浴衣を羽織った二人はソファーで今日の写真を見ていた
神山が撮影したフイルムはネガフイルムなのでプリントで検証でき
由香里の使ったフイルムはポジフイルムなのプリントしないで
そのままフイルムの状態で検証する事ができる
勿論プリントアウト出来るが フイルムでも充分見る事ができる
由香里が神山のプリントを見て
「上手よ あなた ほんと」
「そうかな 自分では分らないけど」
「ほんとよ 私より上手よ 教えるなんて出来ないわ」
神山の写真も充分使えることを伝え
自身が撮影したフイルムをルーペで見た
「上出来です 大丈夫よ あなた」
「そうすると 明日はゆっくりできるね どうする 明日の行動は」
「あなた次第よ 私は今夜寝れば疲れが取れます」
チェックアウトの時間を確かめる為 桜川に電話したが出なかった
2,3分後に電話をすると桜川でない女性が電話口にでた
「こんばんわ 神山様 私は桜川と交代しました矢田部と申します
どのようなご用件でしょうか」
「あれっ あの~ すみませんがチェックアウトは何時でしょうか」
「神山様は15時のチェックアウトが可能です」
「はい ありがとう おやすみなさい」
神山は由香里に桜川さんではなく矢田部さんが出た事を伝えると
「それはそうでしょ 3交代でシフトしているのでしょ 多分」
「そうだよな でないと大変だ それと15時までOKだって」
「凄いわ ゆっくりできるわね どうします あなた」
「ゆっくりして 沼津港に行ってみようか」
「沼津に何があるの」
「沼津港はマグロの冷凍が上げられるところだよ」
「見た事無いわ しかし時間が」
「そうだよね でもここにマグロが着ていると思えばどう」
「そうね」
「それに解凍マグロだけど 築地のように食べられる所もあるし」
「よく知っているわね」
「明日 訳を話すよ」
「変なの 寝る前においしいお酒を頂いてもいいかしら」
「大丈夫だよ 冷蔵庫をみてくる」
神山は冷蔵庫を開けると見た事が無い日本酒が入っていたので
由香里に見せながら戻ってきた
「私も見た事無いわ 開けてみる?」
300㏄の瓶は小さいが値段が2000円と高かった
「凄い高いよ どうする 呑もうか」
「そうね 記念にいいでしょ」
由香里は 小さなグラスを探しテーブルに用意した
神山は冷蔵庫から乾き物を持ってきた
由香里が栓をあけ香りを確かめると
「ねぇ あなた 素晴らしい香りよ」
由香里はグラスに注ぎ神山にわたした
「すごいね フルーティーな香りだ」
神山は 少しだけ口の中に入れ 転がした
ピリとは感じないが 完全に辛口に仕上がっていた
「由香里 そうしたらこれでいきますか」
「ええ 大丈夫よ」
由香里は洋酒より日本酒が大好きで
今まで滅多な事では酔いつぶれる事は無かった
洋酒も雰囲気が好きでよく呑むがどちらかと言えば日本酒を好んだ
神山は逆に日本酒の雰囲気は好きだが呑み過ぎると
翌日に響く事があり 洋酒を良くたしなんだ
「すごくおいしいわ あなた」
「良かった 由香里がそんなに誉めるなんて珍しいよ」
「ええ おいしいわ」
「ねえ 由香里 催事課スタッフの住所だけどわかる?」
「ええ 手帳に書いてあるわよ」
「そうしたら みんなに還元だ」
「やっぱりね いいわよ 私も参加する」
「いいよ 僕は一杯貰いすぎだから」
「なによ 格好つけて」
由香里は神山の行動を微笑ましく思った
「そうしたら 今夜の内に注文しておこう」
「悪いわよ こんな遅い時間だし」
「だから良いのさ 向こうは刺激になって」
「変な理屈」
神山は内線の7200番をまわし受話器を持って待った
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