2010年11月12日金曜日

Vol.125 若葉 -3-10

神山は高橋からの電話内容を伝えると困った顔になった
「外で撮影している分には余り関係ないけど
室内のときは三脚が必要になってくるの」
「ああ ぶれないように?」
「そうなの だけど今日は持参していないから困ったわ」
神山は由香里から言われた事を携帯で高橋に伝えた
「そうしたら ちょっと待っていてください PCで調べます」
高橋はインターネットでカメラ屋を探した
「ありました 御殿場駅の直ぐ傍に大きいカメラ屋がありました」
「おお 良かった」
「そうしたら山ちゃん 悪いけど領収書で買ってきて」
「うん分った」
「丈夫なのを選んでね」
「うん 彼女に任せるよ」
「その三脚 彼女にプレゼントする」
「分った ここの撮影が終ったら御殿場で買い物するよ」
「では お願いします」
高橋が言って来た事を由香里に伝えるとほっとした顔になったが
「だけど三脚ばかりそんなに必要ないわ」
「まあ いいじゃないか」
「まずはここの撮影を済ませましょうね」
「そうしよう」
由香里は暫く撮影するとフイルムを取り替えた
場所を移動しては周りの風景を撮影し
フイルムを取り替えて撮影作業を繰り返した
神山も自分なりの感覚で撮影に熱中していると 由香里の姿が
見えなくなり探すと はるか離れた所から由香里が手を振った
神山も小走りで由香里の居る場所まで行った
由香里は随分と撮影を行ったと言い
「もう 殆どからの場所から撮影したわ」
「凄いね 早いや ほんと」
「だって このような記録写真は基本を決めると簡単よ」
「由香里 凄いね こんど教えてくださいね」
「いいわよ あなた」
由香里は神山に軽くキスをした

神山も撮影を終えたので携帯でタクシーを呼んだ
「はい分りました 直ぐに伺います」
神山たちは正面ゲートから一番離れた所に居たので
ゲートに着いたときはタクシーが待っていた
「御殿場駅のカメラ屋に行ってください」
「はい 駅前の大きいカメラ屋でいいですね」 
神山は頷き由香里を見てみると疲れたのか頭をもたれてきた
時計を見てみると11時30分になっていた
1時間余り集中し 大変だったのだろうと優しく肩を抱き寄せた
神山も少し目をつぶっていると運転手が着いた事を知らせた
「ありがとう」
清算すると目の前には3階建てのカメラ屋があった
今朝 来た時は気が付かなかったが駅前にあった
由香里は先に店内に入り三脚コーナーを探した
三脚にも色々と種類があって
コンパクトカメラ用 35ミリフイルムカメラ用あと
中判カメラ用と揃えてあった
由香里は自分の持っている三脚がしっかりした中判用があるので
同じような三脚を購入するのは渋っていた
しかしある程度の頑丈さがないと三脚の役目を果たさないし迷ったが
由香里は『ジッツオ』の三脚を選び決めた
随分と大きいがこれならしっかりしていそうだと思った
神山は清算するときに
「領収書はアルタでお願いします」
と言い 三脚を受け取った
買い物が済むと 現像コーナーに立ち寄った 
由香里は係りの人と話を終えると神山に
「ここの現像は ポジフイルムでも4時間で現像が出来るんだって」
「うん 早いな そうしたら
由香里のポジフイルムを出しておけばいいよ」
「そうよね 失敗していたら明日があるものね」
「そうすると夜 受け取りに来なければいけないね」
「そうね お仕事だからしょうがないわよ」
由香里は今日撮影したポジフイルムと
神山の使い捨てカメラの現像をお願いした
閉店時間は20時までで 夕方持込の人は明朝渡しになると言われた
二人は今日の仕事を半分終えたので一安心し表に出た
「さてと お昼ご飯をどこで食べましょうか」





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