「まあ 多分ね そうしたら山ちゃんが貰った事にし渡せばどう?」
「そうしようか そうしたらいいかもね 一回話してみる」
「しかし 山ちゃんありがとうございます」
「では」
神山は由香里に対し
「このお金は僕からの気持ちとして受け取って欲しい」
「なんで あなたなの」
「うん 結局社長のポケットマネーなんだ」
「分りました あなたを苦しめるのが嫌だから半分頂きますね」
「そんな事言わないで ねっ」
「ううん あなたが居なければ頂けないお金よ だから」
「わかった 半分ずつにしよう」
「ありがとうございます 分ってくださって」
「しかしな お金があっても暇がないよな」
「どうせだったら 書類を書いて頂き100万円ぐらい頂けないかしら」
「おいおい 過激だよ」
「だって ビジネスでしょ その位でもいいでしょ」
「それは そうだけど しかし出ないでしょ」
「なんで?」
「そこは 内藤社長の政策だからだよ」
「ふ~ん まあ いいか あなたから貰う事にして」
「そうそう そうしなさい」
「なに言っているの 何かの時危ないわよ しっかりして」
どきっとしたが 今に始まった事ではないので
その時はその時と考えた
神山は12時の御殿場待ち合わせにまだ時間があるので
「少し 寝ようか どうする?」
「うん ホテルの周りを散歩できる遊歩道に行きましょうか」
「そうしようか たまには外の空気を吸おう」
由香里は嬉しそうは顔をして
「着替える所を見ちゃだめよ」
「だって もう下着を着けているだろう」
「いいの 後でお預けですよ」
由香里は浴衣を脱ぎ 新しいTシャツを着て
「ねぇ あなたも早くして」
せかされた神山も Gパンを穿きTシャツを新しいのに買えた
「へぇ Gパンも持ってきていたの」
「うん 会社の打ち合わせでは少し抵抗あったからね」
「だけど これにジャケットでも充分お似合いですよ」
「そうか ありがとう」
由香里はカメラを忘れずに部屋を出た
ホテルの周りにある遊歩道はゆっくり歩くと1時間かかった
北と南に分かれているコースを北側へ進んだが
少し歩くと富士の原生林を使った林に入った
由香里は神山の手をしっかりと握り歩いていたが
時々 カメラを手にして風景を撮影していた
丁度中ごろににある人口池にたどり着くと
「すこし そこのベンチで休みましょ」
由香里が急に言い出したので ベンチに座った
ここまで軽い昇り傾斜で知らないうちに体力を消耗したのだろう
「では ここでビールです」
神山が紙袋に入れてきたビールを見て
「よく 気がつくわね お酒は」
「なに それ? まあ呑んでください 地ビールを」
「はい ありがとうございます 頂きます」
ベンチで缶ビールを乾杯し 周りの景色を見ていると
霧が少しずつ発生してきたようで見通しが悪くなってきた
「わぁ 凄いわ 幻想的な写真が撮れるわ」
由香里が嬉しそう立ち上がりカメラを構えシャッターを押した
「ねぇ あなたも撮影してみる」
「うん だけど上手には撮影できないよ きっと」
「そんな事無いわ 昨日の写真も上手よ」
神山は由香里からカメラを受け取り アングルを決め撮影したが
どんな写真が出来るか楽しみと不安だったが
多分失敗していると思っていた
撮影していると富士の山から霧が流れ濃霧になったため
ホテルの警告アナウンスが響いた
しかし 二人は道しるべが分りやすいので安心していた
神山は由香里を美しいと思い抱き寄せた
「どうしたの 撮影しないで」
「だって 霧の中だと邪魔な物が無いから 美しいよ ほんと」
「じゃあ 普段は美しくないの?」
「そうじゃなくて 廻りが無くなって霧が美しく見せているのさ」
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