「そうしましたら お部屋に運ばせますがよろしいでしょうか」
「ご迷惑でなかったら お願いします」
「では 橘君 神山様をお部屋まで案内してくれ」
椿は少し年上と見える副支配人に指示すると
「神山様 それでしたら1時半頃にこの場所で打ち合わせを
お願いしていいでしょうか」
「ええ 構いませんよ では1時半にここで」
「お願いします」
「それと撮影するのに三脚を使いますが
どなたかホテルの方が付いて頂けますか」
「勿論 大丈夫です」
「一応 昼と夜の記録を撮影します」
「ありがとうございます」
神山は席を立ち橘の先導で部屋に案内された
「凄い 超高級ですね」
「ありがとうございます ごゆくりおくつろぎ下さいませ」
「ありがとう」
「暫くしましたら 昼食をお持ちいたします」
橘はお辞儀をして部屋を出て行った
このゴテンバ グランド インは
山側にくの字に突き出す形なっている15階建てと
海側くの字につきだす格好の低層階建物が7階建てで
この二つの建物が丘陵を利用し建てられている
ふたつの建物は上から見ると正方形を少しつぶした菱形にみえる
手前の7階建てが1階から7階になっていて
山側が地上3階から15階になっている建物だった
海側の2階がフロントでグランドフロアになっている
海側1階はショッピングモールやカフェが楽しめ
ビューティーサロンもあり利用客が多い
海側3階と山側4階が同じフロアで繋がっていて
山側にもショッピングモールはある
山側3階には和、洋、中 料理店も備わっていた
山側の2階には地下から湧き出る温泉浴場があったり
カラオケや遊戯施設が設けられていた
スイートと呼ばれる部屋は各建物の上2フロアが当てられ
山側最上階にはスカイラウンジが設けられて夜景を楽しめた
「凄いわ ねぇあなた」
神山達が案内された部屋は海側の7階最上階の角部屋だったが
景色は御殿場全体が見渡せるすばらしい部屋を案内された
さほど遠くない所にアウトレットの更地が見えた
「由香里 来てごらん ほらあそこが先ほど行った現場だ」
「素晴らしいわ そうすると あそこは東名高速」
「そうだね」
「箱庭の世界を見ているみたい」
神山が冷蔵庫からビールを出しコップに注ぎ由香里に手渡すと
「ねぇ 幸せよ あなた」
由香里は少し上向き加減で唇を差し出し神山にキスをした
神山は離れるとタバコを吸いながら ソファーに座った
よく見ると 窓と反対側にバスルームが総ガラスで仕切られていて
バスルームからも夜空を眺められるようになっていた
「ここに来た人は 本当に幸せだろうな」
「そうね」
「そうだ 高橋さんに報告するよ」
神山は携帯電話でアルタの高橋に連絡をとった
「はい 高橋ですが」
「やあ 孝ちゃん ありがとう 今ホテルだよ」
「どういたしまして」
「椿 総支配人とあって これから打ち合わせだ」
「ごめんね 埋め合わせするよ」
「それで 昼間の感じと 夜も撮影しておくよ」
「えっ ほんと 助かる さすが山ちゃん ありがとう」
「ただ 椿さんがまだどこにサインを設けるか
思案しているので大変だよ」
「そうか どこにするか決まっていないのか」
「そうだ だから僕の感覚で 撮影する」
「うん お願いします しかし大変だな」
「いつもの事よ 大丈夫」
「では 椿さんに合わせてください お願いします」
「うん 内藤社長にもよろしく」
「はい 伝えておきます では」
窓際で電話をしていたがソファーに戻ると由香里が
「そうすると 今夜も撮影するのね」
「うん ごめん 埋め合わせはするから」
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