2010年12月31日金曜日

Vol.174 若葉 -7-14

前に座っている田代から
「ほんと 山ちゃん 大事にしないと奥様から嫌われるよ」
「はい 大丈夫ですよ 大事に使いますから」
真奈美が手を離したのを合図にホテルに着いた

玄関では椿総支配人と亜矢子が向かいにきていた
4人は車から降りると 皆で挨拶を交わした
御殿場の気温は東京と違いまだ肌寒かったが
夜空には零れんばかりの 小さな星がキラキラと輝いていた
車はホテルのドアマンが屋根のある駐車場へ入れた
「椿さん 今回はありがとうございます」
「いえ 内藤さんに仕事を任せたほうが安心ですから」
同級生でお互いテニス部で一緒にプレーをしていた仲だが
挨拶はきちんとしていた
「ところで椿さん 明日の天気は?」
「大丈夫ですよ 折角来て下さったのですから」
「それは良かった なあ真奈美」
「そうですよね 雨さえ降らなければいいわね」
椿と亜矢子が4人を部屋に案内した
内藤夫妻は山側の最上階15階のスイート
田代と神山は海側の最上階7階の部屋があてられた
神山は先日宿泊した部屋ではなく事務所に近い部屋だった
田代は神山と反対側の角部屋をあてられた
椿は内藤夫妻を案内し 亜矢子は田代と神山を案内した
7階につくと最初に田代の部屋に行き その後で神山を案内した
ドアを開け中に入ると 亜矢子に軽くキスをした
最初は戸惑った亜矢子だったが なれると亜矢子が積極的になった
暫く戯れているとサイドテーブルの電話が鳴った
電話に出てみると内藤社長からで
「30分後に3階のステーキで会いましょう」
「はい 分りました」
神山が電話を切ると 亜矢子が
「今夜はゆっくりとしてくださいね」
お辞儀をする亜矢子を抱きしめキスをした
亜矢子は我慢が出来なくなる事が怖く必死で逃げた
「もう 本当に止めてください お願いです」
神山は少し怒った亜矢子の顔が美しかったので見とれてしまい
下半身はどんどんと元気になったので
「ほら 亜矢子さん 触って」
神山は亜矢子の手を自分の下半身に導いた
大きくなっている下半身を触った亜矢子は
「ねえ あなただけじゃないのよ」
今度は亜矢子が神山の手を自分の秘所へ導いた
ショーツの上からだがじっとりと湿って生暖かかった
「ねっ だから止めて 今夜は、、、」
「分った ごめんね そんな困らせるつもりではなかった」
ドアのところで再び亜矢子がお辞儀をして振り返ったときに
神山はお尻を軽く触った
亜矢子が怒っているのか
笑っているのか分らない顔でこちらをにらみ
「いい子にしていないと お預けですよ うふっ、、、」
最後は二人で笑ってその場を別れた

神山はバスルームで汗を流し髪の毛も洗い浴室を出た
冷蔵庫から美味しい地ビールを呑んでいると田代から電話があり
「山ちゃん そろそろ行こうか?大丈夫ですか」
「ええ 行きましょう ではエレベーターで待っています」
「はい了解しました では」
神山は着替えをしてエレベーターで田代を待った
間もなく田代がきて 3階のステーキハウスに入った
まだ内藤夫妻は来ていなかったが
マネージャーが二人をテーブルに案内した
カウンターを過ぎるときにコック長が軽く会釈をしたので
「先日はご馳走様でした ありがとうございます」
「美味しく食べて頂きまして ありがとうございます」
短い会話だったが 神山は又 食べに来ようと思った
テーブルにつくと直ぐに内藤夫妻とグラビアから出てきたような
プロポーションの良い女性が付いてきた
神山と田代が立ち上がりお辞儀をすると 内藤が紹介をした
「椿さん こちらが鈴やの神山部長で
こちらは横浜支店長の田代です」
「こんばんわ 今回は色々と我侭をお願いしまして
ありがとうございます 支配人を務めています椿の家内です」
椿純子は丁寧にお辞儀をし挨拶をした





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2010年12月30日木曜日

Vol.173 若葉 -7-14

「僕は大丈夫だけど、、、」
「そんな マニアックな料理ではありませんよ」
「そうしたら 私もいただけます」
5人は笑いながら渋谷のホテルに入った
筒井と祥子は不思議そうな顔をしたが
高橋は構わず中華料理店に入った
ホテルの中にある中華レストランとは思えない造りで
祥子は時間が空いたら神山と来る事を決めた

「山ちゃん マンションに寄って行こうよ」
上原の現場を出た田代達4名を乗せたフェアレディZは
神山のマンションに着いた
田代が降りてトランクを開けるとゴルフバッグが3つ入っていた
そのうちの一つを田代が取り出し神山に渡した
神山は突然の事なので 内藤に
「どうしたんですか?」
「うん 以前使うつもりで買ったけど 使わないし、、、
それに使わないと可哀相だから だから山ちゃん使ってください」
なんとも贅沢な発言であったが ありがたい気持ちで一杯だった
「ありがとうございます 頂きます」
「そうしたら 部屋に置いて来たらいいよ」
「ええ そうします では暫く待っていてください」
神山はゴルフバッグを担いで部屋に向かった
田代も傍にある紙袋を持って神山の後についた
部屋に置くと田代が紙袋の中を教えた
ゴルフシューズやボール 手袋などなど 
そのままゴルフ場に行ける贈り物だった
車に戻ると
「内藤さん ありがとうございます」
「どういたしまして 昨日家内に先を越されたからね」
「ええっ?」 
「だってそうだろ ロレックスは家内からのプレゼントなんだよ」
「はあ?」
「だから 私からもプレゼントをしないと片手落ちになるだろ」
「はあ ありがとうございます」
神山は内藤社長と夫人に対し深々とお辞儀をした

4人は車に乗り込んだが運転席に内藤が座った
隣りに田代 後ろに神山と婦人が座った
「では 御殿場に行きましょう 遅くなりました」
そう言うと内藤はタイヤをきしませ発車させた
渋谷に出て首都高に入るとますますスピードが上がった
しかしこのフェアレディZは横ぶれなど無く快適に進んだ
東名高速に入るとますますスピードが上がり 神山も心配になった
そんな横顔を見ていた真奈美は
「大丈夫ですよ 一番安全なスピードですから」
神山は全然意味がわからなかったので
「こんなに早いのが 安全なのですか?」
「そう この人 このくらいのスピードでないと安定しないの」
「へぇ」
「そうなんですよ 山ちゃん 社長のスピードは知っているでしょ」
以前 内藤の運転でゴルフ場へ同乗したが
ここまでのスピードは出していないと思った
「山ちゃん 驚いた?」
「ええ 以前 こんなスピードを出していましたか?」
「いや 車によって変えていますよ 
これは時々このくらい出さないといけないのです」
「へぇ~ 知らなかった」
内藤は車によってある部分でぎりぎりの性能を出してあげないと
本来持っている性能が発揮できなる事を言った
「だから なんでもかんでもこのスピードを出す訳ではないですよ」
内藤は皆に説明しながら余裕ある運転で
御殿場インターチェンジに着いた
神山はロレックスを覗いた
上原を出たのが9時を少し廻っていたので35分で来た事になる
「田代さん 平均何キロでした?」
「ええ 160をさがっていませんでしたよ」
内藤はそのままホテルまで運転した
神山はホテルに着く前にもう一度ロレックスを見た時真奈美が
「本当によく似合うわよ 大切にしてね」
真奈美が時計をはめている手を握ってきた
驚いた神山は手をどうにもする事が出来ずに
「はい ありがとうございます 大切に使いますよ」
神山が握り返すと 真奈美はうっとりとした顔つきになり頷いた





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2010年12月29日水曜日

Vol.172 若葉 -7-14

神山がそれを察し
「大丈夫ですよ 久保さん 上手く行きますよ」
「そうですよ 久保さん 神山さんが付いていますから、、、」
祥子の心配はそれだけではなく 人事の配置も心配の種であった
上原がオープンした時は浜野が店長の予定だったが
銀座での働きを見ていると疑問符がついていた
祥子はいっそうの事自分が本社勤務兼任でもいいと思っていた
神山にはいつ話をしようか迷っていて
話すタイミングをはずしてしまった事を悔やんでいた
今夜の残業にしても本社からのデコレーションを理解していなく
祥子からことごとく注意を受けていた
そんな浜野だが自分の理解のほうが或いは考えのほうが
ニーナ・ニーナの商品をよりアピールできると主張し引かなかった
しかし祥子は会社の指示を守ってもらわなければ
ニーナ・ニーナに必要ない人材だとはっきりと言った
祥子が浜野を甘やかしたのか 
浜野が天狗になったのか定かではないが
現実は浜野を上原の店長にするのには疑問符がついた
祥子の顔が優れないまま 上原の現場に付いた

「お疲れ様 神山さん」
迎出たのは内藤夫人だった
「すみません 遅くなりました」
「ごめんなさいね お忙しいのに あら久保さん 昨日は、、、」
「こんばんわ 昨日はご馳走様でした 本当に楽しかったですよ」
「こちらこそ ご出席ありがとうございました」
祥子と内藤夫人が昨日の挨拶をしているときに内藤が
「山ちゃん ありがとう 随分と早くできそうですね」
「そんな事無いですよ 皆さんのおかげですよ」
内藤と神山が挨拶をしているとショップの奥から筒井が
「山ちゃん ありがとう」
「あれっ 筒井さん どうしたんですか?」
「これまた 挨拶だな 最高責任者としてきました」
筒井や神山たち現場の責任者が揃ったところで ショップの中に入り
墨出しの最終チェックが行われた
床の部分が最重要点だったが 正確な寸法出しでOKが出た
現場に置いてあるスケールモデルと比較しながら
建具や什器の最終チェックまで行われた
祥子も分らないところは遠慮なく高橋に聞き納得をしていた
筒井が祥子に最終確認をした
「久保君 これで納得できますか」
「はい 充分です きっといいショップが出来ます
ありがとうございます」
祥子はよほど嬉しいのか みなに丁寧にお辞儀をした
「よかった では内藤社長 お願いします」
「はい ありがとうございます きちんと作りますのでご安心下さい」
内藤は筒井と祥子に対しお辞儀をし挨拶をした
「では 筒井さん 私達は御殿場の現場に行きます」
「本当にありがとうございます 気をつけて下さいね」
「ええ ありがとうございます」
筒井と内藤が挨拶をしているときに 内藤夫人が祥子に
「今度ゆっくりとお会いしましょう」
「はい 出来ればオープンの時にきて下さると幸いです」
「そうですね そうしますわ」
お互いの約束が取れたところで 内藤が
「では 高橋君 後は頼むよ」
「はい 行ってらっしゃいませ」

関係者がショップから出て 田代達4名が乗車し出発すると高橋が
「それでは 遅くなりましたが 夕飯でも如何ですか?」
筒井が祥子に
「どうする?」
「はい 私は何もスケジュールが入っていません」
「そうしたら 高橋君に任せるか?」
「ええ そうですね」
高橋は筒井の言葉を受けて
部下の内野と田中を呼び車を拾うよう指示をした
ほどなく丘の下に行った田中が息を切らせ戻ってきて
「高橋さん 直ぐに着ます」
内野も戻ってきて田中が呼んだ車を待った
なかなか来ないので心配していたが 田中が呼んだタクシーがきた
5人で乗車し渋谷に向かった
「筒井さん 久保さん 中華料理は大丈夫ですか?」
筒井が





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2010年12月28日火曜日

Vol.171 若葉 -7-14

「ええ やはり社長ですから バンではなくて乗用車で、、、」
「なるほど 大変だね 気をつけてきてね」
「では 8時に待っています」

神山は田代との連絡を終えると7階催事場に行き
リース什器の入れ替えを確認した
ハンガーなど売場の要望どおりの本数を準備しても
時々不足する事があるので余分に準備はしているものの
それを勝手に使われては経費に跳ね返ってくるので
員数チェックはきちんとした
過不足についての相談は杉田が行う事を売場責任者に伝え
地下催事場へ向かった
食品催事場は毎週催事替えを行うが 殆どのリース什器が使え
大きな催事以外は余り神経を使うことは無かったが
それでも 柱周りの飾りつけなど 急に言ってくる事があるので
売場責任者と事前に話をしておく必要があった
丁度 杉田と食品部長が話しているので
「こんばんわ 部長」
「やあ 山ちゃん 今夜は別に何も無いよ しかし凄いね」
「えっ 何がですか?」
「だって 店長から直々に金一封が出たそうじゃないか」
神山は杉田をにらんだが 
「山ちゃん 杉田君じゃないよ でどころは」
「そうなんですよ ここに来たら部長がご存知でしたので」
「ええ しかし休み無しで働きどおしです」
「まあ 若い時しか出来ないから 頑張って」
神山は7階催事場の件を杉田に伝えると 
「あと 倉さんに挨拶して 上原の現場に行く」
「はい 分りました」
「その後は御殿場の現場で 何時になるか分らない」
「めちゃくちゃ大変ですね」
「何かあったら 携帯に電話してくれ」
「はい 明日は何時に戻られますか?」
「分らないよ なるべく早く戻りたいけどね
今回はアルタの社長も一緒だから」
「はい 倉元さんは先ほど 夕飯に出ましたよ」
「そうか そうしたら 宜しく言っておいてくれ」
「はい」

神山は地下の催事場を確認すると20時になっていた
1階にあるニーナ・ニーナのブティックに行ってみると
浜野たち社員が残業をしていた
久保の姿が見えないので浜野に尋ねると
「すみません 今化粧室に行っています 直ぐに戻ってきます」
「そうですか では受付で待っていますと伝えてください」
「は~い しかし神山部長さんって すごくお忙しいのですね」
「本当に休みが無くて 嬉しい悲鳴さ それでは失礼するね」
「頑張ってくださいね」
神山はニーナ・ニーナの社員に手を振って別れると
受付で祥子を待つことにした
外でタバコを吹かしていると 帰宅する従業員達が
「お疲れ様です お先に失礼します」
と言ってお辞儀をして帰っていく
銀座の立地か 皆可愛い従業員たちばかりだった
店内からも残業を終えて出てくる従業員達も可愛かったが
制服姿しか見ていない神山はどこの売場か思い出せなかった
制服で売場に立っていると個性を隠されどの子も同じように見えるが
私服姿を観察すると洋服の好みや化粧など色々と好みが分り
楽しみながら観察をしていると祥子から声をかけられた
「ごめんなさい 遅くなりました」
「もう 終った? 大丈夫?」
「はい ごめんなさい お待たせして」
神山は祥子を連れて パーキングビルに行った
待合室にアルタの田代が待っていた
「お待たせ 田代さん こちらニーナ・ニーナの久保さんです」
「こんばんわ ニーナ・ニーナの久保です」
神山達は簡単な挨拶をして 車をタワーから出してもらった
出口に駐車された車は白いフェアレディZだった
神山と祥子が後ろに座り上原に向かった
「田代さん ボルボじゃないの?」
「今夜はこの車で御殿場です」
綺麗に掃除された車内は 車独特の匂いが無かった

祥子は上原のショップが心配なのか言葉少なかった





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2010年12月27日月曜日

Vol.170 若葉 -7-14

結局 作った物を納めさせ
サンプル同様の造花を出来次第入れ替えをする事で決まった
一年に何回かしか取引の無い所に対してはこのように話が進まないが
月に何回か取引があり
更に大きいイベントのときにも利用しているので融通が利いた
隣りに居る杉田が きょとんとした顔で
「ありがとうございます 助かりました」
「翔 実績を積まないとこうは行かない 間違うなよ」
「はい 分りました」
「おう 山ちゃん良かったな」
「えぇ 倉さんのお陰ですよ」
デザイナー三人で話をしていると由香里がコーヒーを持ってきた
「翔君 部長をちゃんと見習いなさい わかった」
「おう 翔 そうするとすぐに課長だぞ」

