2010年12月17日金曜日

Vol.160 若葉 -6-13

売場にはしぶしぶ断った経緯があるんだよ」
「そうだったんですか 済みません」
「まあ 仕方ないね 今後は連絡をくれよ 頼んだよ」
「はい 分りました」
杉田に注意をしてコーヒーを飲んでいると奥村課長が呼んだ
「山ちゃん アルタの内藤社長から電話です」
「はい 何番ですか」
「3番です」
神山は外線の3番ボタンを押すと
「アルタの内藤です 今回はありがとうございます」
「神山です 社長 お久しぶりです
それと先ほど高橋さんから頂きました ありがとうございます」
「とんでもないですよ こちらこそ ありがとうございます」
「いえいえ それで、、、」
「実は今度の水曜日ですが 朝早く御殿場で仕事が入ったんですよ」
「今度の水曜日は定休日で休みですが、、、何時ですか」
「10時にホテルの仕事です」
「しかし 社長の所にもデザイナーさんがいらっしゃるでしょ」
「ええ しかし椿オーナーが神山さんに是非きてくださいとの
お願いなんですよ なんとかお願いします」
「はあ 椿オーナーが、、、」
「ええ 何とかなりませんか?」
「しかし 上原があるし、、、困りましたね」
「上原は高橋に任せ ひとつお願いできませんか」

神山は内藤の願いを聞き入れる事にした
アルタは明日から上原の現場に入り 
床や天井の墨だしを行う予定になっていた
墨だしのチェックを行う予定だったが 水曜日に出来ないので
火曜日の夜に行いその足で横浜支店長の
田代 純一と御殿場に入る事になった
神山は銀座で仕事を終えた後 上原で高橋 田代と合う約束をした
「では 椿オーナーには私から伝えておきます」
「ええ しかし参りましたね 嬉しい悲鳴ですね」
「では 明日の夜 上原でお待ちしています」
神山は電話を切ると奥村課長に御殿場行きの事を伝えた
アルタの内藤社長から経緯を聞いていたので 余り驚かなかったが
「しかし 山ちゃん 今回は出張扱いにはならないよ」
「そうですね しかし困ったな、、、」
「そうしたら 今回はあきらめてもらって休みを先送りでどう?」
「そんな 本当に休みをいただけるのですか?」
「うん 山ちゃんが売れっ子だからしかたないでしょ」
「また~ でもお願いしますよ 本当に」
「分った では御殿場の仕事を頑張ってな」
「ええ しかしなんで椿オーナーが僕を呼ぶのだろう」
「多分 気に入られたからだよ 先ほど内藤社長が言っていた」
アルタの内藤は ゴテンバ グランド イン オーナー椿の事を
気に入った人間にしか話をしないということを言っていた
アルタにしても仕事の関係だけではなく 人間関係を
広くしていこうと考えていた
内藤は自身との話だけではなく 斬新なアイデアの持ち主である
神山との接点を好んだ椿に対し アルタではなく神山を前面に
押し出し渉外対策で動いてもらおうと考えた
勿論 奥村には納得をしてもらわなければ出来ない事だが
奥村にも鈴やののれんと自身の高名を考えていた
お互いの損得勘定がマイナスでない事を確認して政策は動いた
神山は席に戻ると杉田に明晩の予定を話して
「頼むぞ 翔」
「分りました しかし人気者は辛いですね」
「何言っているのだ 自分も直ぐになるさ」
神山は杉田を励まし 自分の仕事に集中し
明晩の入れ替え作業の手順などを各業者と確認した
由香里が明日の残業届けを人事課に出しに行くので
「これから人事課に行きますが 他に御用はありませんか?」
課員が待っていましたとばかり 雑用までを由香里に任せる中
「そしたら僕も店内に用があるから行こうか」
神山は由香里と一緒に部屋を出た
人事課は別棟にあるのでエレベーターで一緒に1階に下がった時に
「由香里 これ昨日借りた分 返すよ ありがとう」
「いいのに こんなに早く返されると使っちゃうわ」
しかし由香里は15万円を喜んで受け取ると神山にお辞儀をした
「由香里 今夜の件は知っているよね」
「ええ ニーナ・ニーナのご招待でしょ 知っているわよ」
「場所を聞いた?」
「ええ 先ほど筒井さんから連絡があったわよ」





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