「は~い 今行きます じゃあ今夜電話するね」
「はい 呑み過ぎないようにね いってらっしゃい」
「うん 分った 翔 何かあったら電話をくれ 頼んだよ」
「はい いってらっしゃい」
三人は部屋を出ると地下鉄に向かったが 神山が
「課長 車で行きましょうよ」
「しかし 出ないぞ」
「いいですよ 僕が出しますから」
「そうか そんなに入ったか」
「ええ ボーナスが2回来た感じですよ」
「そしたら ねぇ倉さん 乗りましょうね」
「おう その方が楽珍だしな しかし凄いな 俺にも分けろ」
「ええ 多分明日届くと思いますが 美味しい日本酒が、、、」
「そうか どこのだ?」
「ゴテンバ グランド インのオリジナル地酒です」
「そうか 楽しみだな なあ奥ちゃん」
「そうですね しかし羨ましいな」
晴海通りに出ると客待ちのタクシーが並んでいたので乗り込んだ
神山が前の席に座り 行き先を告げた
後ろの倉元と奥村は市川の事を話していたがあえて聞かなかった
(しかし 由香里はどうしたのだろうか)
(本当に体調が悪いのか それとも祥子の事を調べたのか、、、)
神山の本音では由香里と祥子が鉢合わせしない事を望んでいた
(しかし今夜はどうしたものかと考えていたが 助かった)
3人の女性の事を目をつぶって考えているいるうちに
青山3丁目に着いた
「お客さん 着きましたよ」
「ありがとう」
神山は運転手に起こされ車から降りた
招待された所はニーナ・ニーナの直ぐ傍にある
『イタリアンレストラン スパ』 だった
ここのスパは女性週刊誌やグルメ情報誌などではあまり
取り上げられてはいないが「通」が通うお店だった
イタリアで使用しているオリーブオイルを使用し味には定評があった
受付で名前を告げると奥のテーブルに案内された
すでに筒井と久保そして浜野は先に来ていてビールを呑んでいた
奥村が三人を見つけると挨拶をした
筒井達は立ち上がって お辞儀をした
「今日は お忙しいところをありがとうございます」
「いえいえ こちらこそありがとうございます」
「本当に鈴やさんにはお世話になります」
「そんな 筒井さんも我社員ではないですか」
「おう筒井ちゃん 元気か」
「倉さん いや倉元さん ありがとうございます 本当に」
「まあ 山ちゃんが はまり役立ったんだよ なあ山ちゃん」
「そんな 筒井さん ありがとうございます」
「今夜はささやかですが 楽しんでいってください」
奥村が代表して
「はい そのつもりで着ました」
皆が席に着くと まだテーブルには2人分の余裕があった
(もしかして由香里と市川の席かな 筒井さんに悪い事をしたな)
しかし 筒井は皆にビールを頼んだだけで料理は頼まなかった
筒井の隣に祥子が座りその隣に神山が座った
神山の隣り2席が空いたまま 軽いおつまみを食べる事になった
筒井が気を利かせて
「今夜は 特別な方を招いています それまで今暫くお待ちください」
神山は隣りの祥子に
「誰が来るの」
「ええ 何でもアルタの内藤社長ですって」
「えっ 内藤さんが、、、来るの?」
神山は内藤がこの席に来ることは想像できなかった
アルタがよほどニーナ・ニーナに力を入れている事が分った
そもそもここの主催はニーナ・ニーナであるのに対し
なぜアルタがここまで出てくるのか分らなかった
ニーナ・ニーナがアルタを招待するのは少なくとも
今の段階では不自然な行動だった
しかし神山は逆に内藤に合って聞いてみたかった
皆でビールを呑んでいると内藤夫妻が現れた
筒井が内藤の傍に出向き挨拶をした
神山も席を立ち軽く会釈をし
「内藤さん ご無沙汰です 色々とありがとうございます」
「いや 山ちゃん こちらこそありがとうございます」
簡単な挨拶を終えると筒井が
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