由香里を交えて4人で話をしていると奥村課長がきて
「山ちゃん これ店長からだけど、、、」
奥村は店長からの茶封筒を渡した
神山は中を開けると手紙と現金が入っていた
【神山君 ここ暫くの活躍は目に余る活躍で、、、、、、、】
神山は全てを読み終えると封筒の中にある現金を出した
由香里や倉元 そして翔はびっくりした
「どうしたんですか こんなに一杯」
神山は現金が10万円も入っているので驚いた
しかしもっと驚いたのは周りに居る倉元達だった
「課長 どうしたんですか こんな大金 それに2回目ですよ」
「うん この頃の山ちゃんの業績を報告したんだが、、、」
「しかし 池上店長からこんなにどうして、、、先週頂いたのに」
「おう 山ちゃん 店長に電話しろ その方がいいぞ」
神山は倉元の助言で直ぐに店長に電話をした
「やあ 神山君 ありがとう がんばってくれて嬉しいよ」
「しかし、、、」
「それは私からの気持ちだ 受け取ってくれ」
神山は店長から仕事に対するお墨付きを貰ったと確信した
「おう よかったな 山ちゃん 喜んで居ただろ」
「ええ 倉さんありがとうございます」
「なに言っているんだ、、、」
「そうよ いい仕事をされているから店長も誉めたんだわ」
由香里は愛している神山が公に誉められた事に対して
自分が彼を選んで間違っていなかった事に満足した
「それに ロレックスも凄くお似合いですよ 部長」
由香里は皆に認められる空間に神山と一緒に居られなかった事を
残念に思いながら言ってしまった
神山は昨日パーティーに参加していなかった由香里に対し
「ごめんね 由香里姫のお陰だよ これからも宜しくね」
神山は今後の御殿場撮影などを頭に入れた発言をした
「課長 斉藤さんの写真教授 いいでしょ」
「そうだね そうしよう」
奥村も由香里の写真技術を知っているので了承した
「だけど 今夜は一人で行ってきますね」
「はい 頑張ってくださいね」
そんな話をしていると直ぐに閉店時間になった

神山がそろそろ店内に行こうとした時に携帯がなった
「私です お忙しい処ごめんなさい」
御殿場の亜矢子からだった
「いや こちらこそ連絡できなくてごめんなさい」
「私 これから館内を廻りご連絡が取れなくなるものですから、、、」
「いや 本当に申し訳ない」
神山は催事課の入っているビルを出て一人になった
「明日ですが 先日と同じように御殿場駅で待ち合わせしましょうか」
「はい 御殿場駅でお願いします それと今夜お待ちしています」
「ええ お願いしますね」
「はい 気を付けてきて下さい」
神山は電話を切ると入れ替え作業で重要な個所を廻った
後1時間しないうちに出られるので
アルタ横浜支店の田代に電話をした
「神山ですが 田代さん?」
「こんばんわ 田代です」
「あと もう少しで出られるよ 予定通り8時でOKです」
「了解です 8時に着く様頑張ります」
「ごめんね 遅くなって」
「大丈夫ですよ ご心配なく 色々あって今東京本社です」
「えっ なにそれ?」





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2010年12月26日日曜日

Vol.169 若葉 -7-14

祥子は時計を見てみるともう直ぐ10時になるので
「では神山さん 私 本社に行きます」
神山は祥子と代々木上原駅の改札口に歩いていった
「ねぇあなた 今夜 必ずお迎えに来てね」
「うん 分った 8時ごろになると思うけど 必ず行きます」
祥子はその言葉を聞いて軽くキスをした
神山は祥子を見送ると現場に戻った

現場監督の高橋と話をしていると直ぐに時間がたった
「山ちゃん お昼はどうするの」
「うん まだ決めていないよ」
「そうしたら いつもの寿司屋に行く?」
「うん いいけど 現場は?」
「彼らと別行動だから平気ですよ」
「では 行きますか」
高橋は神山を誘って上原駅前の寿司屋に入った
神山は高橋に昨夜の出来事を話しロレックスを見せた
「いいじゃない なかなか似合っていますよ いいですね」
「だけど いいのかな こんなに頂いて、、、」
「大丈夫でしょ 社長は嬉しい気持ちを表して贈られたのだから」
「だけどさ 結局はご自分の財布でしょ?」
「う~ん まあ 余り気にしないほうがいいですよ」
神山は高橋の答えで余り詮索をしないようにした
世間話やNHKニュースなどの話題でお昼を食べ終え現場に戻った
墨出しの続きを高橋と見ながら検査していると携帯がなった

「はい神山ですが どうした」
銀座の杉田からの電話だった
「杉田です すみません」
「なにがあった」
「はい 今夜の造花ですが 届いたのを見ると
サンプルと全然異なり困っています」 
「倉さんはなんと言っている?」
「質は落ちるがないよりましだろう と言っています」
「うん、、、そうしたら直ぐにサンプルと同じものを
すぐに入れるよう言ったか?」
「まだです」
「それは だめだ 倉さんに替わってくれ」
「倉さん 神山ですが 今 翔から聞きました すみません」
「おう 山ちゃん 来週にでも変えてもらおうや」
「そうですね ご迷惑をお掛けしてすみません」
「おう しかし 今回の件は
山ちゃんが悪いわけではないから心配するな」
「ありがとうございます ここを早く切り上げ銀座に戻ります」
「おう 翔だとどうしても相手が足元見るからな 頼むぞ」
「分りました すみませんが翔と代わってください」
「おう 翔 部長だ」
「はい 杉田です」
「兎にも角にも 納品をさせるな 直ぐに電話で確認してくれ」
「はい すみません」
「こちらが終ったら 直ぐに行く」
神山は杉田との電話を終えると上原の墨出しに集中した
大きな図面を広げ実際との誤差をなるべく抑えるように仕事をした
現場の大工の腕がいいのか アウトラインの墨出しは順調に行われ
細かい所については高橋に任せる事にした
「孝ちゃん これだけきちんと出ていれば問題ないと思うよ」
「そうですね 山ちゃんが居てくれると助かるよ」
「床は問題ないとして 後は柱周りの微調整ですね」
「このままの調子で行けば 多分問題なく済むと思うよ」 
「そう願っています では銀座で仕事をしてきます」
「了解です 夜 来られる時までに終っていますから、、、」
「ほんと そう願っています」

神山は現場を出てタクシーで銀座に向かった
銀座についたのは4時少し前で
催事の納品業者が動き出す少し前の時間だった
部屋に入って奥村課長や由香里に挨拶をしながら自分の席に座り
今夜造花を納品する業者に電話をした
「神山ですが、、、」
担当者はまさか神山から電話があると思っていなかったのか
「すみません どうしても材料が間に合わなくて、、、」
神山は駆け引きに出た 
「兎にも角にもこちらの要望どおりに出来ないのだから、、、」
「はい すみません、、、、、」





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2010年12月25日土曜日

Vol.168 若葉 -7-14

「よかったわ この玉子 あなたが好きだから買ってきたわ」
「どうもありがとう 嬉しいよ」

神山は祥子との生活をありがたいと思っているが 果たして
祥子自身どこまで本気で 考えているものか頭をよぎった
毎日このように朝食を食べさせてもらって
夜は激しいSEXをして 本当にこのままでいいのだろうか
由香里との事もあるし 亜矢子の純情さも捨てがたいし、、、
「どうしたの? なにかあるの?」
「どうして?」
「だって 私が聞いているのに無視されているもの」
「ごめんごめん 仕事の段取りを考えていたのさ
ごめんね もう一回言って」
「だから 今夜は何時ごろお出かけになるのですか」
「うん 銀座が終って上原の墨出しチェックが終ってだよ」
「そうしたら 夕飯はどうされるの?」
「夕飯はぬき と言うよりも軽く食べるけどね」
「そうしたら 今夜と明日の朝食は私一人なのね」
「うん しょうがないだろ」
「そうね お仕事ですものね」
「それはそうと 今夜は見に来るの」
「ええ そのつもりですよ 銀座が残業なので一緒に帰りましょ」
「うんそうしよう 8時ごろには出られるかな?」
「もう少し掛かりそうだけど 何とかするわ」
「そうしたら 僕が終ったら呼びに行くよ」
「ええそうして その方が出やすいから」
「そうだね ではそうしよう」

今夜の予定が決まった二人は 朝食を平らげた
まだ出かけるまで時間はたっぷりとあったが 何も出来ないので
「祥子 こっちにおいで」
神山は祥子を呼び寄せると 久しぶりにおっぱいの感触を確かめた
「何しているの 嬉しいけど、、、」
「だって 久しぶりだろ ほらおっぱいちゃんも喜んでいるよ」
「ば~か 私が喜んでいるんでしょ だめよ、、ねぇったら」
「分りました しかし素直なおっぱいちゃんだ」
「分りましたから 離して お願いだから」
キスをしようとすると 近づけた唇をとうざけた
「どうして おっぱいは良くて 唇はだめなの?」
「ごめんなさい 納豆の匂いがして、、、」
「そうか 悪かった ごめんね」
「いいの 私が食べられればいいんだけど ごめんなさい」
神山は気を取り直して
「今朝のスケジュールはどうなっているの
僕は直ぐに現場に行きますが」
「私は会社に寄ってから銀座ですけど 朝は少し空いています」
「そうしたら 現場に着なよ 基本が分るから」
「ほんと お邪魔しても怒られないかしら?」
「怒るなんて 皆びっくりするよ」
「そうしたら 教えてくださいね 基本を」
祥子は先ほどまでの暗い感じだった顔が一変で明るくなった
普段の明るい顔に戻った顔を見て内心ホットした
自分の生理で神山を満足させる事が出来ないジレンマで 
神山のご機嫌をとろうとしていたが 逃げ道が見つかり安心した

「おはよう」
神山は祥子と一緒に上原の現場でアルタの皆に挨拶した
約束の9時にまだ充分な時間に現れた二人に高橋は驚いた
現場には施工を請け負った作業員が墨出しの準備をしていて
高橋の本心としては準備段階を見られることは好まなかった
しかし神山の技量から考えれば誤魔化す事は出来ないし
ありのまま下準備から見てもらったほうが上手く進むと思っていた
「孝ちゃん 久保さんが時間があるので見てみたいと言っているので
現場に来て貰いました お願いしますね」
「山ちゃん 連絡をくれれば 綺麗にしておくのに、、、」
「いいじゃないですか ありのままで」
高橋は祥子に照れ笑いをしながら
「うん 久保さん 不明なところや疑問のところは仰ってください」
「ありがとうございます 神山さんにも言われてきました」
3人は図面やスケールモデルを見ながらイメージを中心に話が進んだ
「神山さん 本当に思ったとおりに出来上がるのですね」
「勿論ですよ アルタの仕事は間違いないですよ」
「久保さん ご安心下さい 神山さんが付いていますから大丈夫」
「嬉しいわ 神山さんお願いしますね」





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2010年12月24日金曜日

Vol.167 若葉 -7-14

「良かったじゃないか 楽しめて」
「だけど 肝心なあなたが居なかったからつまらなかったわ」
「うん その分仕事していたよ」
「主役抜きの誉め言葉を聞いても全然つまらないわ 本当に」
「おいおい 帰ってくる早々 そんなに言わないでくれよ」
「だって今夜の主役はあなたでしょ 私の大切な人よ」
「分ったよ だから仕事をしていたんだよ」
「大切な人が誉められた時 傍にいたいの わかる?」
「分るよ 本当に でも仕方ないだろ 明日も御殿場に行くんだ」
祥子は目を丸くして驚いた
「どうしたの 又なんで明日なの?」
神山は経緯を説明し祥子に納得してもらった
「ふーん そうすると
今夜頂いたロレックスもその分が含まれているのかしら」
「うん 分らないけど 何しろ忙しくなってきたよ」
神山は立ち上がって 昨日買ったカメラを祥子に見せた
「このカメラセットもアルタで買ってもらった」
「凄いわね 本当に」
「ねっ だから仕事が山となっている訳でして ごめんね」
「ううん いいの そんなに忙しいって知らなかったから、、、」
「そうしたら バスに入ろうよ 久しぶりにどう?」
「ごめんなさい 先ほど女性になっちゃたの だからだめなの」
「そうか だめなんだ 残念だな」
「そうなの だから今夜はお預けなの ごめんなさい」
神山は久しぶりの交わりを期待していたが諦めた
祥子もビールを呑みながら神山を見て俯いた
神山はそんないじらしい祥子を抱きしめキスをした
祥子も久しぶりのキスにこたえた
「ねぇ これ以上はだめ 我慢できなくなるし ねぇ」
「うん 分ったよ」
「そうしたら 今夜は別々に寝ますか?」
「うん 祥子が辛いだろうから いいよ」
「私も寂しいけど、、、だけど明日は起こしに来るわ」
「分った」
「怒らないでね 一緒に朝ご飯を食べて」
「うん 起こしてくれよ ちゃんと」
「はい 本当にごめんなさい」
祥子は俯いて神山の部屋を出て行った
神山は明日行われる上原の図面を準備してベッドに入った
目をつぶったがなかなか寝入ることが出来なかった
(なぜ女性は同じような時期に生理になるのだろう)
(まさか 亜矢子も生理になっているかもしれないな)
(男に生理が無い事は分るが 在ったらどのような形で
或いはどのような躰の変化が生じるのだろう)
(きっと 気持ちよく大きく元気になっても 射精しないとか、、、)
(よかった そんな事になったら大変だ 男でよかった)
神山はそんな事を考えていると 睡魔が襲ってきて寝入ってしまった

4月14日火曜日 快晴
神山は携帯電話の目覚まし機能で起きた
昨日に続き自分の部屋で起きてみると 祥子の温かさが懐かしかった
まだ7時前だが御殿場の準備をする事を考え早めに起きた
今回はカメラの要請は無いが標準ズームを準備し
着替えをカメラバッグに詰めた
昨夜準備した上原の図面を確認していると玄関のチャイムが鳴った
「私です おはようございます 起きていますか」
神山は玄関を開け
「おはよう 昨夜は寂しかったぞ」
祥子の額を軽くつついて キスをするとそのキスに答えた
「朝食の準備が出来たわ 一緒に頂きましょ」
「うん いつもありがとう 先に戻っていて 直ぐに行くから」
「はい 直ぐに来てね」
祥子はまだルームウェアのままだった
神山は部屋に戻るつもりだったので 起きたままの格好で行った
今朝のメニューも純和風だった
祥子は納豆が嫌いだったが神山の前に納豆と生卵が置かれていた
「どうしたの 納豆は嫌いだったはずだろ」
「ええ 今朝の玉子は美味しいと思って準備したの」
「へぇ 玉子が美味しいなんてうれしいな もしかしてコーチン」
「ふふふ そうよ」
祥子は目玉焼きにして準備していた
神山は持ってきた地ビールをコップに注いで乾杯をして食事をした
祥子が美味しいと言った玉子を納豆にかけて食べてみると甘かった
「祥子 この卵 美味しいよ 本当に」





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2010年12月23日木曜日

Vol.166 若葉 -7-14

「ええいいわよ 出社したら机にメモを置いておくわ 何かあるの?」
神山はここ3ヶ月の発注量を調べてみるとA社取引高が昨年の
今の時期に比べると 倍近い発注量になっている事に気がついていた
このままでは他社と差がつき過ぎ良くない状態になると考えていた
翔には話をしたがどこまで理解しているか分らないので
チェックをして欲しいと頼んだ
「ええ 私も気がついていたわよ 先日奥村課長も少し考えていたわ」
「やはりな 奥村課長も考えているんだね
僕自身も少し多くなっているとは感じてはいたんだが、、、」
「デザイナーさん皆一緒よ 特に翔君が多くなっているわね」
「そうしたら 明日銀座に行ったら翔と話すよ」
「ええ あの子も悪気があって
他社に発注をしない訳ではないみたいだから でも分かりました」
「そうだよな、、、それでは何かあったら携帯に連絡をください」
「はい 頑張ってくださいね」
「うんお休み」

