2010年12月24日金曜日

Vol.167 若葉 -7-14

「良かったじゃないか 楽しめて」
「だけど 肝心なあなたが居なかったからつまらなかったわ」
「うん その分仕事していたよ」
「主役抜きの誉め言葉を聞いても全然つまらないわ 本当に」
「おいおい 帰ってくる早々 そんなに言わないでくれよ」
「だって今夜の主役はあなたでしょ 私の大切な人よ」
「分ったよ だから仕事をしていたんだよ」
「大切な人が誉められた時 傍にいたいの わかる?」
「分るよ 本当に でも仕方ないだろ 明日も御殿場に行くんだ」
祥子は目を丸くして驚いた
「どうしたの 又なんで明日なの?」
神山は経緯を説明し祥子に納得してもらった
「ふーん そうすると
今夜頂いたロレックスもその分が含まれているのかしら」
「うん 分らないけど 何しろ忙しくなってきたよ」
神山は立ち上がって 昨日買ったカメラを祥子に見せた
「このカメラセットもアルタで買ってもらった」
「凄いわね 本当に」
「ねっ だから仕事が山となっている訳でして ごめんね」
「ううん いいの そんなに忙しいって知らなかったから、、、」
「そうしたら バスに入ろうよ 久しぶりにどう?」
「ごめんなさい 先ほど女性になっちゃたの だからだめなの」
「そうか だめなんだ 残念だな」
「そうなの だから今夜はお預けなの ごめんなさい」
神山は久しぶりの交わりを期待していたが諦めた
祥子もビールを呑みながら神山を見て俯いた
神山はそんないじらしい祥子を抱きしめキスをした
祥子も久しぶりのキスにこたえた
「ねぇ これ以上はだめ 我慢できなくなるし ねぇ」
「うん 分ったよ」
「そうしたら 今夜は別々に寝ますか?」
「うん 祥子が辛いだろうから いいよ」
「私も寂しいけど、、、だけど明日は起こしに来るわ」
「分った」
「怒らないでね 一緒に朝ご飯を食べて」
「うん 起こしてくれよ ちゃんと」
「はい 本当にごめんなさい」
祥子は俯いて神山の部屋を出て行った
神山は明日行われる上原の図面を準備してベッドに入った
目をつぶったがなかなか寝入ることが出来なかった
(なぜ女性は同じような時期に生理になるのだろう)
(まさか 亜矢子も生理になっているかもしれないな)
(男に生理が無い事は分るが 在ったらどのような形で
或いはどのような躰の変化が生じるのだろう)
(きっと 気持ちよく大きく元気になっても 射精しないとか、、、)
(よかった そんな事になったら大変だ 男でよかった)
神山はそんな事を考えていると 睡魔が襲ってきて寝入ってしまった

4月14日火曜日 快晴
神山は携帯電話の目覚まし機能で起きた
昨日に続き自分の部屋で起きてみると 祥子の温かさが懐かしかった
まだ7時前だが御殿場の準備をする事を考え早めに起きた
今回はカメラの要請は無いが標準ズームを準備し
着替えをカメラバッグに詰めた
昨夜準備した上原の図面を確認していると玄関のチャイムが鳴った
「私です おはようございます 起きていますか」
神山は玄関を開け
「おはよう 昨夜は寂しかったぞ」
祥子の額を軽くつついて キスをするとそのキスに答えた
「朝食の準備が出来たわ 一緒に頂きましょ」
「うん いつもありがとう 先に戻っていて 直ぐに行くから」
「はい 直ぐに来てね」
祥子はまだルームウェアのままだった
神山は部屋に戻るつもりだったので 起きたままの格好で行った
今朝のメニューも純和風だった
祥子は納豆が嫌いだったが神山の前に納豆と生卵が置かれていた
「どうしたの 納豆は嫌いだったはずだろ」
「ええ 今朝の玉子は美味しいと思って準備したの」
「へぇ 玉子が美味しいなんてうれしいな もしかしてコーチン」
「ふふふ そうよ」
祥子は目玉焼きにして準備していた
神山は持ってきた地ビールをコップに注いで乾杯をして食事をした
祥子が美味しいと言った玉子を納豆にかけて食べてみると甘かった
「祥子 この卵 美味しいよ 本当に」





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