2010年12月28日火曜日

Vol.171 若葉 -7-14

「ええ やはり社長ですから バンではなくて乗用車で、、、」
「なるほど 大変だね 気をつけてきてね」
「では 8時に待っています」

神山は田代との連絡を終えると7階催事場に行き
リース什器の入れ替えを確認した
ハンガーなど売場の要望どおりの本数を準備しても
時々不足する事があるので余分に準備はしているものの
それを勝手に使われては経費に跳ね返ってくるので
員数チェックはきちんとした
過不足についての相談は杉田が行う事を売場責任者に伝え
地下催事場へ向かった
食品催事場は毎週催事替えを行うが 殆どのリース什器が使え
大きな催事以外は余り神経を使うことは無かったが
それでも 柱周りの飾りつけなど 急に言ってくる事があるので
売場責任者と事前に話をしておく必要があった
丁度 杉田と食品部長が話しているので
「こんばんわ 部長」
「やあ 山ちゃん 今夜は別に何も無いよ しかし凄いね」
「えっ 何がですか?」
「だって 店長から直々に金一封が出たそうじゃないか」
神山は杉田をにらんだが 
「山ちゃん 杉田君じゃないよ でどころは」
「そうなんですよ ここに来たら部長がご存知でしたので」
「ええ しかし休み無しで働きどおしです」
「まあ 若い時しか出来ないから 頑張って」
神山は7階催事場の件を杉田に伝えると 
「あと 倉さんに挨拶して 上原の現場に行く」
「はい 分りました」
「その後は御殿場の現場で 何時になるか分らない」
「めちゃくちゃ大変ですね」
「何かあったら 携帯に電話してくれ」
「はい 明日は何時に戻られますか?」
「分らないよ なるべく早く戻りたいけどね
今回はアルタの社長も一緒だから」
「はい 倉元さんは先ほど 夕飯に出ましたよ」
「そうか そうしたら 宜しく言っておいてくれ」
「はい」

神山は地下の催事場を確認すると20時になっていた
1階にあるニーナ・ニーナのブティックに行ってみると
浜野たち社員が残業をしていた
久保の姿が見えないので浜野に尋ねると
「すみません 今化粧室に行っています 直ぐに戻ってきます」
「そうですか では受付で待っていますと伝えてください」
「は~い しかし神山部長さんって すごくお忙しいのですね」
「本当に休みが無くて 嬉しい悲鳴さ それでは失礼するね」
「頑張ってくださいね」
神山はニーナ・ニーナの社員に手を振って別れると
受付で祥子を待つことにした
外でタバコを吹かしていると 帰宅する従業員達が
「お疲れ様です お先に失礼します」
と言ってお辞儀をして帰っていく
銀座の立地か 皆可愛い従業員たちばかりだった
店内からも残業を終えて出てくる従業員達も可愛かったが
制服姿しか見ていない神山はどこの売場か思い出せなかった
制服で売場に立っていると個性を隠されどの子も同じように見えるが
私服姿を観察すると洋服の好みや化粧など色々と好みが分り
楽しみながら観察をしていると祥子から声をかけられた
「ごめんなさい 遅くなりました」
「もう 終った? 大丈夫?」
「はい ごめんなさい お待たせして」
神山は祥子を連れて パーキングビルに行った
待合室にアルタの田代が待っていた
「お待たせ 田代さん こちらニーナ・ニーナの久保さんです」
「こんばんわ ニーナ・ニーナの久保です」
神山達は簡単な挨拶をして 車をタワーから出してもらった
出口に駐車された車は白いフェアレディZだった
神山と祥子が後ろに座り上原に向かった
「田代さん ボルボじゃないの?」
「今夜はこの車で御殿場です」
綺麗に掃除された車内は 車独特の匂いが無かった

祥子は上原のショップが心配なのか言葉少なかった





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