部屋に入るなり入り口で由香里が挨拶をしてきた
「そちらこそ お疲れ様」
神山は自分の席に向かった時 奥村課長が席を立ってきて
「山ちゃん お疲れ様 しかし凄いね 写真の腕前」
「えっ」
「もう筒井さんから情報が入っているんだ」
「ああ アルタの件ですね 別件のプレゼン」
「そう アルタの社長からも先ほど連絡が入ったよ」
「いゃ~ そんあ大げさな事をしたつもりはないですよ」
店内から戻ってきた倉元が
「おう 山ちゃん凄い事したな 喜んでいたぞ 内藤社長」
「そうですか 僕のところには社長から何もないですけどね」
「まあ その内にくるさ」
3人で話していると杉田も出先から戻ってきて神山に
「部長 おめでとうございます 凄いですね」
「やあ 翔まで何言っているんだよ なんでもないよ」
「いいえ ちゃんと情報は入っていますよ」
神山はアルタからどこの会社でプレゼンを行ったか
聞いていなかったし
それにあの会場だからそんなに大きな仕事ではないと思っていた
皆に誉められ悪い気はしなかったが
もやもやした物が心につかえた
机の上には申請書類が2つの山にきちんと整理され置かれてあり
右の山にある書類をよく見てみると
【チェック済み 翔】とサインされ
もう一方の書類は売場から来たそのままになっていた
伝言もいくつかあるが杉田が対応した物は
同じようにサインされていた
神山はチェック済みの書類に目を通したが漏れは無かった
まだ杉田のサインが無い書類を見てみると
緊急の仕事は殆ど無かったが
神山自身が発注をしなければいけない仕事だった
「翔 ありがとう よくこんなにこなしたな」
隣に座っている杉田を誉めた
「そんな事はないですよ 分る範囲で発注しています」
「それに こちらの書類に サインをしてくれて 分りやすいよ」
「それはですね 僕のアイデアではなく 由香里姫の案です」
「そうか 由香里姫の、、、」
「ええ ですから 斉藤さんを誉めてください」
神山は由香里が席に居ることを確認し その場で大きな声で
「由香里姫 書類ありがとう」
「いいえ どういたしまして」
由香里がそこそこの声で返事をしてきた
やり取りを聞いていた倉元が
「山ちゃん 由香里姫がこのごろ山ちゃんの為にと大変だぞ」
「えっ そんなに でもありがたいですね」
「おう 大切にしてやれよ」
「はい 分りました」
神山はまだ手の付けたれていない書類に目をやり
発注内容を確認し杉田に任せられる内容は任せた
それでも自分が直接取引業者と対応しなければいけない仕事は
何件か有ったが杉田に予算表を見せながら説明をした
「結局のところこの予算の範囲内で仕事をこなす訳だから
いつも数字を頭の中に入れて仕事をすれば悩まないで済むよ」
「まあそうですが 頭では分っているんですが なかなか、、、」
そこに由香里がコーヒーを持ってきてくれた
「どうも ありがとう」
「ねっ 言われたでしょ しっかりしなさい
翔くん もうオーバーは絶対にだめよ」
「どうした 何かオーバーしたか?」
「ええ 先週のファッションですが、、、」
「ああ 僕の分で任せた仕事か」
「ええ 20万円ほど出てしまったんですよ 済みません」
「だって あのイベントはそんなに掛からないようにしたのに」
「ええ 自分のフロアの分と神山さんの分を足してまだ
予算内だったものですから 植木を新規にリースをしたんですよ」
「そうか それでオーバーか 仕方ないな」
「済みません それでオーバーした分を皆さんで
負担してもらったんです」
「これからは倉元さんにちゃんと相談するのよ わかった翔君」
「だけど 売場は喜んだだろう」
「ええ 大変喜んでいました」
「あの話は最初植木を入れる約束だったんだよ
ところが 予算を見てみると とても入れられなかったから
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