神山は由香里との電話を切ると
仕事用の電話機に入っている留守電を再生した
【アルタの高橋です お疲れ様です 明日の墨出しですが
8時から現場に入って9時頃から行います お待ちしています】
神山は高橋の携帯に電話をした
「神山ですが 孝ちゃん」
「やあ 山ちゃん 早いね まだ社長は呑んでいるよ」
「うん こちらも仕事が溜まって 先に失礼してきた」
「山ちゃん 申し訳ないけど、、、明日の朝大丈夫?」
「大丈夫だけど だけど一日で墨出し終わる?」
「そこで早くなったんですよ」
「分りました なるたけ早く現場に行くよ」
「了解です それでは頑張ってください」
「それでは 明日」
神山は明日の墨出しが一日で終るか心配で
上原の図面に目を通しもう一度頭の中で整理をした
現状 考えている部分では完璧に仕上がったが
何か発生したら後は現場で微調整をするしかないと思った

上原の図面を片付け銀座の仕事をしようと思ったが
風呂から出た後にする事に決め 湯船に湯を張った
自分の部屋でゆっくりと湯船に浸かるのは初めてで
ここのバスルームから星空を眺めるのも初めてだった
冷蔵庫から御殿場の地ビールを取り出し風呂に浸かりながら呑んだ
アルタから貰った謝礼金の額の大きさや
今夜プレゼントされたロレックスなど
そして由香里との事や祥子そして亜矢子と
運がついているようで怖かった
これは人生に何回しかない「貴重な運」がまとめて来た様で
果たしてこのまま上手く流れていくのか否か
まず女性に関しては3人と分らないように進めるのは難しいだろうし
かといってそのまま放っておくと
他の男に取られてしまいそうでどうしたら良いか悩んだ
ジャグジーを使っているので気持ちよくなり睡魔が襲ってきた
神山はバスから出るとシャワーで頭を濡らしシャンプーで洗い
ジャグジーにボディーソープをいれ躰を洗うとバスルームを出た
祥子の部屋には着替えが色々とあるがここには殆ど無かったので
半袖のTシャツにルームウェアのズボンを穿き
冷蔵庫からビールを出して呑んだ
一息入れると銀座の仕事が待っているのでこなしていった
出来上がった書類から杉田にFAXをした
1時を廻ったが頭が冴えていたので杉田のデザインまで行えた
この部屋で仕事をする事が決まった時にデザイン用品を揃えたが
仕事を進めていくと足りない物が出てくるので
その都度忘れないようメモに書きたしていった
全てが終ったのは2時を少し廻っていたが祥子からの連絡は無かった
神山は昨日同様に造り付けのベッドに入り目をつぶった

暫くすると玄関のチャイムが鳴ったので出てみると祥子が立っていた
「ごめんなさい 遅くなりました」
「まあ いいから入りなよ」
「ええ しかし楽しかったわ」
神山はテーブルの上を片付けビールを出した
祥子は美味しそうに呑むと
「ねぇ 倉元さんて凄く面白い方ね 素敵だわ」
「そうだろ 真面目だけどどこか面白いのさ」
「ええ 今日は久しぶりに笑いどおしだったわ 真奈美さんも一緒よ」





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2010年12月22日水曜日

Vol.165 若葉 -7-14

「お客さん 上原に着きましたよ」
すっかり寝込んでしまった神山はタクシーの運転手に起こされた
神山はマンションに戻り郵便受けを覗くと
宅配業者からの不在表が入っていて
【ゴテンバ グランド インさん からのお届けものは
管理人さんに預けました 受け取りをお願いします】
神山はエレベーター後方の管理人室に行き荷物を受け取り
台車を借りて自分の部屋に運んだ
送られてきた日本酒を筒井の分を取り出し祥子に電話した
「神山ですがお楽しみのところ 済みませんね
どう盛り上がっていますか」
「はい 私です ちょっと待ってくださいね」
祥子は居酒屋のような所に行っているらしく雑音が酷く
聞こえないために静かな場所に移った
「ごめんなさい 聞こえますか?」
「うん 聞こえるよ 大丈夫です
ところで筒井さんの住所を知りたいんだけど、、、」
「どうしたの?」
「うん 御殿場のお土産を送りたいんだ」
「はい 少し待ってね 今手帳を持ってきます」
「うんお願いします」
神山は祥子から住所を聞くとメモをしてから
「どうもありがとう 今夜中に宅配業者さんに出しておきます」
「はい 分りました お仕事頑張ってください」
「そちらも頑張ってください」

神山はメモを書き直して日本酒を台車に載せ管理人室に行くと
管理人は荷物を受け取り寸法と重量を測り送料を割り出した
神山はお届け伝票に必要事項を記入し送料を渡し部屋に戻った
時計を見ると22時30分なので銀座の部屋で
杉田が仕事をしていると思い電話した
「おばんです 神山ですが どうだい仕事は」
「こんばんわ どうされたんですか?もう自宅ですか?」
「うん 今帰ってきた」
「随分と早いですね」
「うん 皆は2次会に行ったが そうも出来ないからな」
「ありがとうございます お聞きしたい事があって
電話をしようにも どうしたものかと考えていた所です」
「そんな 遠慮しないでくれ 時間がもったないぞ それで」
神山は杉田の悩んでいる事を聞きだし 適切に指示をした
杉田は神山から聞いたアドバイスで
「分りました その方法で合い見積もりを行います」
「うん その方法がいいと思うよ」
「ええ ありがとうございます たすかりました
これから書類を作って明日各業者にFAXします」
「うん 頑張ってくれてありがとう 23時頃には帰れよ」
「はい それで明日はどうされますか?」
「うん 午前中は上原の現場で午後から銀座に行く」
「分りました 気をつけて下さいね」
「うんありがとう 翔も気をつけろよ」

神山は杉田と電話を終えると 由香里に電話した
「こんばんわ 神山ですが」
「こんばんわ お早いですね」
「そう 10時過ぎに終って帰ってきた」
「倉元さん達とご一緒ではないのですか」
「うん 翔が今も部屋で残業していたし
それに自分の仕事が山ほど残っているからね」
「そうですか 大変ですね それで翔君もまだ部屋で仕事?」
「うん 今電話したら仕事の最終段階だったよ」
「頑張っているわね 早く課長さんになってもらえるといいわね」
「うん それから例の日本酒が届いていて筒井さんに送っておいた」
「あっ そうそうありがとうございます 私の所にも届いています」
「良かったね」
「ええ 先ほど母と味わって 美味しいって言っていましたよ」
「へぇ~ まだ呑まれるの お母さんは?」
「ええ 昔は私より呑んでいたみたいよ
今は呑んでいるけれどそんなに量は呑まないけどね」
「しかし 美味しいお酒でよかったね 喜んでもらって嬉しいよ」
「そうね 私も嬉しいわ いい日本酒に出会えて」
「また一緒に御殿場に行こうよ」
「ええ お願いしますね」
「それと 明日だけど午前中は上原です 午後から銀座に行きます
それと 翔の書類を見てあげてくれる?FAXする前に、、、」





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2010年12月21日火曜日

Vol.164 若葉 -6-13

「まだ大きい声ではいえないけど アレックスグループです」
「えっ あのアレックスですか」
「そう 御殿場では専用館を建て展開します」
「へー そんなに規模が大きいのですか」
「ええ そんな訳でして 済みません うちの自慢話になりまして」
内藤は御殿場の話を切り上げたかった
しかし筒井はこの青年にどこにそんな交渉力があるのか知りたかった
神山より一つしか違わないのに会社の社長で
先代の母親から引き継いだ部下や取引先を上手に運営し
さらに自分の目で確かめた神山のような人材を適用し
会社を右肩上がりの業績を残している
筒井は財力だけではなく 内藤 一哉という人間の周りに
いい仕事が付いて来ているのだと思った  
筒井はしかしそれだけでこのパーティーに何故参加したのか聞いてみた
「筒井さん よく読まれましたね さすがです」
「ええ 先ほどから考えていたのですよ どうしてって」
「実は 今日この場所で僕が奥さんにプロポーズをしたのです」
「うわぁー それは大変だ いいのですか 皆一緒で、、、」
この告白を聞いて間に座っている神山や祥子 奥村と倉元は
一同驚き 皆拍手してお祝いをした
普段控えめな内藤が参加したいと言った時に
普段と違う感覚だったことがようやく分りすっきりした
祥子が神山に
「いいお話しね ねぇ 部長どの、、、」
「そうですね 温かくて気持ちがいいですね」
祥子が皆にわからないようテーブルの下で神山の手を握った
神山が祥子を振り向くと祥子はこちらの目を見ていた
神山が手を解き時計をはずそうとすると真奈美が
「今晩だけは そのままにしてください」
「はい でももったいないし、、、でもそうします」
最初は心配顔だった真奈美もほっとして笑顔になった
奥村や倉元は神山が頑張れば頑張るほど鈴やの
実力が上がり仕事にもいい影響が出ると考えていた
倉元は呑んでいる勢いもあって
「山ちゃん 次はロールスロイスでも頂きか」
「そんな~」
「そうですよ 倉元さん 私だって持っていないんですから」

皆で笑いながら食事をしていると時間が過ぎていた
筒井が貸しきりの予定時間を過ぎている事に気づき
「皆様 ご多忙の中お集まり頂きましてありがとうございます
今夜は内藤社長のご配慮で貸切にさせて頂きましたが
そろそろ と言うより時間を過ぎてしまいました
これにて閉会にさせていただきます
これからも 神山部長の応援をお願いし 〆をさせて頂きます
山ちゃんこれからも 頑張ってください それでは」
テーブルを囲み皆で一本〆を行った
神山は立ち上がって改めて 内藤夫妻に深々とお辞儀をした
筒井と祥子に向かって軽くお辞儀をし 同僚にもお辞儀をした
内藤真奈美が神山に
「神山さん ありがとうございます 先ほど地酒が届きました」
「こちらこそ 美味しかったものですから」
「私も大好きですよ あの地酒」
「良かったです 喜んで頂いて これ大切にします」
神山は腕のロレックスを真奈美に見せながら言った
店を出るときに筒井が
「山ちゃん これから2次会に行こうよ 倉さんも一緒だし」
神山は内藤から貰ったロレックスを見てみると22時を指していた
お酒は充分いけるが部屋に戻って仕事をこなさなければいけなかったし
銀座では杉田がまだ仕事をしていると思った
「しかし 今夜は部屋に戻って仕事をします」
「そうか 内藤さんも一緒だぞ」
「ええ しかし 銀座もあるし、、、」
「分った 頑張ってくれよ」
神山は皆にここで失礼する事を告げると祥子が寄って来て
「私 奥様とお付き合いするのでごめんなさい」
「いいよ 帰ったら電話を下さい」
「はい 分りました それでは頑張ってね」
神山は内藤夫妻らに深々とお辞儀をし皆と別れた
そばに止まっていたタクシーに乗り込み手を振ったが祥子だけを見ていた
祥子は後ろの方で小さく控えめに手を振って答えた
一人になるとアルタからどんどんと増える謝礼金に戸惑っていた
そんな事を考えていたが 睡魔が襲ってきて目をつぶってしまった





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2010年12月20日月曜日

Vol.163 若葉 -6-13

マスターに料理を運ぶように指示をし改めて乾杯した
ビールを一口呑んだ内藤が奥村に
「神山さんには本当に助かりました ありがとうございます」
「いえいえ こちらこそお役に立ててありがたいことです」
内藤が神山に
「明日の晩 田代と一緒に伺います」
「えっ 内藤さんが ご一緒?」
「そんなにびっくりしないで下さいよ 椿君とも久しぶりだし」
「そうですね 同期ですよね しかし、、、」
「大丈夫ですよ 家内と別の部屋ですから」
「奥様もご一緒ですか?」 
「ええ 久しぶりに4人でゴルフをしようと決まりましてね」
「そうすると打ち合わせは、、、」
「明晩させて頂き 翌日は山ちゃんが決めてください」
「えっ そんな そんな大事な事を任せられても、、、」
「先方には椿君が任せられる人をきちんと決めてあるみたいですよ」
「はい それでは明日お願いしますね」
神山は隣りの祥子や内藤 筒井と話しながら出てくる料理を食べた
イタリアワインが用意されると 
皆上品に呑んだが直ぐに2本目が用意された
料理といっても普段見慣れている物ばかりだが味が美味しかった
青山ではイタリア料理店が少なくないが
『イタリアンレストラン スパ』は
会社帰りの女性客でいつも満員になっていた
祥子達も利用する事があるが いつも予約をして食事をしていた
久しぶりの味に祥子も満足していた
祥子が席を立って化粧室に行った時に 神山は筒井に聞いた
「内藤さんがなぜここにいらっしゃるのですか」
「そうだね そろそろ種明かしをしましょうね」
筒井は祥子が戻ってくるのを待って皆に発表すると言った
祥子が席に戻ると筒井が
「さて 宴たけなわのところ皆様に発表させていただきます
今日 ここにアルタの内藤ご夫妻がおられますが
ここ『スパ』は奥様が内装デザインを最初にされた記念の店舗です」
内藤真奈美 旧姓 高田真奈美は結婚する前はアルタのデザイナーで
最初に手がけた店舗デザインがこの『スパ』だった

土曜日に筒井と内藤がゴルフをしたときに筒井が
「内藤さん 以前お聞きした時に青山で奥様がデザインされた
店舗があるとお聞きしましたが、、、」
「ええ 彼女がアルタで最初に手がけた店舗がありますよ それが」
「実は神山部長を慰労するのにいかがかと思いまして」
「そうですね いい考えですよ 
彼の実力は計り知れない物がある いいですよ」
「場所はどこですか」
「御社の直ぐ傍ですよ」
内藤は昼の食事時間を利用し場所や連絡先を筒井に教えた
「そうしたら 筒井さん 私たちも参加させて頂いていいですか」
「ええ 構いませんよ 皆 喜ぶでしょう」

筒井の紹介が終ると内藤が立ち上がり
「鈴やの皆様には大変感謝しています
今回の神山さんの件でもご協力を頂きまして ありがとうございます
そこで 少ないのですが奥村課長に私の気持ちをお渡しします」
内藤は奥村に合図をしこちらに来るよう言った
奥村は内藤の席にいき茶封筒を受け取った
「これを残業のときに使ってください」
奥村は 中にはビール券が入っている事を悟った
「ありがとうございます 使わせて頂きます」
「さて 山ちゃん」
「はい」
「山ちゃんには これをプレゼントするよ」
そう言うと 真奈美が立ち上がり神山に小さい箱を手渡した
「これ 私が選んだの 神山さんのために」
「えっ 奥様が、、、 なんですか」
「どうぞ 開けてください 喜んで頂ければ良いのですが」
神山は包装紙を丁寧にはがし あけてみるとロレックスが出てきた
「えっ こんな高い時計を頂けるなんて、、、」
筒井や祥子 奥村や倉元ら全員が驚いた
「ねえ 腕にはめてみて」
神山は真奈美に言われロレックスをはめてみた
少し緩めだったが バックルで調整しぴったりした
「本当に頂いていいのですか」
「もちろんだよ 今日のごほうびです」
「ところで 内藤さん 今日のプレゼンはどこだったんですか」





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2010年12月19日日曜日

Vol.162 若葉 -6-13

「は~い 今行きます じゃあ今夜電話するね」
「はい 呑み過ぎないようにね いってらっしゃい」
「うん 分った 翔 何かあったら電話をくれ 頼んだよ」
「はい いってらっしゃい」

