洋子は安井奈々子に電話をして 大至急NNブティックに来るよう伝えた
NNブティックの前は混雑をしていて けが人が出る恐れがあった
神山は婦人服飾部長を呼び 入場制限をするよう指示をした
「山ちゃん おはようさん どうしたの これ」
「ははは 分かりません」
「まったく 嬉しい悲鳴だね ははは」
外国人ツアー客はまだ増え続け 3列に並ぶよう神山は英語で指示をした
池上店長が神山のところに来て
「山ちゃん どうしたの これ」
「ははは 分かりません ただカトリアーナと何か話していたんですよ
そしたら最初のツアー客が走っていったんです それからですね」
「でも この客数だと 直ぐに売り切れだろう」
「ええ NNブティック完売ですね ははは」
「おいおい 山ちゃん しかし凄いね」
「でも 今回は上原に廻しませんよ」
「うん それは不味いな しかしどうしたものだろう」
30分もするとブティックで展開している商品の半分以上が無くなり
祥子一人でウラから品だしをしているので 神山も手伝った
そこに杉田や安井奈々子も応援に来たので
「やあ 漸く来てくれたね ありがとう」
「先輩 どうしたんですか 今 来る時に7階の婦人服も外国人で一杯
それで総務の方で入場制限をしているそうですよ」
「へぇー 凄いね どうしたのかな 分からないな」
祥子が神山に
「神山さん ありがとうございます 今 上原と連絡を取りまして
もう少ししたら 商品が入ってきます」
「そうだよね もう ウラにも商品が無いし ほんと凄いね」
「ええ 一番最初に来た外人の方が サービス課の制服をくださいでした
私驚きましたよ だってここの制服がNNって知っているのは関係者でしょ
それが外人客ですもの びっくりですよ」
「はぁーそうか 最初の客が今日から勤務のサービス課員に訪ねていたんだ
それで何か話したあと 急にNNへ走っていったんだよ
わかった 彼女がこの制服はNNで製作していますって話したんだ うん」
「ふふふ 嬉しいわ」
暫く話していると上原から商品が届き 現場引き合いをして販売した
それでも 直ぐに商品が無くなると祥子は筒井に電話して
倉庫から直接こちらに運ぶようお願いをした
事態を見ていた婦人服飾部長が神山に
「山ちゃん そうしたらさ この通路の反対側に仮設売場も設けようか」
「いいんですか アクセサリーだって大事ですよ」
「ははは 大丈夫さ 3階のプレタからもドレスを持ってくるよ」
「はぁーん なるほど 良いですね」
外国人ツアー客はフロアを1週する形で並んでいたが
そのなかで目立っていたのは携帯電話で連絡を取り合っている姿だった
一般の顧客も行列を見て 訳が分からなく並び始めていた
開店から1時間が過ぎたが 行列の最後が何処だか分からなくなり
総務を呼びロープで安全誘導する事になった
「わぁー 部長2重どころでは有りませんよ 大丈夫ですか」
「本当だね 嬉しい事だけど 怪我人が出ないようにしなければ」
NNで買い物を済ませた外国人客は化粧品売場やアクセサリー売場へ
散らばっていき 買い物をしていた
この時間になると婦人服部長が提案した仮設売場がNNブティックの
前に出来て NNの商品もそこでも販売する事になった
神山が外国人を見ていると 最初に流れ込んできたのは韓国人や
中国人が多かったようだが 今はアメリカ人やフランス人も多く見られた
神山は思い切って 列の最後尾に並んでいる客に聞いた
「いらっしゃいませ 私は神山と申します このデパートの責任者です」
「おぉー ありがとう 私はフランスから来ました」
「なぜ このデパートを選ばれたんですか 凄い行列ですよ 大丈夫ですか」
「うん 昨夜 買い物ツアーで友達になった人から先ほど連絡があった
このお店は素晴らしく良い物を販売しているってね」
「ありがとうございます お気にめして頂けると思います
ファッションだけでなく 食品も他のお店より美味しいですよ」
「おぉー ワインもあるか」
「大丈夫 ワインも本国に負けない品揃えです」
「おぉー 素晴らしい それは何処にある」
「ええ この下の階です あの階段を下りると直ぐに分かります」
「ありがとう ではこちらが終わったら寄ってみます」
その外国人客は神山と話が終わると携帯で連絡を取っていた
神山はサービスカウンターへ向うとカトリアーナが必死に案内していた
「やあカトリアーナ ありがとう ははは一大事だね」
「凄い事になっていますね 以前来た時はお客ってこんなに居なかったのに」
「ははは それはカトリアーナの案内が最高に良かったからだよ」