2014年1月3日金曜日

Vol.1273 百日紅 -9-70



「それでお料理のお土産はちゃんと頂いたのかな?」
「はーい しっかりと日持ちしそうなのを頂きました」
「そうだね 3時に若いのが食べてくれるし」
「それで貴方は由紀枝さんのところでしょ」
「うん どちらにしても 明日は早く出社するよ」
「じゃ 今夜は帰れないわね」
「うん」
「祐子さんに話しておくわ」
「そうしてくれるかな しかし何が楽しいのかね ほんと騒がしいね」
「まぁー 言いつけるからね 可哀相に」
「ははは ゴメンゴメン」
神山と洋子が話しているところへ亜矢子と母親がやってきて
「神山さん 洋子さん 助かりました ありがとうございます」
母親も亜矢子の後ろから丁寧にお辞儀をしていた
「それでは私たち これで失礼します 洋子さん又 ホテルに来てね」
「はーい 伺いますよ 大丈夫よ ふふふ」

亜矢子と母親は女性軍みなと挨拶をし 亜矢子の運転で御殿を後にした
「では 神山さん 私たちも帰りまーす」
「うん 呑んでいる人は運転駄目だよ」
「もう 分かっているわよ ほんと小学生じゃないんだから ねぇーみんな」 
「ほんとよね 自分はたっぷりと呑んでさぁー ねぇー由紀枝さん」
「そうよ 私が運転だから 自分は朝から呑んでいるのよ もう
今日は目出度い日だって ねぇー」
神山は居場所が無くなり 車のほうへ歩いていった
思い出したように携帯電話で 駅前寿司に電話をして器の回収を
4時過ぎに来てもらうよう手配した
「勝間田さん この器ですが駅前寿司が4時頃回収に来ます お願いします」
「はい 本当にありがとうございます それで樽酒ですが、、、」
「ははは 縁起物ですから 皆さんで分けてください」
「ありがとうございます お言葉に甘えさせて頂きます」
「では 私たちはこれで帰りますが 何かありましたら 携帯まで」
「はい なにも無いですよ そうそう例の特注家具ですが
出来上がりまして 本物より良く出来たと話していました」
「そうですか それは良かった 桜川さんも喜ぶでしょ」
「納品が楽しみですね はい」
神山は勝間田と別れると 洋子たちの白いゴルフVR6を見送り
由紀枝の運転でマンションへ帰った

「あーあ 漸く終わったね」
神山は由紀枝の部屋に戻るとソファーに沈み 両手を挙げ寛いだ
「そうね 亜矢子さんの念願が叶って嬉しいわ」
由紀枝は言葉とは裏腹に少しくらい顔付きで神山に話した
神山はその顔付きを見逃さずに
「どうしたの?由紀枝 嬉しくないの なんか暗いよ」
「ふふふ 分かった」
神山の言葉で明るい顔で
「だって 亜矢子さん 今年一杯で辞めるんだって」
神山は今朝 椿から聞いたことを改めて実感した
「まあ 仕方がないよ あれだけの建物だもの 大変だよ」
「そうね 仕方がないわね まあ 私が頑張るかァー ってねっ」
「そうだよ 愛さんと盛り上げなければね」
「でもね 一つ問題があるのよ」
「えっ なんで、、、」
「ええ ほら お家が広いでしょ なので家政婦さんを探しているんだけど
なかなか見つからないんだって」
「あっ そうか」
神山は以前 亜矢子とメイドの件で話したことを思い出し
「そうしたら 祐子のところに聞いてみようか」
「あっ そうね その方が心配ないし」
神山は直ぐに携帯電話で祐子に電話をすると
「はい その話は了解しました お部屋に戻りましたら 会社に聞きます」
「うん そうしてください 詳細は又 あとで」
「はーい ふふふ 由紀枝さんといちゃいちゃしているの?」
「おいおい まだです お風呂にも入っていないよ もう」
「呑み過ぎると駄目よ 由紀枝さんを可愛がってね」
「はい 分かりました もう 前向いて運転しなさい」
電話を切ると由紀枝が
「ふふふ 祐子さん なんだって?」
「もう 由紀枝さんといちゃいちゃしていますか?だって ほんとにもう」
「祐子さんも言うわね よぉーし 今度電話したら反撃だぁー」
「おいおい 仲良く頼むよ もう ほんと怖いね」
由紀枝は口を押さえ笑いながら浴室へ向い 入浴の準備を済ませた
「あなた 用意が出来ましたよ どうぞ」
「ありがとう ではお先に失礼します」
神山は着ている肌着類を洗濯機に入れると 浴室に入った

「あーあ さっぱりしました ありがとう」
「どういたしまして」
由紀枝は冷蔵庫からビールを出し 神山のコップに注ぐと
「うん 美味しいよ ありがとう」
神山は地ビールを飲干すと由紀枝に
「由紀枝 少し寝かせてください 30分でいいかな」
「はーい ゆっくりと寝てくださいね 私は夕食の準備をします」
「うん では失礼します」
神山は寝室のベッドに横になると直ぐに寝てしまった