三人は部屋を出ると地下鉄に向かったが 神山が
「課長 車で行きましょうよ」
「しかし 出ないぞ」
「いいですよ 僕が出しますから」
「そうか そんなに入ったか」
「ええ ボーナスが2回来た感じですよ」
「そしたら ねぇ倉さん 乗りましょうね」
「おう その方が楽珍だしな しかし凄いな 俺にも分けろ」
「ええ 多分明日届くと思いますが 美味しい日本酒が、、、」
「そうか どこのだ?」
「ゴテンバ グランド インのオリジナル地酒です」
「そうか 楽しみだな なあ奥ちゃん」
「そうですね しかし羨ましいな」
晴海通りに出ると客待ちのタクシーが並んでいたので乗り込んだ
神山が前の席に座り 行き先を告げた
後ろの倉元と奥村は市川の事を話していたがあえて聞かなかった
(しかし 由香里はどうしたのだろうか)
(本当に体調が悪いのか それとも祥子の事を調べたのか、、、)
神山の本音では由香里と祥子が鉢合わせしない事を望んでいた
(しかし今夜はどうしたものかと考えていたが 助かった)
3人の女性の事を目をつぶって考えているいるうちに
青山3丁目に着いた

「お客さん 着きましたよ」
「ありがとう」
神山は運転手に起こされ車から降りた
招待された所はニーナ・ニーナの直ぐ傍にある
『イタリアンレストラン スパ』 だった
ここのスパは女性週刊誌やグルメ情報誌などではあまり
取り上げられてはいないが「通」が通うお店だった
イタリアで使用しているオリーブオイルを使用し味には定評があった
受付で名前を告げると奥のテーブルに案内された
すでに筒井と久保そして浜野は先に来ていてビールを呑んでいた
奥村が三人を見つけると挨拶をした
筒井達は立ち上がって お辞儀をした
「今日は お忙しいところをありがとうございます」
「いえいえ こちらこそありがとうございます」
「本当に鈴やさんにはお世話になります」
「そんな 筒井さんも我社員ではないですか」
「おう筒井ちゃん 元気か」
「倉さん いや倉元さん ありがとうございます 本当に」
「まあ 山ちゃんが はまり役立ったんだよ なあ山ちゃん」
「そんな 筒井さん ありがとうございます」
「今夜はささやかですが 楽しんでいってください」
奥村が代表して
「はい そのつもりで着ました」
皆が席に着くと まだテーブルには2人分の余裕があった
(もしかして由香里と市川の席かな 筒井さんに悪い事をしたな)
しかし 筒井は皆にビールを頼んだだけで料理は頼まなかった
筒井の隣に祥子が座りその隣に神山が座った
神山の隣り2席が空いたまま 軽いおつまみを食べる事になった
筒井が気を利かせて
「今夜は 特別な方を招いています それまで今暫くお待ちください」
神山は隣りの祥子に
「誰が来るの」
「ええ 何でもアルタの内藤社長ですって」
「えっ 内藤さんが、、、来るの?」
神山は内藤がこの席に来ることは想像できなかった
アルタがよほどニーナ・ニーナに力を入れている事が分った
そもそもここの主催はニーナ・ニーナであるのに対し
なぜアルタがここまで出てくるのか分らなかった
ニーナ・ニーナがアルタを招待するのは少なくとも
今の段階では不自然な行動だった
しかし神山は逆に内藤に合って聞いてみたかった

皆でビールを呑んでいると内藤夫妻が現れた
筒井が内藤の傍に出向き挨拶をした
神山も席を立ち軽く会釈をし
「内藤さん ご無沙汰です 色々とありがとうございます」
「いや 山ちゃん こちらこそありがとうございます」
簡単な挨拶を終えると筒井が





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2010年12月18日土曜日

Vol.161 若葉 -6-13

「どこ?」
「なんでも青山で ニーナ・ニーナの近くと言っていたわ」
「何時といっていましたか?」
「7時に現地ですって」
「7時か そうすると6時30分には出ないといけないな」
「そうね」
「それでこちらからの出席者は?」
「奥村さんと倉元さんでしょ それからあなたと私の4人よ」
「そうすると 翔と市川は留守番か」
ええ だけど課長は店が終ってから来なさいと言っていましたよ」 
神山は杉田に頼んだ仕事の打ち合わせが長引く事を知っていた
話をしていると人事課がはいっている棟に着き別れた
神山は店内の屋上に行き日本庭園の長いすに座りタバコを吸った
今回の人事で頑張ってくれているのは 倉元さんは別格として
部下である杉田 翔の頑張りも見逃せないと思っていた
近いうちに杉田にこのお礼をしようと考えた

神山は杉田の事を考えまとめると 亜矢子に電話をした
「はい 私です 嬉しいわ こんなに早くお電話をいただけるなんて」
「済みません 忙しいところを」 
「そんな事はないですよ」
「ところで 明日の晩ですが ホテルに伺います」
「はい 先ほどオーナーから伺いました」
「早いですね」
「済みません 我侭言って」
「しかし 夜遅くなります アルタの人と一緒です」 
「ええ お夜食もご用意させて頂きます」
「凄いですね」
「ねぇ 次の日ですが 打ち合わせの後はどうされますか?」
「うん 何もないから帰宅しますが、、、」
「私は お昼で上がります お会い出来ませんか?」 
「そうですか 嬉しいですよ 本当に」
「わぁ うれしいわ 待っていますね」
神山は詳細のスケジュールについては明日連絡する事にした
部屋に戻ると奥村が
「山ちゃん 知っていると思うが 今夜少し早めに出るよ」
「はい お任せします」
神山は奥村課長がサインを送ってきたので頷いた
席に座ると隣の杉田に
「近いうちに ごちそうするよ だから今夜の打ち合わせ頼むぞ」
「ごちです 頑張ります」
「うん 何かあったら 電話しなさい」
神山は時間まで精力的に仕事をこなし
杉田になるべく負担が掛からないよう打ち合わせなどを進めた
夢中に仕事をしタバコも忘れていると
「おう 山ちゃん そろそろ時間だぞ」
神山は時計を見てみると6時を少し廻っていた
「はい 直ぐに終ります」
まだ片付けなければいけない仕事が残っていたが諦めた
明日の夜の分は全て解決させたが 
来週分が残っていたので気になった
書類を整理していると アルタの田代から電話が入った
「田代です こんばんわ」 
「やあ 神山です 明日お願いしますね」
「いえ 本当にすみませんね」
「ところで 明日ですが、、、」
「ええ 明日の晩ですが銀座に伺いましょうか?」
「僕の方は構わないけど 田代さんは大丈夫?」
「横浜からだと 近いから平気ですよ」 
「そうか、、、 ではお願いしようかな」
「分りました そうしましたら出られる1時間前にお電話ください」
「うん 分りました そうします では明日」
神山はアルタの高橋と明日の晩の時間を決めた
部屋を出ようとした時に斉藤由香里が奥村課長と話してた
「課長 私少し躰の具合が良くないので 今回は辞退させてください」 
「うん 分った」
「どうしたの 由香里姫?」
「ちょっと来て」
由香里は二人だけで話せる場所を探し
「躰の具合がおかしいの あなたのせいよ」 
「そんな しかし残念だな 一緒に楽しく呑めたのに」
「だけど 皆一緒でしょ こんどお願いします」
「分ったよ よく似合うよ そのブレス」
由香里は左手にはめているブレスレットを目を細め眺めていた
「おう 山ちゃん 行くぞ」





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2010年12月17日金曜日

Vol.160 若葉 -6-13

売場にはしぶしぶ断った経緯があるんだよ」
「そうだったんですか 済みません」
「まあ 仕方ないね 今後は連絡をくれよ 頼んだよ」
「はい 分りました」
杉田に注意をしてコーヒーを飲んでいると奥村課長が呼んだ
「山ちゃん アルタの内藤社長から電話です」
「はい 何番ですか」
「3番です」
神山は外線の3番ボタンを押すと
「アルタの内藤です 今回はありがとうございます」
「神山です 社長 お久しぶりです
それと先ほど高橋さんから頂きました ありがとうございます」
「とんでもないですよ こちらこそ ありがとうございます」
「いえいえ それで、、、」
「実は今度の水曜日ですが 朝早く御殿場で仕事が入ったんですよ」
「今度の水曜日は定休日で休みですが、、、何時ですか」
「10時にホテルの仕事です」
「しかし 社長の所にもデザイナーさんがいらっしゃるでしょ」
「ええ しかし椿オーナーが神山さんに是非きてくださいとの
お願いなんですよ なんとかお願いします」
「はあ 椿オーナーが、、、」
「ええ 何とかなりませんか?」
「しかし 上原があるし、、、困りましたね」
「上原は高橋に任せ ひとつお願いできませんか」

神山は内藤の願いを聞き入れる事にした
アルタは明日から上原の現場に入り 
床や天井の墨だしを行う予定になっていた
墨だしのチェックを行う予定だったが 水曜日に出来ないので
火曜日の夜に行いその足で横浜支店長の
田代 純一と御殿場に入る事になった
神山は銀座で仕事を終えた後 上原で高橋 田代と合う約束をした
「では 椿オーナーには私から伝えておきます」
「ええ しかし参りましたね 嬉しい悲鳴ですね」
「では 明日の夜 上原でお待ちしています」
神山は電話を切ると奥村課長に御殿場行きの事を伝えた
アルタの内藤社長から経緯を聞いていたので 余り驚かなかったが
「しかし 山ちゃん 今回は出張扱いにはならないよ」
「そうですね しかし困ったな、、、」
「そうしたら 今回はあきらめてもらって休みを先送りでどう?」
「そんな 本当に休みをいただけるのですか?」
「うん 山ちゃんが売れっ子だからしかたないでしょ」
「また~ でもお願いしますよ 本当に」
「分った では御殿場の仕事を頑張ってな」
「ええ しかしなんで椿オーナーが僕を呼ぶのだろう」
「多分 気に入られたからだよ 先ほど内藤社長が言っていた」
アルタの内藤は ゴテンバ グランド イン オーナー椿の事を
気に入った人間にしか話をしないということを言っていた
アルタにしても仕事の関係だけではなく 人間関係を
広くしていこうと考えていた
内藤は自身との話だけではなく 斬新なアイデアの持ち主である
神山との接点を好んだ椿に対し アルタではなく神山を前面に
押し出し渉外対策で動いてもらおうと考えた
勿論 奥村には納得をしてもらわなければ出来ない事だが
奥村にも鈴やののれんと自身の高名を考えていた
お互いの損得勘定がマイナスでない事を確認して政策は動いた
神山は席に戻ると杉田に明晩の予定を話して
「頼むぞ 翔」
「分りました しかし人気者は辛いですね」
「何言っているのだ 自分も直ぐになるさ」
神山は杉田を励まし 自分の仕事に集中し
明晩の入れ替え作業の手順などを各業者と確認した
由香里が明日の残業届けを人事課に出しに行くので
「これから人事課に行きますが 他に御用はありませんか?」
課員が待っていましたとばかり 雑用までを由香里に任せる中
「そしたら僕も店内に用があるから行こうか」
神山は由香里と一緒に部屋を出た
人事課は別棟にあるのでエレベーターで一緒に1階に下がった時に
「由香里 これ昨日借りた分 返すよ ありがとう」
「いいのに こんなに早く返されると使っちゃうわ」
しかし由香里は15万円を喜んで受け取ると神山にお辞儀をした
「由香里 今夜の件は知っているよね」
「ええ ニーナ・ニーナのご招待でしょ 知っているわよ」
「場所を聞いた?」
「ええ 先ほど筒井さんから連絡があったわよ」





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2010年12月16日木曜日

Vol.159 若葉 -6-13

部屋に入るなり入り口で由香里が挨拶をしてきた
「そちらこそ お疲れ様」
神山は自分の席に向かった時 奥村課長が席を立ってきて
「山ちゃん お疲れ様 しかし凄いね 写真の腕前」
「えっ」
「もう筒井さんから情報が入っているんだ」
「ああ アルタの件ですね 別件のプレゼン」
「そう アルタの社長からも先ほど連絡が入ったよ」
「いゃ~ そんあ大げさな事をしたつもりはないですよ」
店内から戻ってきた倉元が
「おう 山ちゃん凄い事したな 喜んでいたぞ 内藤社長」
「そうですか 僕のところには社長から何もないですけどね」
「まあ その内にくるさ」
3人で話していると杉田も出先から戻ってきて神山に
「部長 おめでとうございます 凄いですね」
「やあ 翔まで何言っているんだよ なんでもないよ」
「いいえ ちゃんと情報は入っていますよ」
神山はアルタからどこの会社でプレゼンを行ったか
聞いていなかったし
それにあの会場だからそんなに大きな仕事ではないと思っていた
皆に誉められ悪い気はしなかったが 
もやもやした物が心につかえた
机の上には申請書類が2つの山にきちんと整理され置かれてあり
右の山にある書類をよく見てみると
【チェック済み 翔】とサインされ
もう一方の書類は売場から来たそのままになっていた
伝言もいくつかあるが杉田が対応した物は
同じようにサインされていた
神山はチェック済みの書類に目を通したが漏れは無かった
まだ杉田のサインが無い書類を見てみると
緊急の仕事は殆ど無かったが 
神山自身が発注をしなければいけない仕事だった
「翔 ありがとう よくこんなにこなしたな」
隣に座っている杉田を誉めた
「そんな事はないですよ 分る範囲で発注しています」
「それに こちらの書類に サインをしてくれて 分りやすいよ」
「それはですね 僕のアイデアではなく 由香里姫の案です」
「そうか 由香里姫の、、、」
「ええ ですから 斉藤さんを誉めてください」
神山は由香里が席に居ることを確認し その場で大きな声で
「由香里姫 書類ありがとう」
「いいえ どういたしまして」
由香里がそこそこの声で返事をしてきた
やり取りを聞いていた倉元が
「山ちゃん 由香里姫がこのごろ山ちゃんの為にと大変だぞ」
「えっ そんなに でもありがたいですね」
「おう 大切にしてやれよ」
「はい 分りました」

神山はまだ手の付けたれていない書類に目をやり
発注内容を確認し杉田に任せられる内容は任せた
それでも自分が直接取引業者と対応しなければいけない仕事は
何件か有ったが杉田に予算表を見せながら説明をした
「結局のところこの予算の範囲内で仕事をこなす訳だから
いつも数字を頭の中に入れて仕事をすれば悩まないで済むよ」
「まあそうですが 頭では分っているんですが なかなか、、、」
そこに由香里がコーヒーを持ってきてくれた
「どうも ありがとう」
「ねっ 言われたでしょ しっかりしなさい 
翔くん もうオーバーは絶対にだめよ」
「どうした 何かオーバーしたか?」
「ええ 先週のファッションですが、、、」
「ああ 僕の分で任せた仕事か」
「ええ 20万円ほど出てしまったんですよ 済みません」
「だって あのイベントはそんなに掛からないようにしたのに」
「ええ 自分のフロアの分と神山さんの分を足してまだ
予算内だったものですから 植木を新規にリースをしたんですよ」
「そうか それでオーバーか 仕方ないな」
「済みません それでオーバーした分を皆さんで
負担してもらったんです」
「これからは倉元さんにちゃんと相談するのよ わかった翔君」
「だけど 売場は喜んだだろう」
「ええ 大変喜んでいました」
「あの話は最初植木を入れる約束だったんだよ 
ところが 予算を見てみると とても入れられなかったから





