と 慌てぶりをみて考えていた
神山は3階のショッピングモールで由香里が昨夜見ていた
ブティック「モテリコ」に入った
ウインドーに飾ってあるブレスレットを気に入ったみたいで
欲しいと話していたのを思い出し 店員に
「ウインドーに飾ってある ブレスレットを下さい」
「はい 承知致しましたが こちら陳列品が最後となりますが、、」
「ええ 構いません 至急包んでください」
「それではこちらにお願いします」
ショッピングカードで清算すると
「プレゼント包装をして置いてください 直ぐに戻りますから」
神山は隣がランファンのブティックと思い出し店内に入り
レースの可愛いフリルが付いたシルクのショーツを買った
ブティック「モテリコ」に戻り商品を受け取ると急いで玄関に戻った
「神山様 タクシーが着ました 遅くなって申し訳ございません」
神山と由香里は椿と桜川にお辞儀をしてタクシーに乗った
「何を忘れたのですか?」
神山はシルクのショーツが入った紙袋を手渡した
「あけてごらん きっと気に入ってもらえると思うよ」
「何かしら」
由香里は紙袋の中に包装されたものを丁寧に開けた
中に入っているシルクのショーツをみて驚き
「どうしたの?」
「どうしたのって 買ってきたんだよ」
「だって シルクでしょ それに3枚も 高いでしょ」
「そんなこと言ったって ありがたくない訳?」
「違うの 充分すぎて、、、」
うつむいた由香里に耳打ちをした
「だって 着替えが無いって言われたから 買った」
由香里はかまわず神山の胸に頭を持たせ小声で
「ごめんなさい 私があんなこと言ったから、、、」
「違うよ 何枚有っても良いでしょ 僕の為にさ」
由香里は神山の気持ちが嬉しくて涙ぐんだ
「ほら 元気だそうよ マグロが待っているよ」
神山が由香里を慰めていると御殿場駅前に着いた
目の前にあるカメラ屋に入り目的のカメラを探していると
「このカメラよ 私と一緒 それに安いわ」
由香里に言われニコンF4ボディーを買った
「レンズはとりあえずだったらズームレンズでOKよ」
「それなに?」
「うん難しい話は新幹線でするわね 今はこのレンズで大丈夫よ」
由香里が勧めてくれたズームレンズと同様の物で
ランクアップしたレンズを見つけ尋ねると
「だって 高いもん 性能は比較にならない位良いですけどね」
「そうしたら このレンズにする」
「そのレンズは私も欲しく買いたいレンズのひとつよ」
「そんなにいいレンズなの?」
「ええ 広角側で明るいレンズは描写に幅が出ていいわよ」
「よし決めた このレンズにする」
「そうね いいレンズだと愛着が湧いてくるし、、、」
「あと 望遠はやはりズームで良いかな」
「望遠ズームも性能が良くなってきているからズームでもOKよ」
「しかし ニコンの純正は高いね」
「ええ 私はトキナーのレンズよ」
神山は結局標準ズーム望遠ズームとマクロレンズ3本を購入し
「由香里のカメラバッグに入れてもらう訳には行かないな」
「ええ カメラバッグも購入したら」
神山はタムラックのカメラバッグを
2泊3日程度の旅行に便利そうな収納が付いたカメラバッグを選んだ
由香里と一緒でリュック式で両手が空くので便利だった
「本格的なカメラマンね 素敵よ」
神山は空箱やレンズケースを捨てカメラバッグの中に収めた
今回カメラで使った金額は48万円にもなった
桜川との食事代などを考え
「ねぇ 由香里 さっきの15万円を貸してくれないか」
「ええいいわよ」
由香里から借りて腕時計を見てみると12時を廻っていた
「さあ そろそろ桜川さんがご到着しますよ」
「あら もうそんな時間 急がないといけないわね」
由香里と神山は店を出て駅に向かって歩いた
すぐにホテルの送迎バスが来て降りてくる人を見ていたが
従業員らしい女性が笑顔で労を労いながら降りてくるが
桜川はその中に入っていなかった
神山は少し心配し 責任者なので早く出られないのかと思っていた
若い従業員達がバス停に並んだり駅舎に吸い込まれたり
人通りが少なくなってきた時に1台のタクシーが近寄ってきた
中から桜川が手を振りながら
「遅くなってすみません」
そう言いながらタクシーから降りてきた
「こんにちわ 遅くなってすみません」
桜川は二人を前に丁寧にお辞儀をした
ホテルの制服と同じような白いブラウスから豊かなバストが覗いた
神山と由香里もお辞儀をし挨拶した
「お休みのところお付き合いさせてすみません」
「いえ こちらこそ神山様とご一緒させて頂いて光栄ですわ」
神山達3人は御殿場線で沼津駅まで電車で行く事になった
日曜日なのに車内は空いていてBOX席を3人一緒に座る事が出来た
神山は駅売店で買ってきたホテルの地ビールを皆に渡し
「それでは お近づきの乾杯」
桜川も由香里と乾杯をした
女性軍は窓際に座りよく話していたが神山も時々口を挟み
和やかな雰囲気で笑い声が絶えない車中だった
神山が2本目のビールを呑もうとしたときに桜川が
「このビールはどこで買われましたか?」
「御殿場の駅売店ですよ 駆け込んで買いました」
「そうしたら 売れ行きが思わしくないのかしら」
「そんなことは無いですよ これが最後でしたから」
「良かったわ」
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