「ええいいわよ 出社したら机にメモを置いておくわ 何かあるの?」
神山はここ3ヶ月の発注量を調べてみるとA社取引高が昨年の
今の時期に比べると 倍近い発注量になっている事に気がついていた
このままでは他社と差がつき過ぎ良くない状態になると考えていた
翔には話をしたがどこまで理解しているか分らないので
チェックをして欲しいと頼んだ
「ええ 私も気がついていたわよ 先日奥村課長も少し考えていたわ」
「やはりな 奥村課長も考えているんだね
僕自身も少し多くなっているとは感じてはいたんだが、、、」
「デザイナーさん皆一緒よ 特に翔君が多くなっているわね」
「そうしたら 明日銀座に行ったら翔と話すよ」
「ええ あの子も悪気があって
他社に発注をしない訳ではないみたいだから でも分かりました」
「そうだよな、、、それでは何かあったら携帯に連絡をください」
「はい 頑張ってくださいね」
「うんお休み」
神山は由香里との電話を切ると
仕事用の電話機に入っている留守電を再生した
【アルタの高橋です お疲れ様です 明日の墨出しですが
8時から現場に入って9時頃から行います お待ちしています】
神山は高橋の携帯に電話をした
「神山ですが 孝ちゃん」
「やあ 山ちゃん 早いね まだ社長は呑んでいるよ」
「うん こちらも仕事が溜まって 先に失礼してきた」
「山ちゃん 申し訳ないけど、、、明日の朝大丈夫?」
「大丈夫だけど だけど一日で墨出し終わる?」
「そこで早くなったんですよ」
「分りました なるたけ早く現場に行くよ」
「了解です それでは頑張ってください」
「それでは 明日」
神山は明日の墨出しが一日で終るか心配で
上原の図面に目を通しもう一度頭の中で整理をした
現状 考えている部分では完璧に仕上がったが
何か発生したら後は現場で微調整をするしかないと思った
上原の図面を片付け銀座の仕事をしようと思ったが
風呂から出た後にする事に決め 湯船に湯を張った
自分の部屋でゆっくりと湯船に浸かるのは初めてで
ここのバスルームから星空を眺めるのも初めてだった
冷蔵庫から御殿場の地ビールを取り出し風呂に浸かりながら呑んだ
アルタから貰った謝礼金の額の大きさや
今夜プレゼントされたロレックスなど
そして由香里との事や祥子そして亜矢子と
運がついているようで怖かった
これは人生に何回しかない「貴重な運」がまとめて来た様で
果たしてこのまま上手く流れていくのか否か
まず女性に関しては3人と分らないように進めるのは難しいだろうし
かといってそのまま放っておくと
他の男に取られてしまいそうでどうしたら良いか悩んだ
ジャグジーを使っているので気持ちよくなり睡魔が襲ってきた
神山はバスから出るとシャワーで頭を濡らしシャンプーで洗い
ジャグジーにボディーソープをいれ躰を洗うとバスルームを出た
祥子の部屋には着替えが色々とあるがここには殆ど無かったので
半袖のTシャツにルームウェアのズボンを穿き
冷蔵庫からビールを出して呑んだ
一息入れると銀座の仕事が待っているのでこなしていった
出来上がった書類から杉田にFAXをした
1時を廻ったが頭が冴えていたので杉田のデザインまで行えた
この部屋で仕事をする事が決まった時にデザイン用品を揃えたが
仕事を進めていくと足りない物が出てくるので
その都度忘れないようメモに書きたしていった
全てが終ったのは2時を少し廻っていたが祥子からの連絡は無かった
神山は昨日同様に造り付けのベッドに入り目をつぶった
暫くすると玄関のチャイムが鳴ったので出てみると祥子が立っていた
「ごめんなさい 遅くなりました」
「まあ いいから入りなよ」
「ええ しかし楽しかったわ」
神山はテーブルの上を片付けビールを出した
祥子は美味しそうに呑むと
「ねぇ 倉元さんて凄く面白い方ね 素敵だわ」
「そうだろ 真面目だけどどこか面白いのさ」
「ええ 今日は久しぶりに笑いどおしだったわ 真奈美さんも一緒よ」
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