海側のガラスを開けている為 心地よい風がふたりをなでた
由香里がお茶を用意しているときに後ろから抱き寄せ
Tシャツの上からバストを触った
由香里は
「そんな場合じゃないでしょ」
きりりとした目付きで神山をみた
仕方なくソファーに座り タバコを吹かした
優しい風に神山の髪がなびく姿に由香里は心を吸い寄せられた
「はい お茶 素敵よ今のあなた」
「ありがとう」
「ほんとよ」
由香里は神山の脇に行きキスをするが
神山はそのままタバコを放さなかった
「なに怒っているの これから仕事でしょ」
由香里はジーンズのベストを羽織って撮影の準備を始め
重たいジッツオの三脚は神山が持つ事になり部屋を出た
グランドフロアのエントランスに着きソファーに座っていると
椿総支配人と桜川グランドマネージャーがこちらに向かってきた
「どうでした 昼食はお口に合いましたでしょうか」
「ええ ごちそうさまです 美味しく頂けました」
「それは良かったです さて撮影ですが一応桜川君に
指示はしておきましたが 神山様のほうでご提案があれば
お願いします」
「はい 分りました」
由香里が撮影を始める前にホテルの案内図を欲しいと申し出た
「はい では只今ご用意いたします」
桜川は胸の小さなマイクに向かって指示を出していた
よく見てみると片方の耳に黒いコードが這っていて
そのコードは腰につながっていた
カウンターから案内図が届けられると
由香里はカメラにフイルムを入れ三脚に取り付けスタンバイした
「では お願いします 桜川君頼むよ」
椿総支配人はそう言うとカウンターに戻り控え室に消えた
「では まずこちらからお願いします」
桜川はサインを設置したい希望個所を案内していった
由香里はその場所を案内図に書き込み撮影個所も書き込んでいき
3,4箇所の候補を撮影し終わるともう2時になっていた
「こちらの希望個所はこれでお終いです あと神山様の
ご提案場所があれば お願いいたします」
神山はどうしても気になる場所が2個所があったのでお願いした
由香里も気が付いたらしく
「そうね あそこは目立つし 夜の案内もいいわね」
「そうだろ では行こうか」
神山は由香里と桜川を連れて撮影を開始した
「あと 斉藤さん カウンターからエントランスの写真と
その逆 そして車付けの写真も大丈夫?」
「ええ フイルムは大丈夫よ」
「そうしたら その場所もお願いしようかな」
「はい 分りました」
由香里は三脚とカメラは神山に持たせているので
ホテルでの撮影は肉体的に楽だったが
全ての撮影を終ると緊張していたのか心地よい疲れが襲ってきた
桜川とエントランスに戻ると椿総支配人が待っていた
「どうもありがとうございます どうぞお掛けください」
由香里と神山はソファーに腰掛け疲れを癒した
早速 桜川が地ビールを用意し今回は桜川もソファーに座った
桜川が椿に追加個所の件を話すと
「それは いい考えです 思いつきませんでした」
「いや そんな事は無いですよ」
「そうしましたら アルタさんのデザインが楽しみですね」
「そうですね」
「それと神山様 恥ずかしいのですが今回の謝礼でございます」
「そんな ねえ斉藤さん」
「そうですよ 受け取るわけには」
「しかし 今回は私どもの仕事ですし 少ないですが」
「はい 分りました 頂きます」
「良かった では桜川君 お二人とお部屋まで行ってくれ」
「はい 分りました」
神山と由香里は出されたビールを呑み椿に会釈し部屋に戻った
桜川が
「夜の撮影は何時からされますか」
「うん 実は室内は何時でもいいのですが
外景が映る所は薄暮も狙いたいと思っているのですよ」
「そうですね よく他のホテルの写真でも見かけますよね」
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