マスターに料理を運ぶように指示をし改めて乾杯した
ビールを一口呑んだ内藤が奥村に
「神山さんには本当に助かりました ありがとうございます」
「いえいえ こちらこそお役に立ててありがたいことです」
内藤が神山に
「明日の晩 田代と一緒に伺います」
「えっ 内藤さんが ご一緒?」
「そんなにびっくりしないで下さいよ 椿君とも久しぶりだし」
「そうですね 同期ですよね しかし、、、」
「大丈夫ですよ 家内と別の部屋ですから」
「奥様もご一緒ですか?」
「ええ 久しぶりに4人でゴルフをしようと決まりましてね」
「そうすると打ち合わせは、、、」
「明晩させて頂き 翌日は山ちゃんが決めてください」
「えっ そんな そんな大事な事を任せられても、、、」
「先方には椿君が任せられる人をきちんと決めてあるみたいですよ」
「はい それでは明日お願いしますね」
神山は隣りの祥子や内藤 筒井と話しながら出てくる料理を食べた
イタリアワインが用意されると
皆上品に呑んだが直ぐに2本目が用意された
料理といっても普段見慣れている物ばかりだが味が美味しかった
青山ではイタリア料理店が少なくないが
『イタリアンレストラン スパ』は
会社帰りの女性客でいつも満員になっていた
祥子達も利用する事があるが いつも予約をして食事をしていた
久しぶりの味に祥子も満足していた
祥子が席を立って化粧室に行った時に 神山は筒井に聞いた
「内藤さんがなぜここにいらっしゃるのですか」
「そうだね そろそろ種明かしをしましょうね」
筒井は祥子が戻ってくるのを待って皆に発表すると言った
祥子が席に戻ると筒井が
「さて 宴たけなわのところ皆様に発表させていただきます
今日 ここにアルタの内藤ご夫妻がおられますが
ここ『スパ』は奥様が内装デザインを最初にされた記念の店舗です」
内藤真奈美 旧姓 高田真奈美は結婚する前はアルタのデザイナーで
最初に手がけた店舗デザインがこの『スパ』だった
土曜日に筒井と内藤がゴルフをしたときに筒井が
「内藤さん 以前お聞きした時に青山で奥様がデザインされた
店舗があるとお聞きしましたが、、、」
「ええ 彼女がアルタで最初に手がけた店舗がありますよ それが」
「実は神山部長を慰労するのにいかがかと思いまして」
「そうですね いい考えですよ
彼の実力は計り知れない物がある いいですよ」
「場所はどこですか」
「御社の直ぐ傍ですよ」
内藤は昼の食事時間を利用し場所や連絡先を筒井に教えた
「そうしたら 筒井さん 私たちも参加させて頂いていいですか」
「ええ 構いませんよ 皆 喜ぶでしょう」
筒井の紹介が終ると内藤が立ち上がり
「鈴やの皆様には大変感謝しています
今回の神山さんの件でもご協力を頂きまして ありがとうございます
そこで 少ないのですが奥村課長に私の気持ちをお渡しします」
内藤は奥村に合図をしこちらに来るよう言った
奥村は内藤の席にいき茶封筒を受け取った
「これを残業のときに使ってください」
奥村は 中にはビール券が入っている事を悟った
「ありがとうございます 使わせて頂きます」
「さて 山ちゃん」
「はい」
「山ちゃんには これをプレゼントするよ」
そう言うと 真奈美が立ち上がり神山に小さい箱を手渡した
「これ 私が選んだの 神山さんのために」
「えっ 奥様が、、、 なんですか」
「どうぞ 開けてください 喜んで頂ければ良いのですが」
神山は包装紙を丁寧にはがし あけてみるとロレックスが出てきた
「えっ こんな高い時計を頂けるなんて、、、」
筒井や祥子 奥村や倉元ら全員が驚いた
「ねえ 腕にはめてみて」
神山は真奈美に言われロレックスをはめてみた
少し緩めだったが バックルで調整しぴったりした
「本当に頂いていいのですか」
「もちろんだよ 今日のごほうびです」
「ところで 内藤さん 今日のプレゼンはどこだったんですか」
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