「僕は大丈夫だけど、、、」
「そんな マニアックな料理ではありませんよ」
「そうしたら 私もいただけます」
5人は笑いながら渋谷のホテルに入った
筒井と祥子は不思議そうな顔をしたが
高橋は構わず中華料理店に入った
ホテルの中にある中華レストランとは思えない造りで
祥子は時間が空いたら神山と来る事を決めた
「山ちゃん マンションに寄って行こうよ」
上原の現場を出た田代達4名を乗せたフェアレディZは
神山のマンションに着いた
田代が降りてトランクを開けるとゴルフバッグが3つ入っていた
そのうちの一つを田代が取り出し神山に渡した
神山は突然の事なので 内藤に
「どうしたんですか?」
「うん 以前使うつもりで買ったけど 使わないし、、、
それに使わないと可哀相だから だから山ちゃん使ってください」
なんとも贅沢な発言であったが ありがたい気持ちで一杯だった
「ありがとうございます 頂きます」
「そうしたら 部屋に置いて来たらいいよ」
「ええ そうします では暫く待っていてください」
神山はゴルフバッグを担いで部屋に向かった
田代も傍にある紙袋を持って神山の後についた
部屋に置くと田代が紙袋の中を教えた
ゴルフシューズやボール 手袋などなど
そのままゴルフ場に行ける贈り物だった
車に戻ると
「内藤さん ありがとうございます」
「どういたしまして 昨日家内に先を越されたからね」
「ええっ?」
「だってそうだろ ロレックスは家内からのプレゼントなんだよ」
「はあ?」
「だから 私からもプレゼントをしないと片手落ちになるだろ」
「はあ ありがとうございます」
神山は内藤社長と夫人に対し深々とお辞儀をした
4人は車に乗り込んだが運転席に内藤が座った
隣りに田代 後ろに神山と婦人が座った
「では 御殿場に行きましょう 遅くなりました」
そう言うと内藤はタイヤをきしませ発車させた
渋谷に出て首都高に入るとますますスピードが上がった
しかしこのフェアレディZは横ぶれなど無く快適に進んだ
東名高速に入るとますますスピードが上がり 神山も心配になった
そんな横顔を見ていた真奈美は
「大丈夫ですよ 一番安全なスピードですから」
神山は全然意味がわからなかったので
「こんなに早いのが 安全なのですか?」
「そう この人 このくらいのスピードでないと安定しないの」
「へぇ」
「そうなんですよ 山ちゃん 社長のスピードは知っているでしょ」
以前 内藤の運転でゴルフ場へ同乗したが
ここまでのスピードは出していないと思った
「山ちゃん 驚いた?」
「ええ 以前 こんなスピードを出していましたか?」
「いや 車によって変えていますよ
これは時々このくらい出さないといけないのです」
「へぇ~ 知らなかった」
内藤は車によってある部分でぎりぎりの性能を出してあげないと
本来持っている性能が発揮できなる事を言った
「だから なんでもかんでもこのスピードを出す訳ではないですよ」
内藤は皆に説明しながら余裕ある運転で
御殿場インターチェンジに着いた
神山はロレックスを覗いた
上原を出たのが9時を少し廻っていたので35分で来た事になる
「田代さん 平均何キロでした?」
「ええ 160をさがっていませんでしたよ」
内藤はそのままホテルまで運転した
神山はホテルに着く前にもう一度ロレックスを見た時真奈美が
「本当によく似合うわよ 大切にしてね」
真奈美が時計をはめている手を握ってきた
驚いた神山は手をどうにもする事が出来ずに
「はい ありがとうございます 大切に使いますよ」
神山が握り返すと 真奈美はうっとりとした顔つきになり頷いた
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