、」
由紀枝は神山の目を見つめながら グラスのビールに口をつけた
神山が鍋の蓋を開けると
「わぁー 由紀枝 これは凄いね 色々なものが入っているよ
お肉も 鶏肉や豚肉でしょ 野菜も色々だし 凄いね」
「ふふふ まあまあ 食べてみて」
由紀枝はニコニコと食材を神山の小鉢に取ると 自分の処にも盛り付けた
神山が一口食べてみると
「わぁー 凄いね 美味しいよ」
「良かったわ ふふふ」
「でも この豚肉や鶏肉の味って しっかりとしているね」
「ふふふ でしょ だって もともと別の料理で使うために
味付けをしてあるから それでだと思うわ」
「そうかぁー それでも 美味しいよ うん 初めての味です」
「ふふふ 私も初めてです ただね こうやってお味噌仕立てにすると
和風の味付けって 馴染むし 相乗効果で美味しくなるみたい」
「へぇー しかし 美味しいよ 白菜がそのパイプ役だね」
「ええ そうね 白菜やモヤシでしょ えのきなどが パイプ役で
お肉やお野菜 お魚を上手に美味しくしているんだわ」
「あー これが鮭だね」
「ええ 薄塩の鮭だから 美味しいわよ」
「ねえ 由紀枝 これだけ美味しいと お店が出せるよ いやほんと」
「駄目駄目 こんなのさぁー 誰でも出来る事だもん
お店を持つったら 味などにもっと個性が無いと駄目よ」
「そうかなぁー これだって銀座や上野で食べた事ないしさ 美味しいよ
だって 豚肉だって 団子になっているのと ロースの薄切りでしょ
鶏肉だって 団子の中は玉ねぎと絶妙な味の競演だし ささみだって
下味がしっかりとしているしさ ほんと 食べた事が無いよ
味噌仕立てって仕上がったときの味が難しいのに ほんと上手だよ」
「わぁー ほんと そんなに美味しいの、、、」
「そうだよ ほんと 美味しいよ」
由紀枝と神山は目の前にある鍋の事で話が弾んだ

「ねぇー これからもっと美味しくするからね ふふふ」
由紀枝はニンニクのすりおろしと色の濃い味噌を鍋に入れた
暫く沸騰するまで待ち 白菜を神山の小鉢に分けると
「どうぞ 美味しいわよ、、、多分 ふふふ」
神山は小鉢にある白菜を一口食べると 八丁味噌と肉汁や魚の汁の
うまみが混じって 先ほどの鍋より更に美味しく食べられた
「おぉー なに これ! 美味しいよ 凄い ほんと美味しい」
「わぁー 良かったわ これが由紀枝鍋でーす ふふふ」
「うん ニンニクが程よく 全部の具材に絡んでいて うん 美味しい」
「でもね ニンニクはここまでよ これ以上入れると 先日のように
ただただニンニクを味わっているだけになるからね」
神山はちょっと痛いところをつかれ
「はい 了解です うん でも別なお味噌を少し加えるだけで
こんなに味が違ってくるものなんだね 初めてだよ ほんと」
「ふふふ まあね これもスキルと林さんのお陰かな ふふふ
ねえ このお大根 食べてみて きっと美味しいって」
神山は小皿に盛り付けられた 茶色くなった大根を食べると
「おぉー なんだ 凄いね ぬかずけじゃなくて味噌漬けだぁー
だけど 味が普通のお味噌じゃないね 美味しいよ 初めてです」
「ふふふ やっぱね じつはね 私も初挑戦だったのよ 八丁味噌にラー油 
ニンニクでしょ その他に色々と それを混ぜ合わせたお大根でーす」
「あー なるほど しかし 美味しいよ 熱々のご飯があれば
何杯でもお代わり出来るよ ほんと」
「ほんと 嬉しいわ ふふふ
今まで 夜って言うとバーベキューが多かったでしょ 今夜のように
外で出来ないときの事を思うと メニューを考えなければいけないでしょ
だから 一人の時はいつもこうやって試行錯誤しているのよ」