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2010年12月15日水曜日

Vol.158 若葉 -6-13

「筒井さん 山ちゃんと詰めをしますので先にお願いできますか」
「うん分ったよ では久保君 先に行きましょう」
皆がショップから出た後で
「はい これは社長から そしてこちらはカメラ代」
茶封筒を受け取った神山はその厚さに驚いた
「どうしたの こんなに」
「いいの 社長上機嫌だよ ほんと 僕らも大入り袋を貰った」
「よかったね では頂きます そうそうこれが領収書です」
「いよいよカメラマン誕生ですね」
「そんなこと無いよ」
「アウトレットのプリントがあったけど あれは誰が撮影したの?」
「あの写真は僕が撮影した」
「ほんと? あの写真がプレゼンで効いたよ」
「えっほんと 良かったね」
神山と高橋は筒井たちが向かった駅前の寿司屋に行った
店に入ると筒井の隣に祥子が座って反対側に
アルタの内野と田中が座っていた
神山は祥子の隣に座り高橋は内野と田中の間に入った
すでにビールがきていて田中と内野が皆にビールを注いだ
祥子にビールが注がれ高橋が
「それでは 今日はお忙しいところをありがとうございます
筒井さん 久保さん そして神山さん ありがとうございます
先ほどの最終確認で工事はスタートします
こんなに早く進められる事も皆様のお陰です
アルタからの気持ちです どうぞごゆっくりしてください
それでは 工事の無事を祈願して 乾杯」
高橋の音頭で皆乾杯をした
乾杯を合図に鮮魚の活き作りなどがテーブルに並べられた
思い思いに箸が進むなかで筒井が神山に話し掛けてきた
「今日のご予定はどうなっていますか?」
「これから銀座の店に行き それからは何も決まっていませんが」
「そうしたら今夜時間を作ってくれないか?」
「ええ いいですよ 連絡を待っています」
「うん 頼む 5時くらいまでには連絡をするよ」
神山たちは握り寿司を食べ『儀式』を終了した
祥子に
「先ほどの件で 少し遅くなります 先に済ませてください」
「何言っているの 私も同席よ」
「はあ?」
「だから 帰りは一緒ですよ」
「なんなの」
「今度はニーナ・ニーナが鈴やさんをご招待するのよ」
「はあ 大変だね」
「仕事が早く進んでいるので筒井も上機嫌なの」
「なるほど ありがとうです そうすると僕一人ではない訳だね」
「そうね 催事課の人と店長さんもお呼びする予定だって」
「えっ 店長まで」
「しかし 突然なのでスケジュールがまだ決まらないと言っていたわ」
二人が話していると背後から筒井が
「そうなんだよ 突然で失礼したよ
しかし完成の時には参加してもらうよ」
「そうですね オープンの時は参加してもらいましょう」
「久保君 それでは僕は先に会社に戻るよ」
筒井はアルタの高橋らとタクシーで会社に戻った
「これからどうするの」
「私は このまま会社に戻って今夜の準備です」
時計を見た神山はまだ時間があるので
「そうしたら 少し散歩しながら行こうか」
「ええ 気持ちがいいですね 久しぶり」
静まりかえった高級住宅街を腕を組んで歩いた
話題は御殿場アウトレットの話が中心だった
後楽園ドームがいくつ入るか分らない広大な敷地の事や
会場に入る店舗の話しなどで盛り上がった

丘を下りきると少し歩けば渋谷だったが
神山はタクシーを止めて祥子と乗った
運転手に青山3丁目を経由して銀座を告げると窓を開けた
4月らしい気持ちのいい爽やかな風が入ってきた
タクシーが信号で止まると 初夏の装いを楽しんでいる人で溢れ
横断歩道を歩く白のTシャツが眩しく映える季節になってきた
祥子の本社ビルがある青山3丁目には直ぐについた 
「それではお先に失礼します 今夜ね」
祥子を降ろすと銀座に向かった
事務所に着くと3時を少し廻っていた
「おはようございます お疲れ様でした」





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2010年12月14日火曜日

Vol.157 若葉 -6-13

13日 月曜日
時間を忘れ仕事をまとめていると電話が鳴った
「はい 神山ですが」
「山ちゃん 高橋です おはようです」
「どうも まだ時間あるよね」
「うん 実は昨日の写真だけど OKでした」
「どうしたの まだ11時だよ そんなに急いでいたの」
「そう 9時前から打ち合わせで大変だったみたい」
「ふ~ん よかったじゃない 仕事が取れて」
「ほんと 山ちゃんさまさまですよ 本当に」
「それで 御殿場のカメラ代だけど、、、」
「うん いくらになりましたか?」
「合計で48万円です」
「随分と揃えましたね」
「うん この際だから 彼女に選んでもらった」
「了解です お昼に渡しますよ 領収書を忘れないでね」
「うん 了解 それでは12時に」
「お願いします」
電話を切るとすぐに電話が鳴った
「私です」
祥子からだった
「どうしたの?何かあった?」
「やはり 12時には間に合いそうに無いの 大丈夫かしら」
「うん 筒井さんがいるから大丈夫だと思うよ」
「ごめんなさい 少し前に筒井に電話しておきましたが、、、」
「そんなに急がなくても大丈夫だよ 銀座をしっかりみてね」
「ありがとう でも心配だわ」
「何時頃来られるの?」
「やはり30分くらい遅れるわ」
「それだったら全然問題ないよ 大丈夫さ」
「分りました 出来るだけ早く行きます」
祥子は現場で大切な儀式なのに自分が居ない事に憤りを感じていた
電話の口調で感じてはいたが神山はそれ以上言えなかった
銀座店の仕事と上原の仕事をまとめ現場に行くとアルタの高橋と
ニーナ・ニーナの筒井が先に来ていた
「山ちゃん 凄いね 高橋君が大喜びじゃないか」
「そんな でも筒井さんも大変ですね」
筒井と神山はショップの中に入ったが
話題は神山の仕事振りに集中した
アルタの高橋も神山に随分と助けられていたので
「筒井さんもいい人を見つけましたね 山ちゃんは最高ですよ」
「そうだよね 実際ここまで実力を見せ付けられると驚くばかりだよ」
「そんな事無いですよ パートナーが美しいからやる気がでますよ」
「おいおい 山ちゃん ほんと?」
「なんだよ 孝ちゃんだって美しいって言っていただろ」
「まあまあ 久保君も喜ぶよ 二人から言われたら」
結局3人は祥子が到着するまで現場の話は出なかった

筒井が時計に目をやったときにタクシーがショップの前に止まった
祥子が皆に謝りながら車から降りてきた
「どうも済みません 遅くなりました」
「お疲れ様 銀座は大丈夫だね」
「ええ 大丈夫です」
「すみませんね お忙しい時間にお呼びたてをしまして」
「いえ 何時もの事ですから 慣れていますよ」
祥子が揃ったところで現場の最終確認が始まった
アルタの高橋が説明をして部下の内野や田中が補足の説明や
床材などサンプルを筒井に分るように設置した
説明は順調に進み筒井のクレームが無いくらい完璧だった
詳細はやはり神山が説明して筒井を納得させた
「充分分りました 後は出来上がりを待つだけだね」
「そうですね 現場は僕もちょくちょく覗きますよ」
「うん お願いしますね 久保君も頼むよ」
「はい 分りました ありがとうございます」
現場の最終確認が無事終った喜びか祥子は筒井にお辞儀した
「それで高橋さん 引渡しはいつになるかな?」
「最終日程は おって筒井さんにご連絡します」
「お願いしますね」
「ええ 今の予定で行けば4月25日の土曜日を見ていますが」
「えっ 半月以上も早くなるの? ほんと 嬉しいよ」
「ええ 什器はもう製作していますし 出来るだけの事はしています」
「どうもありがとう 山ちゃん ありがとう 凄いね」
「では 最終確認も無事終了という事で
お昼の席をもうけていますので どうぞごゆっくりしてください」
高橋が内野や田中を呼びお連れするように命じた





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2010年12月13日月曜日

Vol.156 若葉 -5-12

祥子は今まで味わった事の無い美味しさに
「本当に美味しいわ くせになるわね」
「うん 少し送ってもらう事にしてあるから待っていてね」
「楽しみにしています」
ビールを呑みながら朝食を食べ終わると祥子が
「そうしたら 今朝は早めに出ます 迷惑を掛けたくないし」
「そうだね そうしたら後片付けを手伝うよ」
「いいわよ そのままで でも助かるわ」
神山は立ち上がった祥子を後ろから抱き寄せキスをした
「ねぇ お願い 仕度をさせて お願い」
神山は片手でバストを愛撫すると
「そんな事をして私を困らせると 今夜はお預けですよ」
「わかった わかったよ お預けはなしにしてね」
神山が笑顔で答えると祥子も笑った
祥子の仕度が出来ると神山は部屋に戻り
外出着に着替え祥子と代々木上原の駅まで歩いていった
4月は緑の香りがして 清々しい気分になった
仕事も順調に進み二人にとっての気分は今のようだった
いつものように祥子のバストが腕にあたり神山はこんなにも
自分を愛してくれている人がいて幸せだと思った
祥子自身ももそれを最愛の人に対する愛の信号と考えていた
出会ってからまだ数日しか経っていない二人だったが
歩調にぎこちさが無くなりテンポが合って来た
改札口に近づくと突然
「ねぇ 愛している?」
「えええっ?」
「だ・か・ら 愛している」
「うん なんで?」
「いいの」
祥子は言い終わらないうちにキスをして改札口に向かった
神山は一瞬の出来事を把握できないまま手を振って見送った

部屋に戻るとまだ9時になっていないので由香里に電話を入れた
「神山ですが、、、」
「おはようございます お疲れ様でした」
「どう 体調は大丈夫?」
「ええ ごめんなさい 私 帰宅して連絡もしないで、、、」
「いいよ それより今まで僕が介抱される役だったのに、、、」
「ええ それと ブレスレット ありがとうございます」
「とんでもないよ これからもお願いしますね」
「今日からこれ付けていっていい?」
「いいよ なんで?」
「だって、、、」
「それより どうした 本当に躰は大丈夫?」
「うん あなたがいけないのよ」
「なんだよ それ」
「だって いっぱいしたでしょ だから躰がおかしくなったのよ」
「なに それ」
「だけど私 今朝女性になりました」
「うん、、、」
「分らないのね 本当に おばかさん
まあ いいわ あなたがいけないことにしておくわね」
「そんな 理由を説明してよ」
「今はだめ 母がいるから あとで」
「分りました ところで出張の件お願いします」
「はい 任せておいて ところで今日のご予定は?」
「うん 12時に上原の最終確認で筒井さんが出席立会いだ」
「まあ 大変ね 筒井さんも」
「もっともアルタの儀式だけどね」
「まあそうね 久保さん一人では可哀相ですもんね」
「その後昼食で3時頃には部屋に行きます」
「はい 奥村さんにはそう言っておきますね」
「うん頼みます では」
神山は 由香里との電話を終えると三島の亜矢子に電話した
「おはようございます 神山ですが」
「おはようございます 亜矢子です」
「昨日は色々とお世話になりまして ありがとうございます」
「そんな こちらこそ しかし大丈夫ですか」
「ええ ちゃんと自分の部屋にたどり着きましたよ」 
「よかったわ 心配しました」
「ありがとう ご心配をお掛けしてすみません」
「今朝 如何でしたか 起きられましたか」
「ええ 仕事の電話で起こされました」
「えっ そんなに早くですか」
「仕方ないですよ」
神山は亜矢子と会話をしていると今にでも会いたい気分になり
「亜矢子さんは 連休をとる事は出来ますか?」
「ええ ハイシーズンは出来ませんが なぜ?」
「やっぱり ゆっくりとしたいでしょ」
「ええ」
亜矢子は疑うつもりは無かったが
「本当に いいのですか そんなにして頂いて」
「今でも 逢いたい気分で一杯ですよ」
「そんな 由香里さんが怒りますよ」
「また 彼女はお仕事ですよ」
「その時まで来て下さらないのですか?」
「いや 必ず行きます 待っていてください」
「本当ですね 信じていいのね」
「ええ 出来れば今月の末あたりを考えているのですが」
「ごめんなさい 月末と月初の連休は難しいわ」
「そうですよね、、、」
神山は彼女の都合が悪いと知っていても言ってしまい気落ちした
「ごめんなさい 折角のお気持ちなのに、、、」
「そうしたら 今度の土曜日は如何ですか?」
「ごめんなさい 勤務で泊まりです」
「でも 僕の部屋に来る事は出来る?」
「そんな いくら仮眠でも客室では、、、」
「う~ん そうしたら 都合のいい日を連絡くださいね」
「ええ あなたの動ける日のほうがいいわ」
「そうだね 来週の水曜日はどうなっていますか」
「ちょうどお昼で上がります」
「そうしたら 来週の水曜日に三島に伺います」
「本当ですか うれしいわ」
「又近くになったら 電話しますよ 待っていてください」
「はい 楽しみにしています」
神山は亜矢子との連絡を終るとFAXの整理や仕事をまとめた





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2010年12月12日日曜日

Vol.155 若葉 -5-12

電話には留守電が入っていたので再生をした
3件ほど入っていたが由香里からの伝言は入っていなかった
亜矢子からの報告だとかなり酔っていたと言われたので
仕方ないと思った
ビールを飲み干すと急に酔いが廻ってきてベッドに横になった
目をつぶると一昨日からの由香里や亜矢子との楽しいひと時が
めまぐるしく頭をよぎったが睡魔に負け寝入ってしまった

4月13日 月曜日 快晴
神山はけたたましく鳴る電話で目を覚ました
上原で寝起きするようになって初めて自分の部屋で起きた
電話に出ると
「山ちゃん おはようです 朝早くからすみません」
「やあ おはようさん どうしたの孝ちゃん」
アルタの高橋からの電話で 今日上原の現場で最終確認を
ニーナ・ニーナを交えて行いたいとの連絡だった
「了解だよ 時間はどうする?」
「お昼前に現場はどうですか?」
「僕のほうは構わないけど ニーナ・ニーナは?」
「ええ 筒井さんと久保さんに立ち会ってもらいます」
「時間取れたの?」
「筒井さんはコンタクトが出来てOKです」
「そうすると久保さんだけか」
「ええ しかし筒井さんから連絡が入ると思いますよ」
「了解 何時になりますか?」
「12時ごろになります 大丈夫ですか?」
「うん 孝ちゃんのお願いだからいいよ」
「変更があったときは 携帯に連絡します」
「了解です お願いしますね」
神山はルームウェアー姿で祥子の部屋に行った
部屋のベルを鳴らすとすでに起きていたらしく
「おはようございます 寂しかったわ」
「ごめん 随分と疲れてしまって 起きていられなかった」
玄関で挨拶をしたあと 部屋に入ると
二人分の朝食が用意されていた
ソファーに座ると祥子を呼び
「今日 現場で最終確認が行われる事は知っている?」
「ええ 先ほど筒井から連絡が入りました」
「そうか 僕の所には今入って電話で起こされたよ」
「まあ そんなに寝ていたの」
「うん こっちの部屋と違って朝日が差し込まないしね」
「それで12時とお聞きしたのよ どうしようかしら」
「う~ん、、、銀座は忙しいの?」
「ええ 銀座に行って仕事をすると
12時に間に合うかどうか分らないの」
「大変だね しかし少しくらい遅れても大丈夫だよ」
「どうして?」
「うん 多分儀式だよ」
「儀式?」
「そう 一応責任者である筒井さんに 現場の最終了解を貰う為だと思う」
「ふ~ん そうゆうのも大変なんだ」
「祥子が現場監督でいても 最終的には筒井さんが
OK出さなければ進まないし 責任は筒井さんにある訳だし」
「そうね 最高責任者は大変ね」
「うん だから決まっていても 筒井さんに見てもらう儀式さ」
「なるほど だったら少し遅れても大丈夫かしら」
「うん だって仕事はもう始まっているのだからね」
「分ったわ それであなたはどうするの?」
「今日はこちらで仕事をして 現場から銀座に行くよ」
「あなたも大変ね そうしたら朝食を一緒に頂きましょう」
祥子は少し寂しそうな横顔を見せキッチンに戻った
「ちょっと待っていて いいもの持ってくるから」
「なあに?」
「うん 美味しいビールを持ってくるよ」
神山はそう言って自分の部屋に戻り
昨日亜矢子からもらったビールを持ってきた
「これね 凄く美味しいよ 御殿場の地ビール」
「どうしたの?」
「うん ホテルで美味しかったから買ってきた」
祥子はグラスを用意しビールを注いだ
「ほんと いい香りがするわ おいしそう」
神山と祥子はたった2日離れただけなのに久しぶりに
会ったように 目と目を見詰め合いながら乾杯をした





