2010年12月12日日曜日

Vol.155 若葉 -5-12

電話には留守電が入っていたので再生をした
3件ほど入っていたが由香里からの伝言は入っていなかった
亜矢子からの報告だとかなり酔っていたと言われたので
仕方ないと思った
ビールを飲み干すと急に酔いが廻ってきてベッドに横になった
目をつぶると一昨日からの由香里や亜矢子との楽しいひと時が
めまぐるしく頭をよぎったが睡魔に負け寝入ってしまった

4月13日 月曜日 快晴
神山はけたたましく鳴る電話で目を覚ました
上原で寝起きするようになって初めて自分の部屋で起きた
電話に出ると
「山ちゃん おはようです 朝早くからすみません」
「やあ おはようさん どうしたの孝ちゃん」
アルタの高橋からの電話で 今日上原の現場で最終確認を
ニーナ・ニーナを交えて行いたいとの連絡だった
「了解だよ 時間はどうする?」
「お昼前に現場はどうですか?」
「僕のほうは構わないけど ニーナ・ニーナは?」
「ええ 筒井さんと久保さんに立ち会ってもらいます」
「時間取れたの?」
「筒井さんはコンタクトが出来てOKです」
「そうすると久保さんだけか」
「ええ しかし筒井さんから連絡が入ると思いますよ」
「了解 何時になりますか?」
「12時ごろになります 大丈夫ですか?」
「うん 孝ちゃんのお願いだからいいよ」
「変更があったときは 携帯に連絡します」
「了解です お願いしますね」
神山はルームウェアー姿で祥子の部屋に行った
部屋のベルを鳴らすとすでに起きていたらしく
「おはようございます 寂しかったわ」
「ごめん 随分と疲れてしまって 起きていられなかった」
玄関で挨拶をしたあと 部屋に入ると
二人分の朝食が用意されていた
ソファーに座ると祥子を呼び
「今日 現場で最終確認が行われる事は知っている?」
「ええ 先ほど筒井から連絡が入りました」
「そうか 僕の所には今入って電話で起こされたよ」
「まあ そんなに寝ていたの」
「うん こっちの部屋と違って朝日が差し込まないしね」
「それで12時とお聞きしたのよ どうしようかしら」
「う~ん、、、銀座は忙しいの?」
「ええ 銀座に行って仕事をすると
12時に間に合うかどうか分らないの」
「大変だね しかし少しくらい遅れても大丈夫だよ」
「どうして?」
「うん 多分儀式だよ」
「儀式?」
「そう 一応責任者である筒井さんに 現場の最終了解を貰う為だと思う」
「ふ~ん そうゆうのも大変なんだ」
「祥子が現場監督でいても 最終的には筒井さんが
OK出さなければ進まないし 責任は筒井さんにある訳だし」
「そうね 最高責任者は大変ね」
「うん だから決まっていても 筒井さんに見てもらう儀式さ」
「なるほど だったら少し遅れても大丈夫かしら」
「うん だって仕事はもう始まっているのだからね」
「分ったわ それであなたはどうするの?」
「今日はこちらで仕事をして 現場から銀座に行くよ」
「あなたも大変ね そうしたら朝食を一緒に頂きましょう」
祥子は少し寂しそうな横顔を見せキッチンに戻った
「ちょっと待っていて いいもの持ってくるから」
「なあに?」
「うん 美味しいビールを持ってくるよ」
神山はそう言って自分の部屋に戻り
昨日亜矢子からもらったビールを持ってきた
「これね 凄く美味しいよ 御殿場の地ビール」
「どうしたの?」
「うん ホテルで美味しかったから買ってきた」
祥子はグラスを用意しビールを注いだ
「ほんと いい香りがするわ おいしそう」
神山と祥子はたった2日離れただけなのに久しぶりに
会ったように 目と目を見詰め合いながら乾杯をした





.