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2010年12月11日土曜日

Vol.154 若葉 -5-12

「あなた 本当に帰るぅ さみしいわ」
「うん さっきも言ったけど 仕事が入っているし ごめん」
「そうね 私こそごねんなさい でも 放したくないわ」
「僕も亜矢子と一緒に居たいよ」
「ねぇ 今度いつ来ていただけますか それまで我慢します」
「う~ん 現場の仕事は暫く無いから 調整してくるよ」
「ほんと 信じていいのね」
「勿論だよ 信じてください ねぇ ビールを呑む?」
「そうね 咽が渇いたし 呑もうかしら」
神山は 裸のままベッドから出て冷蔵庫からビールを取り出し戻ると
「まあ 可愛いおちんちんね ほんと」
神山は不意をつかれ何も答えられずにいると
「そんな可愛いのが あんなに大きくなって 入ってきたんですね」
「そうだよ だから大事にしてね」
亜矢子は神山のおちんちんを咥えたがなかなか大きくならないので
「ねえ どうして大きくなってくれないの この子」
「今は お休み時間だよ だから大きくならないのさ」
亜矢子は不思議そうに弄っていると少しづつ大きくなってきたので
「ほら さっきより大きくなったわ もっと大きくなる?」
「そんな 今はビールを呑もうよ ねぇ」
亜矢子はおちんちんを諦めビールを受け取り気持ちよさそうに呑んだ
神山も亜矢子の隣で乳房を触りながら呑むと
「あなたも触っているから 私にも触らせて」
顔を見合わせ笑いながらビールを呑みほし横になった

「ねぇ あなた そろそろお時間ですよ」
「もう帰る時間か、、、寂しいな」
神山は亜矢子と交わりを何回となく行いうたた寝をしていた
亜矢子も久しぶりの快楽に酔っていたが
一人になった時の寂しさを堪えていた
充分お酒で酔ったつもりだったが 寂しさが勝り神山にお酒を勧め
できればこのままここにいて欲しいと願っていた
呑んでも呑んでも頭がさえ 酔いきれなかった
「出来れば もう少しいて欲しいわ」
「僕もそう思うけど しかし、、、」
「そうよね あまり無理を言うと嫌われるものね」
「ごめんね 必ず来るよ 近いうちに」
「ねぇ もう一度だけ抱いて お願い」
亜矢子は神山にしっかりと抱きつき寂しそうな目を向けた
神山が抱き返しキスをし愛撫を始めると
「もうだめ 時間が無いわ さ・み・し・い」
「わかった ごめんね」
ベッドを降りると帰り仕度を済ませた
「お見送りをしたいけど 寂しいからごめんなさい」
「うん いいよ ありがとう」
まだ裸の亜矢子を抱き寄せキスをした
玄関で振り向くと涙顔で神山を見ていた
神山も後ろ髪を惹かれる思いで玄関を出た
三島駅に着き亜矢子にお礼の電話を入れた
「あなたを待っています 必ず来てくださいね」
「うん ありがとう 連絡を入れるよ」
「亜矢子寂しい でも待っています」
「ありがとう ではおやすみなさい」
「ええ 気をつけてね」
神山は最終の新幹線に乗ると祥子に電話した
「神山ですが」
「こんばんわ 祥子です」
「どうでしたか 名古屋は 友子ちゃんは元気だった?」
「ええ ごめんなさい やはり最終の新幹線です」
「僕はもうすぐ東京です」
「どうでしたか お仕事は?」
「うん順調ですよ 筒井さんもアルタも満足でしょ」
「よかったわ そうしたらどうしますか 今夜?」
「僕は まとめがあるし 疲れたから先に寝るよ ごめんね」
「いいの 私が遅くなったから ではおやすみなさい」
「うん それでは明朝 おやすみなさい」
「ええ 明日」

神山は電話を切ると目をつぶり東京駅まで寝ていた
地下鉄で帰ろうと思ったが荷物が多いのでタクシーで帰宅した
自分の部屋に入ると着替えをしないでそのままベッドに横になった
暫く寝ているとドアと叩く音がしたがそのままにした
今夜だけはどうしても祥子と顔を合わせたくなかった
気分転換にシャワーを浴び亜矢子からもらったビールを呑んだ





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2010年12月10日金曜日

Vol.153 若葉 -5-12

「どうしたの」
神山は両脇に手を入れて亜矢子を立たせベッドに向かった
起立している亜矢子からスカートとショーツを脱がせると
「みないで お願いだから」
亜矢子は我に帰り布団に入って顔を隠した
神山は布団をめくり亜矢子の躰を抱いた
亜矢子は神山の目を見て激しくキスを求めてきた
久しぶりの興奮を抑えきれずに快楽に酔いしれようとしていた
神山は唇を乳首に移し舌でころころ転がすように愛撫をすると
亜矢子の手が神山の手をもう片方の乳首に導いた
両方の乳首は硬さが充分になったので柔らかく噛んでみると
亜矢子は胸を上に持ち上げる仕草をした
「ねぇ あなた 久しぶりよ こんなに気持ち良いの」
「もっときもちよくなるよ」
神山は秘所をまさぐりクリトリスを愛撫した
「だめぇ きもちいいわ だめぇ ああっ」
愛撫しているスピードを速めると
「もうだめ ほんとうよ ねえったら ああっ だ・め・っ」
亜矢子は昇天して力が抜けたのか ぐったりした
神山はさらに下に指を動かすと小さい入り口があった
そこはぬめりけがある体液が溢れ出ていてシーツまで濡らしていた
小さな入り口に中指を入れ少し曲げ動かすと
「あなた へんよぉ いつもと違う きもちいいわぁ」
さらにつついたり円を動かすようにすると
「ねぇ だめぇ またいきそうよ だめよ」
神山がゆっくりぬきさしをすると亜矢子は自分で腰を振ってきた
亜矢子の腰を動かすスピードに合わせ指のスピードを速めると
豊かなバストを動かすように躰が震え絶頂に達してしまった
亜矢子の顔にはうっすらと汗が出ていてぬぐってあげると
「ごめんなさい はしたないでしょ こんな女」
「そんな事無いよ 自分に正直でますます好きになったよ」
「ほんと うそでも嬉しいわ」
「うそじゃないよ 本当に」
「ほんとぉ だけど私だけよくなって、、、」
亜矢子はこの後どうしたら良いか分らず困惑していたので
神山が亜矢子の手を肉棒に導くと亜矢子の顔がびっくりしていた
「こんなにカチカチ、、、 さっきは分らなかったわ」
「うん さっきは触らなかったし それに後ろからだったからね」
そう言われて亜矢子は顔を真っ赤にした
肉棒を掴んだ手を動かそうとしないので催促をした
「ごめんなさい わたし マグロでしょ」
亜矢子はぎこちない手つきで動かし始めたが
祥子や由香里ほど上手ではなかった
「ねぇ亜矢子さん そうしたらなめなめしてくれる」
亜矢子は頷き躰を起こして肉棒を咥えたがぎこちなかった
「そう もう少しきつく咥えて上下に動かすといいよ」
亜矢子は言われたとおり動かしていると
「ねぇ お尻をこっちに またいでおいで」
「えっ そんな 恥ずかしいです」
「恥ずかしい事無いよ もっと良く見せて 大事なところを」
「いやですぅ だって、、、」
「そうすると もっと大きくなるし だから」
亜矢子は仕方無しに神山をまたぐ格好で肉棒を咥えた
神山の目の前にはぱっくりと口を開いたヴァギナがあり
ぬめりけの体液を舐め上げると 咥えている口から喘ぎ声を漏らした
亜矢子は我慢できずに
「ねぇ あなた こんなに硬くなりました 入れてください」
神山は優しく亜矢子を反転させ下にして両足を持ち挿入した
亜矢子は最初はゆっくりとした腰の動かし方だったが
神山が早めると早く動かしタイミングが合って来た
感じてきたのか膣の締り具合が先ほどよりきつくなり
空いている手で自分の乳首を触るようになった
暫く動いたあと足を離しキスが出来る格好にした時
亜矢子の足が神山の胴体を挟むように組まれた
神山はどんどん締め付けてくる膣に我慢が出来ず
「亜矢子 もうだめだ 我慢できないよ」
「私も あなた ねぇ きて おねがい きて」
その言葉が合図だったように神山は発射してしまった
「あっ あついのが きている いいわ ほんとっ」
亜矢子も昇天したのかぐったりし すこし緩んできた
神山は亜矢子にキスをしながら躰を預けた
暫くして脇に移るときに肉棒が抜けると
「あっ だめっ でちゃうぅ ねえ」
亜矢子の肩まである髪を優しくなでると





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2010年12月9日木曜日

Vol.152 若葉 -5-12

亜矢子は由香里に紙袋を手渡した
「これは 神山さんが由香里さんにプレゼントと言っていました」
「えっ そんな さっきまで何にも言っていなかったのに」
「ねえ 見せて どんなプレゼントなの」
由香里は早速空けると ダイヤモンドが入ったブレスレットだった
昨日3階のショッピングモールで欲しいと思ったものだった
「ほんと 美しいわ」
「羨ましいわ 由香里さん良かったですね」
「なにかしら この紙?」
【由香里姫 撮影のご協力ありがとう】
「嬉しいわ 本当に でも一緒に帰りたかったわ」
「由香里さん 良かったですね 私も欲しかったのよ」
亜矢子自身もこのブレスレットが欲しかったが
我慢していたので覚えていた
「亜矢子さん 私帰ります ありがとうございます」
「いいのに もっとゆっくりしていけば」
「ええ だけど又ご迷惑をお掛けする事になりそうだし」
「大丈夫ですか」
由香里はまだ足元が怪しかったが
これ以上迷惑を掛けられないと思い
「では 本当にご迷惑をお掛けしました」
帰り支度をして挨拶をした
「そうしたら 駅まで一緒に行きましょ」
「どうもありがとうございます 助かるわ」
「でも 大丈夫? いいのですよ ゆっくりしていっても」
亜矢子は由香里と一緒に三島駅に行き見送った

神山から連絡があった居酒屋の暖簾をくぐると
奥から神山が手を振って答えた
「由香里さん今 新幹線で帰られました」
「ごめんね 嫌な思いをさせて」
「いいわ あなたと一緒だから だけど由香里さん大丈夫かしら」
「どうしたの?」
「ええ まだ足元がおぼつかない様子でしたよ」
「うん まあ由香里さんの事はそうしましょう」
「まあ 薄情です事」
「だって 今考えても僕がどうにも出来ないでしょ
亜矢子さんでしょ 今は」
「しかし 同姓からしてみれば 少し寂しいわ」
「ごめん そんな意味で言った訳ではないよ ごめん」
「分っています ごめんなさい」
亜矢子と神山はすぐに居酒屋を出て部屋に戻った
「ねぇ 本当に私のことが好き それとも躰?」
「正直言うと まずは躰からでしょ だってまだ一杯話していないし」
「やっぱり、、、」 
「だけど 大事なのは躰の相性が一番でしょ」
「そうかしら」
「相性が悪ければそれを補う為ストレスが来るでしょ
だから SEXをした時に相性が良ければ
後から内面が分ってきてもおかしくないし 
相手が素直にわかるでしょ」
「そうね」
亜矢子は何かだまされたような不思議な気分になり
「そうしたら 私の躰はどうでした」
亜矢子は言いながら神山の隣に座り聞いた
「うん これから心の結び付けを強くします ねぇっ」
二人は顔を見合わせ笑った
神山は亜矢子を抱き寄せ深いキスをした
亜矢子も躰を神山にまかせていた
素晴らしく形のいい豊かなバストを触ると亜矢子は目を開け
「ねぇ そんなにいいの このバスト?」
「うん 触っていると心が和むよ 本当に分らないけど」
「じゃあ 優しくさわって」
亜矢子は自分からブラウスを脱ぎブラジャーも脱いだ
出てきたバストは年齢を感じさせないつんと上をむいた乳房で
白く乳箔の乳房に穢れを知らない綺麗なピンクの乳首が露になった
神山が触っていないのに乳首がピンと立ち硬くした
舌で愛撫を始めるとピンク色に染まった顔が後ろに反り
躰をよじりながら大きい声を発し喘いだ
神山の手がスカートの中にある秘所をショーツの上からまさぐると
躰をぴくんぴくん動かし快楽の反応を示していた
「ねぇ 亜矢子さん ベッドにいこうよ」
亜矢子は頷くとその場を立ち上がることが出来ずうずくまっていた





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2010年12月8日水曜日

Vol.151 若葉 -5-12

ぎこちなく触りゆっくりと動かし始めると
肉棒はときどきぴくりと合図を送った
「神山さん お元気ですね」
「ええ 本人と別な生き物なんですよ」
亜矢子は動きを早くした 合図も頻繁に送られた
「ねぇ また大きくなりました 困りましたね」
「ええ 亜矢子さんに触られると気持ちが良いって言っています」
「ほんと 私じゃなくて由香里さんでしょ」
「そんな 彼女とはお仕事ですよ」
「ほんと 分っているのですよ」
亜矢子はどうしたらいいか分らず動かすだけだった
神山はこの単純な愛撫の仕方に彼女の純情さを感じた
心が熱くなりますます逞しくなり
「亜矢子さん この縁に片足を乗せて 手は僕に巻いてください」
神山はそのまま正面から挿入した
亜矢子は最初から快楽が襲ってきて
「だめです ゆっくりと だめです」
神山はゆっくり時々早くうごかした
クリトリスと膣の両方が感じているのか直ぐに昇天してしまった
力が抜けた亜矢子にそのまま動かしつづけると
「ねぇ あなた だめよ ほんとうに また」
亜矢子はまた昇天してしまい躰を神山に預ける格好になった
豊かなバストが神山の胸を押し催促しているように思えた
神山はそのまま動かすと亜矢子は顔を反らして
「いいわ ねぇあなた すごくいいわ」
亜矢子は今までに無い喘ぎ声を発しいってしまった
神山もそれを合図に発射した
二人はそのまま体を動かさなかった
亜矢子は久しぶりの快楽に酔っていた
浴槽から出ると二人はビールを呑んだが神山は
「僕は先に帰ります」
「どうして 由香里さんはどうするの」
「だって もう5時になります 二人っきりでいるとおかしいでしょ」
「だって由香里さんと何にも関係無いと言ったでしょ」
「それはそれで 由香里さんが何か言ったら
亜矢子さんは僕を見て反応してしまうでしょ だから」
「それもそうね 誤魔化しが効かないですもんね」
「うん だから 先に帰ります」
「寂しいわ 本当に久しぶりだったわ」
「嬉しいけど、、、どうにもならないでしょ」
「でも、、、寂しいわ 本当に、、、」
「そうしたらどうしよう、、、」
「ねぇ あなたは今晩帰らないとだめですか」
「うん、、、そうしないと色々とあるし、、、」
「由香里さんとの事?」
「そうじゃなくて 仕事のFAXなどもろもろ」
「そうね ごめんなさい 我侭言って」
「そうしたら 駅の近くで呑んでいますよ」
「ほんと でも大丈夫かしら 由香里さんに分らないかしら」
「僕は最終で帰りますよ そうしないと彼女に分ってしまうから」
「そうしたら 何処か駅前で呑んでいて下さい」
「うん そうしよう」
亜矢子は決心をし神山を選んだ
神山は荷物を亜矢子の部屋に置き駅前の居酒屋に入って
亜矢子に電話した

5時半を廻った所で亜矢子は由香里を起こした
「由香里さん 大丈夫?」
「あっ 亜矢子さん 大分良くなったわ ありがとうございます」
「でも 大分疲れていたみたい ぐっすりだったわ」
「ごめんなさい でも分らないの こんな自分になったのが」
「結構 呑んでいましたよ びっくりしました」
「初めての方にご迷惑をおかけして ごめんなさい」
「いいですよ 呑みすぎたときは皆同じですから」
「ええ 神山さんは、、、どうしたのかしら?」
「先ほど帰りました 打ち合わせが出来たと言っていましたよ」
「本当ですか 起こしてくれれば良かったのに」
「神山さんが何回か起こしたのですが 
気持ちよく寝ていたので先に帰りました」
「そうですか ごめんなさい ご迷惑をお掛けして」
「だけど 大分良くなったみたいですね 安心しました」
「ええからだが楽になりました 済みませんがお水を頂けますか」
亜矢子は台所から水を持ってくると由香里に渡した
由香里は半分ぐらい飲むと起き上がりリビングで落ち着いた





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2010年12月7日火曜日

Vol.150 若葉 -5-12

「何をされるの 止めてください」
亜矢子はきつい顔で言ってきたが顔全体が真っ赤だった
神山はバストを触る事を断念し
「折角形のいいバストに遭遇できたに かわいそうだこの手が」
そう言って亜矢子のバストからお尻に移動した
亜矢子はたまらず躰を動かしこちらを向いたが
先ほどのきつい目付きではなく躰まで動かしてきた
神山は途中で触るのをやめ自分の席に戻り
「いま 気持ちよかったでしょ 素直になった方がいいですよ」
そう言って立ち上がり由香里が寝ている部屋に入った
神山はドアを完全に閉めないで亜矢子の様子をうかがった
亜矢子は中途半端にされた女の体をもてあまし腰を動かしていた
神山は時をみて亜矢子のそばに座り いきなりキスをして
「一緒に入ろう」
亜矢子も女の性に絶える事が出来ずに頷いた
目的が決まった二人は早かった
亜矢子が脱ぐ前に神山がバスルームに入り待っていた
「恥ずかしいから余り見ないで」
亜矢子のことを考え浴槽の照明はおとしていたが
神山はそのプロポーションを美しいと思った
狭い空間で男女が一緒になったとき 息苦しくなる
今 神山が始めての女と一緒になった事で息苦しくなった
神山はボディーシャンプーで亜矢子の体をなでた
亜矢子は少し触られただけで 首をそらせ喘いだ
「ここは気持ちいい?」
神山は亜矢子の首筋から徐々に手を下げていった
乳首に手のひらが移動すると更に激しく喘ぐようになった
神山は元気になった下半身を押し付けると
亜矢子は腰をひいたが 嫌がってはいない様子で
時々自分の腰で神山の肉棒を刺激するように動かした
神山は更に手を下げて亜矢子の秘所をまさぐった時
「もう かんべんして お願いです」
亜矢子が祈願をしてきたが構わず愛撫すると
「本当に欲しくなってしまいます いいですか」
神山はさらにクリトリスを愛撫すると
「神山さん もう だめ あっつ ね・ぇ」
「いい?」
「ええ」
神山は亜矢子に怪我をさせたくなかったので 後ろから入った
「凄くきもちいい うごかないで」
亜矢子は挿入される久しぶりの快感を味わっていた
神山は狭い膣に驚き動かす事が出来なかった
そのうちに亜矢子が慣れて来たのかゆっくりと動かし始めた
「凄く良いわ 神山さん 少し動かして」
言われたとおり 少いずつ動かすと
「いいわ すごく太くて感じるわ」
神山は亜矢子の秘所を触ってみたがぬめりけのある体液が溢れていた
「どうですか きもちいい?」
「ええ 凄く気持ちがいい 全然違うわ」
「なにとちがうの」
亜矢子は更に顔を真っ赤にした
「よかったでしょ 僕も凄く良いです」
「ほんと こんなおばさんなのに」
「なにを言っているのですか こんなに元気でしょ」
神山は少し早く動かすと
「ねぇ もっと奥まで ねぇ 奥まで入れて」
ピストン運動を奥2浅く8の割合を
奥5浅く5にすると 亜矢子が
「だめ ほんとうにだめ 神山さんだめ」
亜矢子はそう言うと膝をがくがくさせ始めた
膣もきゅんと締め付けが強くなったときに発射した
亜矢子はその場に跪き動かなくなった
神山はやさしく肩を抱きキスをした
亜矢子を抱き寄せ立たせるとふたたび熱いキスをかわした
暫くして亜矢子から唇を離したが 俯いたままだったので
「さあ 出ましょうか」

神山が声を掛けたのを合図に亜矢子は我に戻った
「神山さん ごめんなさい はしたない女でしょ」
「なんで 自分に正直でいいでしょ」
「だけど、、、知り合ったばかりなのに」
「そこに都合のいい男がいた と考えればいいじゃないですか」
「そうね そうよね」
「そうでしょ」
亜矢子は神山の肉棒が衰えていないのをみて触ってきた





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2010年12月6日月曜日

Vol.149 若葉 -5-12

「ええ それを使ってください」
「はい ありがとうございます」
神山は バスローブを羽織って亜矢子が居る部屋に戻った
「ありがとうございます すっきりしました」
「ご気分は如何ですか?」
「ええ すっきりしました」
「どうですか 湯上りにビールでも?」
「そうですね 頂いてもいいですか」
「はい」
亜矢子は冷蔵庫から地ビールをだしコップと一緒に持ってきた
「しかし亜矢子さんはお酒強いですね」
「そんな事無いですわよ 神山さんが帰ったらぐったりかもです」
「そんな ごめんなさい」
「いえいえそんな意味ではないのですよ」
亜矢子は顔を真っ赤にしていった
「それでは 改めて乾杯ですね」
「はい 乾杯」
二人は亜矢子が用意してくれたつまみを食べながら呑んだ
「ところで勤務時間はどうなっているのですか?」
「私のような場合は2勤務1休みで
昼の11時にホテルに入って翌々日の12時に退社ですよ」
「そうすると48時間勤務ですか 大変だ」
「ええ しかし 夜はちゃんと寝ていますよ」
神山と亜矢子はそれはそうでしょうと笑った
「亜矢子さんは 躰の具合でも悪いのですか?」
「えっどうして?」
「だって 肩でも凝るのかと思って聞いたんですよ」
神山は浴室でみたマッサージ器を聞いてみたかった
「えっ 別にどこも悪くないですよ」
亜矢子はきょとんとした顔で言ったので
「だって 浴室に棒状のマッサージ器が置いて有りましたから」
亜矢子はその言葉を聞いた瞬間 顔が真っ赤になった  
神山は何を意味しているのか分らず さらに 
「ホテルで責任ある立場だと大変ですよね」
亜矢子はその言葉にも答える事が出来ずに俯いたままだった
神山はようやくあのマッサージ器が何を意味しているのか分った
言ってしまった神山と知られてしまった亜矢子は言葉が出なかった

長い間お互いの沈黙が続いている時に寝室から由香里が出てきて
「ごめんなさい 私 本当にだらしないわ」
そう言っておトイレを聞き亜矢子が案内した
亜矢子が心配していると由香里が直ぐに出てきて
「神山部長 もう少し寝かせてください」
亜矢子に抱きかかえられベッドに入った
寝室から出てきた亜矢子に
「由香里姫はいいですね 気持ちよさそうだ」
亜矢子はその言葉に触発されたのか
「私も気持ちよくなりたくて、、、時々寂しくて」
神山は何を言っているのか分らず聞いていると
「だって まだ女です」
亜矢子はそこまで言うと顔を真っ赤にして俯いてしまった
神山も真っ赤な顔になりどうする事も出来ずにいた
「亜矢子さん 一緒にシャワーを浴びましょう」
神山が重たい沈黙を破って言った
「ええっ 一緒に?」
「ええ 僕はHな事はしません 心の隙間を埋められたらと、、、」
「そんな だって知り合ったばかりなのに、、、」
「だから 後腐れなく割り切って入れるでしょ」
「いやよ 知らない人と」
「だけど 知らないからいい時も有るでしょ」
「そんな事はないわ」
「割り切ってしまえば 例えば都合がいい男が居たことになるでしょ」
「へんよ そんなの」
「だったら これ以上言いません ごめんなさい」
神山は亜矢子の顔を見ながら言って俯きタバコに火をつけた
灰皿が無い事に気が付いた亜矢子は立とうとしたが座った
俯いたまま建てずに居る亜矢子に代わって
「灰皿はどこにありますか?」
「ごめんなさい その棚の上にあります」
神山は灰皿をとって亜矢子の傍に座った
「亜矢子さん 僕は今日だけと言っているのですよ」
「そんな」
「もっと素直になったらどうですか 僕だったらOKですがね」
「何を言われるの だめです」
神山は憧れの豊かなバストに触る仕草をすると





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2010年12月5日日曜日

Vol.148 若葉 -5-12

「でも、、、」
「そんな事されたら これからこれないじゃないですか ねぇ」
神山は亜矢子にそう言うと
「はい ではちょっと待っていて下さいね」
亜矢子は部屋に備えてある電話で金額を聞き神山に伝えた
お会計が済み1階に下りようとした時に由香里がよろけた
「大丈夫か 由香里殿」
「ええ 大丈夫 部長殿」
「ほんと 大丈夫ですか」
由香里は神山の後ろをでもたれるようにゆっくりと階段を降りた
玄関で亜矢子の叔母さんに挨拶し外に出ると
少し足元が定まらなかったので
「由香里姫 今日の撮影は中止にしましょうね」
「そんな 大丈夫です」
見かねた亜矢子が
「私 三島までタクシーで帰りますので
よろしかったら 私の部屋で休んでください」
「大丈夫ですよ 大丈夫」
由香里は同じ言葉を何回も言っているが少し休ませたほうが
いいと思い亜矢子の申し出を受け入れた
亜矢子は自分が呼んだタクシーに
3人が乗り三島のマンションに向かった

10分すこしで亜矢子のマンションに着いたが由香里は
足元がおぼつかず二人に抱えられ部屋に入った
亜矢子の賃貸マンションは7階建てで三島駅から5分の所にあり
周りには医療関係や役所も直ぐ傍にあるいい場所だった
部屋に入ると亜矢子が自分の寝室を提供し由香里を寝かせた
亜矢子は神山に
「由香里さんの肌着を脱がせますからお願いします」
部屋のドアを閉めて由香里の着ている物を脱がせた
亜矢子は由香里を楽にさせるとリビングに戻ってきて
棚から出した薬箱の中から白い錠剤を取り出し水を持って
寝室に戻った
暫くして亜矢子がリビングに戻ってくると
「由香里さん 相当疲れているみたいですね」
「どうしたの?」
「ええ 酔い止めのお薬を持っていくともう寝ていました」
「そんな だってちゃんと寝ていましたよ 知っている限りは」
「だけど 今の由香里さんは睡眠不足からきているみたいですね」
「大丈夫かな」
「ええ 気持ちが悪くないので 数時間寝れば元気になりますよ」
「すみません 折角の楽しいひとときが、、、」
「そんな事無いですよ ゆっくりしていってください」
「しかし 折角の貴重な時間を申し訳ございません」
「平気ですよ ホテルのお客様と比べたら」
「しかし ごめんなさい」
神山は亜矢子に自分の事のように謝った
「そんな 大丈夫ですよ 私は慣れていますから」
「しかし 折角の楽しい時間を台無しにして 申し訳ないです」
「だけど由香里さん そんなに睡眠不足なのかしら」
「昨夜は12時過ぎに床に入り 今朝は8時ごろですよ」
「そうかしら 随分と疲れているみたいでしたよ」
「多分 慣れない写真撮影が有ったからでしょう」
「緊張の糸がほぐれたのかした」
「多分」
亜矢子と神山はそのあと言葉が無かったが
「亜矢子さん 少し熱いシャワーを浴びてすっきりしたいのですが」
「ええ どうぞ 使ってください」
「潮風と頭をすっきりさせたいので すみません」

亜矢子は浴室を案内するとバスタオルを用意した
神山は浴室に入ると熱いシャワーを頭から全身に浴びせ
気持ちをすっきりさせた
ボディーシャンプーを使おうとすると見かけない
棒状の物がボトルの後ろに置かれていた
手にとって見てみるとハンドマッサージャーで
浴室で肩こりなど治療を行えるマッサージ器だった
しかし神山は肩こりだと猫の手になっていないと
充分な効果は得られないだろうと思い
スイッチを入れ自分の肩に当てたが不十分だった
もとの場所におき考えたが何に使うか分らなかった
神山は充分に熱いシャワーを浴びたので浴室を出て
バスタオルで躰を拭くと乱れ箱の中にはバスローブが置かれていた
「亜矢子さん このバスローブを使っていいのですか」
亜矢子がリビングから





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2010年12月4日土曜日

Vol.147 若葉 -5-12

ゴテンバ グランド インでは御殿場を中心にオリジナル地ビールの
販売をしているがくちこみで美味しさが伝わり生産が
間に合わない状態だという
現在16時間体制で生産しているが
まだまだ充分に間に合っていないと言う
アウトレットオープンに間に合わせ工場の増床計画が持ち上がり
増床工事は年内にも完成する予定だという
地ビールの売上は順調で御殿場駅ではほとんど午前中になくなり
駅周辺の飲食店からも増産の声が上がっているほどだった

話しこんでいるうちに終点の沼津駅についた
「タクシーで直ぐの所です」
桜川が率先してタクシーに乗り込むと10分もかからなかった
おおきな佇まいな鮮魚料理店の玄関をくぐると
「こんにちは 亜矢ちゃん」
「お世話になります おばさん」
「おばさん 銀座鈴やの神山部長さんと斉藤さん」
「こんにちは お邪魔します」
「神山さん こちらが私の叔母さんです」
「いつも亜矢子がお世話になっています」
「いえ 今回はこちらがお世話になりました」
「では 上の左側の奥がとってありますよ」
「どうもありがとう 叔母さん」
「ではごゆっくり していってください」

店は2階建てで1階は殆どの席が地元の人や
観光客などで埋まっていた
2階にあがるとやはり満室なのだろうか明るい声が聞こえた
部屋に通されると14畳くらいの広さの角部屋で
神山は窓を開け放し潮風を受けながら漁港を眺めた
由香里も神山の傍に行き外を眺め
「いいわね この様なのんびりした海の風景って」
「ええ しかし船が入ってくると又違った風景ですよ」
「ねぇ 神山さん 記念のショットを撮影したら」
「そうだね そうしよう」
神山は由香里からフィルムを貰い自分のカメラに装てんし
広角ズームレンズも取り付けてもらった
「はい 準備できました あとはシャッター押すだけです」
「ありがとう」
神山は アングルを決めるためカメラを横にしたり縦にしたり
ズームを操作してようやく最初の1枚を撮影した
席に戻ると電源を切らずにいたので由香里が教えてやった
「神山さん ここのダイアルがON、OFFのスイッチです」
「そうか ありがとう」
話を聞いていた桜川が
「昨日の撮影のときはお持ちでは無かったですよね」
「ええ そうなの 先ほど御殿場で購入されたんですよ」
由香里は昨日の撮影で上手に撮れていたことや今後 現場で
記録写真の撮影が増えたときのために購入した事を話した
「今夜は 取り説をよく読んで使えるようにするよ」
「そうしてくださいね」
カメラの話が一段落したときに襖が開き 料理が運ばれてきた
「こんにちは 亜矢子さん」
「こんにちわ お世話になります」
桜川と由香里が手伝って料理を並べた
伊勢えびの活き作りや鯛の刺身などが並べられたが
メインはマグロ料理だった
「亜矢子さん ごゆっくりとしていってくださいね」
「はい わかりました」
仲居が襖を閉めると
「では 改めて お近づきの乾杯」
3人が乾杯したビールもグランド インのオリジナルビールだった
「凄いね ここでも美味しいビールが頂けるなんて」
「ほんと 私も嬉しいわ」
二人が誉めてくれてので桜川が頼んで置いてもらっている事や
玄関で挨拶した叔母は父親の妹で旦那は中に調理場の中に
入って殆ど出てこないなど
ここのお店の事を話してくれた

桜川亜矢子はもともと地元生まれの地元育ちで
高校生の時父親を漁で遭難し亡くしている
大学を卒業し結婚をするが相手の浮気が原因で協議離婚をする
離婚後は亜矢子が母親の面倒を見ている
亜矢子自身は会社の寮でも良かったが 
三島駅前の賃貸マンションで一人暮らしをしている

「なんで 会社の寮に入らなかったの?」
「ええ 寮だと気晴らしが出来ないじゃないですか
特に私のような勤務になると それでやめました」
「そうよね 会社で会っている人と寮でも会うとなるとね いやよね」
「そう 分るでしょ 由香里さん」
「ええ 亜矢子さんの言うとおりよ 学校を出たばかりとは違うしね」
女性同士 年が近いせいか話が良く弾んでいた
由香里は由香里で新しい話し相手が出来たようで
亜矢子は今まで付き合ってきたタイプと違うのかよく話した
神山がタイミングを見て
「ねぇ そうしたら 3人で記念写真を撮ろう」
「そうね」
「そうしたら 僕のカメラで撮影をしよう 三脚も有るしね」
「はい 神山部長殿」
由香里が少しくだけると皆大笑いし和んだ空気になった
カメラを三脚にのせ セルフタイマーをセットすると 
神山を真中に女性が両脇に座った
由香里も亜矢子も手を膝の上に置いていたので
神山が両手を二人の肩を組むようにした時にシャッターが切られた
「ねぇ もう一枚撮りましょう 今の動いていたから」
由香里がそう言って セルフタイマーをセットし席に戻ると
今度は最初から3人がお互いの肩を組む体制でシャッターを待った
いつまで経ってもシャッターが切れないので 神山が
「由香里殿 まだですか?」
「ごめんなさい 見てきます」
みな少し緊張をしていたのか ため息がでた
由香里は 今度はきちんとセットしたから切れる筈ですと笑わせた
肩を組んで笑っているところが撮影された
由香里の失敗で心が打ち解けたかのように良くしゃべった
並べられた料理を食べられないかと思われたが 綺麗に食べた
神山はお会計を亜矢子に頼むと
「そんな ここは私が払いますから 神山さんは、、、」
「そんな事出来ませんよ お支払いしますよ 受け取ってください」





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2010年12月3日金曜日

Vol.146 若葉 -4-11

と 慌てぶりをみて考えていた
神山は3階のショッピングモールで由香里が昨夜見ていた
ブティック「モテリコ」に入った
ウインドーに飾ってあるブレスレットを気に入ったみたいで
欲しいと話していたのを思い出し 店員に
「ウインドーに飾ってある ブレスレットを下さい」
「はい 承知致しましたが こちら陳列品が最後となりますが、、」
「ええ 構いません 至急包んでください」
「それではこちらにお願いします」
ショッピングカードで清算すると
「プレゼント包装をして置いてください 直ぐに戻りますから」
神山は隣がランファンのブティックと思い出し店内に入り
レースの可愛いフリルが付いたシルクのショーツを買った
ブティック「モテリコ」に戻り商品を受け取ると急いで玄関に戻った
「神山様 タクシーが着ました 遅くなって申し訳ございません」
神山と由香里は椿と桜川にお辞儀をしてタクシーに乗った
「何を忘れたのですか?」
神山はシルクのショーツが入った紙袋を手渡した
「あけてごらん きっと気に入ってもらえると思うよ」
「何かしら」
由香里は紙袋の中に包装されたものを丁寧に開けた
中に入っているシルクのショーツをみて驚き
「どうしたの?」
「どうしたのって 買ってきたんだよ」
「だって シルクでしょ それに3枚も 高いでしょ」
「そんなこと言ったって ありがたくない訳?」
「違うの 充分すぎて、、、」
うつむいた由香里に耳打ちをした
「だって 着替えが無いって言われたから 買った」
由香里はかまわず神山の胸に頭を持たせ小声で
「ごめんなさい 私があんなこと言ったから、、、」
「違うよ 何枚有っても良いでしょ 僕の為にさ」
由香里は神山の気持ちが嬉しくて涙ぐんだ
「ほら 元気だそうよ マグロが待っているよ」
神山が由香里を慰めていると御殿場駅前に着いた

目の前にあるカメラ屋に入り目的のカメラを探していると
「このカメラよ 私と一緒 それに安いわ」
由香里に言われニコンF4ボディーを買った
「レンズはとりあえずだったらズームレンズでOKよ」
「それなに?」
「うん難しい話は新幹線でするわね 今はこのレンズで大丈夫よ」
由香里が勧めてくれたズームレンズと同様の物で
ランクアップしたレンズを見つけ尋ねると 
「だって 高いもん 性能は比較にならない位良いですけどね」
「そうしたら このレンズにする」
「そのレンズは私も欲しく買いたいレンズのひとつよ」
「そんなにいいレンズなの?」
「ええ 広角側で明るいレンズは描写に幅が出ていいわよ」
「よし決めた このレンズにする」
「そうね いいレンズだと愛着が湧いてくるし、、、」
「あと 望遠はやはりズームで良いかな」
「望遠ズームも性能が良くなってきているからズームでもOKよ」
「しかし ニコンの純正は高いね」
「ええ 私はトキナーのレンズよ」
神山は結局標準ズーム望遠ズームとマクロレンズ3本を購入し
「由香里のカメラバッグに入れてもらう訳には行かないな」
「ええ カメラバッグも購入したら」
神山はタムラックのカメラバッグを
2泊3日程度の旅行に便利そうな収納が付いたカメラバッグを選んだ
由香里と一緒でリュック式で両手が空くので便利だった
「本格的なカメラマンね 素敵よ」
神山は空箱やレンズケースを捨てカメラバッグの中に収めた
今回カメラで使った金額は48万円にもなった
桜川との食事代などを考え
「ねぇ 由香里 さっきの15万円を貸してくれないか」
「ええいいわよ」
由香里から借りて腕時計を見てみると12時を廻っていた
「さあ そろそろ桜川さんがご到着しますよ」
「あら もうそんな時間 急がないといけないわね」
由香里と神山は店を出て駅に向かって歩いた
すぐにホテルの送迎バスが来て降りてくる人を見ていたが
従業員らしい女性が笑顔で労を労いながら降りてくるが
桜川はその中に入っていなかった
神山は少し心配し 責任者なので早く出られないのかと思っていた
若い従業員達がバス停に並んだり駅舎に吸い込まれたり
人通りが少なくなってきた時に1台のタクシーが近寄ってきた
中から桜川が手を振りながら
「遅くなってすみません」
そう言いながらタクシーから降りてきた
「こんにちわ 遅くなってすみません」
桜川は二人を前に丁寧にお辞儀をした
ホテルの制服と同じような白いブラウスから豊かなバストが覗いた
神山と由香里もお辞儀をし挨拶した
「お休みのところお付き合いさせてすみません」
「いえ こちらこそ神山様とご一緒させて頂いて光栄ですわ」
神山達3人は御殿場線で沼津駅まで電車で行く事になった
日曜日なのに車内は空いていてBOX席を3人一緒に座る事が出来た
神山は駅売店で買ってきたホテルの地ビールを皆に渡し
「それでは お近づきの乾杯」 
桜川も由香里と乾杯をした
女性軍は窓際に座りよく話していたが神山も時々口を挟み
和やかな雰囲気で笑い声が絶えない車中だった
神山が2本目のビールを呑もうとしたときに桜川が
「このビールはどこで買われましたか?」
「御殿場の駅売店ですよ 駆け込んで買いました」
「そうしたら 売れ行きが思わしくないのかしら」
「そんなことは無いですよ これが最後でしたから」
「良かったわ」





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2010年12月2日木曜日

Vol.145 若葉 -4-11

「どうぞ これから撮影の仕事増えるし 買ってよ」
「そう言って貰えると嬉しいな」
「だけどさ 10万円未満の領収書にして
20万でも30万でも良いけど それだけはお願いね」
「分った 分ければ良いね」
「うん それで 今日買うの」
「うん 御殿場にカメラ屋があったから」
「そうしたら 丁度都合が良いよ 買ったら教えて」
「了解です」
神山は由香里にアルタが全面的に協力してくれる事を伝えると
「良かったわね そうしたら全部揃いますね」
「まあ 程ほどに選ぶよ」
「カメラ本体は ニコンにすれば 私と一緒よ」
「そうだね 由香里と同じにすればいいね」
神山と由香里は帰り仕度を終えるとソファーに座り
冷蔵庫からビールを出し由香里を座らせると
「では 由香里 今回はご苦労様 ありがとう」
「いいえ こちらこそありがとうございます」
神山は美味しそうに呑んでいる由香里のバストを触ると
「お願い 気持ちは分るけど やめて」
「どうして いいだろう」
「だって また歩けなくなるから ねぇ」
神山は頷きバストから手を離すとジーンズのジッパーを触った
「何しているの ほんとうに だめぇったら だめぇです」
「だって ショーツの替えはまだあるでしょ」
「何言っているの もう無くなったのよ だからやめて」
神山はまだショーツの替えがあると思い悪戯をしたが
「わかった もう止めるよ ごめんね」
「良かったわ だって おかしいの どんどん出てくるの」
「健康な証拠じゃないか」
「今まで 無いわよ こんなに溢れるほど出てくるの」
神山は由香里を触るのをあきらめ 地ビールを呑んだ
「そうしたら 出ましょうか 仕度は大丈夫ですか」
神山は由香里にそう言うとホテルの電話を取り桜川へ電話した
「こんにちわ 神山様 桜川です」
「こんにちわ 神山ですお世話になりました これから帰ります」
「はい では少々お待ちください すぐにお伺いします」
由香里と神山はソファーで桜川が来るのを待った
ドアがノックされ
「桜川です」
神山はドアを開け桜川を部屋の中に招いた
「神山様 色々とご便宜をはかって頂きましてありがとうございます」
「いえいえ こちらこそありがとうございます」
「お忘れ物は ございませんか?」
「はい」
「では 玄関までお供させて頂きます」
「あっ 忙しいのに」
「いえ 玄関に椿が待っております」
「そんな ねぇ 斉藤さん 恥ずかしいよね」 
「ええ お忙しいのに、、、」
「椿がどうしてもお見送りをさせて頂くと申しております」
「なんか おしりがかゆくなるよ」
由香里と桜川は神山が本当にお尻を触ったので笑った
「では 玄関に行きましょうか」
三人は部屋を出てエレベーターでグランドフロアに着き
吹き抜けガラスの周りにあるエスカレーターで玄関に向かった
「では 桜川さん御殿場でお待ちしています」
桜川は仕事の仮面を剥し普段の顔になり嬉しそうに
「はい 楽しみにしています」
その顔を見た由香里も
「あなたと一緒にお食事が出来ると思うと嬉しいわ」
「ありがとうございます 私も嬉しいです」
エスカレーターが一階の玄関に着くと椿が待っていた
「神山様 今回は私どものお願いで 大変申し訳ございませんでした」
「そんな事無いですよ 食べ物は美味しかったし ねぇ斉藤さん」
「本当に こちらこそご丁寧にさせて頂きまして」
「今 タクシーを呼んでいるのですが 暫くお待ちください」
椿に言われると神山は
「そうしたら 10分位待って頂いて良いですか」
「ええ 構いませんけど 何か?」
「ええ ちょっと忘れ物が」
そう言うと神山はエスカレーターに戻りあがっていった
残された由香里達は
「何を 忘れてきたのかしら」





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2010年12月1日水曜日

Vol.144 若葉 -4-11

「ほんと」
「すごく美しいよ よし 記念写真だ そこに立って」
由香里は恥ずかしい部分もあったが記念の言葉に従った
霧は視界を50m位にし廻りの世界と切り離した
ファインダーから覗いた由香里はモデルのように美しく
神山はアングルを変え何回もシャッターを押した
「ねぇ あなた 二人の写真を撮りましょ」
「良いけど どうやって」
由香里はベンチにカメラを置いてセルフタイマーで撮影した
それが終るとビールを呑むので
ベンチに腰掛けると由香里がキスをしてきた
神山はキスを合図に下半身が元気になってくるのが分った
「ねぇ 由香里 欲しくなった」
「ほんと 実は私も、、、」
由香里はうつむきながら告白した
神山の手は由香里のGパンを下げ始めた
黒いショーツがあらわになり神山の下半身はさらに元気になった
由香里は後ろ向きになりベンチに手をつくと
神山を受け入れやすい格好になった
神山もGパンとビキニブリーフをさげ肉棒を聳え立たせた
由香里の秘所に手をやるとすでに体液が溢れ出ていて
肉棒はすんなりと挿入する事が出来た
「ねぇ わたしって すけべ?」
「なんで」
神山はゆっくりと動かしながら なぜ今聞いてくるのか考えた
「だって こんな所で SEXするなんて、、、すけべよね」
「そんな事無いよ 僕も欲しいもん」
だからそれに従った由香里はすけべでないと言いたかった
愛している人の欲望に答えるのも愛している証だよと言いたかった
由香里は真意が伝わらなかったのか喘ぎながら
「私って はしたない? 嫌いになった?」
神山は否定するように 腰の動きを段々早くしていった
「あっ だめ ねぇ こ・た・え・て~」
腰の動きは神山だけではなく由香里の腰も早くなった
霧のカーテンが幻想的なSEXを生み出したが
神山はその世界に興奮しすぎたのかすぐに発射してしまった
しかし由香里の腰が動いているので 動きを止めないでいると
「ねぇ だめ ほんと あっ、、、 あなた あっ、、、」
由香里は昇天しそのまま動けなくなってしまった
足を突っ張り 腰は突き出したままで震えていた
神山が抜き出すと
「あっ」
と言い 跪く格好になった 
白いお尻が綺麗だが 下半身をあらわにしたその格好は
小用をしている格好とオーバーラップしてエロティックにも思えた
神山は動けない由香里を抱きかかえ着ている物を引き上げてあげた
「ありがとう 初めてよ 自然の中でSEXするなんて」
「僕も初めてだよ 凄く興奮した ありがとう」
由香里はまだ納まっていない下半身を触り
「だけど ほんとうに元気さんね」
少し笑いながら言うと
「だって 前から言っているように 別な生き物さ」
由香里はまだ元気な肉棒をきれいになめまわし
「はい 綺麗になったわよ 早くしまいなさい」
神山はまだ硬くなっているおちんちんをしまいジッパーをあげた
ホテルに戻る途中でも撮影が出来る場所があればシャッターを押し
時々キスをしながら霧の別世界を楽しんだ

部屋に戻ると11時を過ぎていた
神山が今回の謝礼が予想外の金額になったので
「ねぇ 僕もカメラを買おうかな」
「そうよ 上手だから買いましょう 一杯貰ったし」
「そうしようかな」
神山は仕事で使うことも頭においた
これからどんな現場でも使うことが出来るので買う事に決めた
「そうしたら アルタにも協力してもらうかな このさい」
「う~ん これからの仕事中心なら相談したら」
神山はアルタの高橋に電話した
「高橋です」
「孝ちゃん 神山ですが 今大丈夫?」
「山ちゃん ありがとう フイルムの件ありがとう」
「どういたしまして」
「どうしたの 急に」
「うん これからさ カメラを買おうか迷っているんだけど」





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