由香里は自分から腰を前後にゆっくりと動かし始め
「お願いだから あなたのが欲しい」
「なにが欲しいの ちゃんと言ってごらん」
「あなたの おちんちん」
由香里は小さな声で言った
「聞こえないよ もっと大きな声で言ってごらん」
「あなたの おちんちん」
そう言うと 由香里は反らしていた躰をもどし
今度は背中を丸めるようにして
「お願い おちんちんを頂戴」
言うが早いか手が早いか 神山の肉棒を掴んだ
由香里は縁に向かい四つんばいになり神山の肉棒を後ろから誘った
神山も我慢できずに由香里の中に入った
由香里は我慢に我慢を重ねたが
「ねえ もうだめ いきそうです」
「僕もだめだ」
二人は一緒に昇天し 浅い湯船に倒れこんだ
岸壁に打ち寄せる波の音と海の香りがする風に酔っていた
下半身しか湯に浸かっていなくてもからだは温かかった
両手を神山に絡め夜空を見ながら
「私 夢を見ているのかしら 幸せよ」
「現実だよ」
「だったら さめないで欲しいわ この夢が」
「さめないよ」
「ほんと? 一人にしないでね」
「うん わかった」
神山は由香里を手放したくないので言ってしまった
「しかし ここ一年ではなくもっと大変なんだ」
「なあに それ」
「ニーナ・ニーナが三重にも出店する予定がある」
「ほんと」
「うん 昨日の会議で発表された」
「そうしたら 大変ね」
「うん どこまで出来るか分らないけど」
由香里は神山の腕を掴むと硬く自分の前で組んだ
暫くそのままの格好で湯に浸かっていると石畳の階段に
下駄の音が響いてきたので あわてて浴衣を羽織 帰る準備をした
施錠してある竹の扉が叩かれ
「すみません 交代をお願いできますか」
「ええ もう少しで出ますから待ってください」
由香里も神山も仕度は出来ていたが
平常心を取り戻すのに時間がかかった
「お待たせしました」
神山は由香里を背にし交代で入ってくる客に言った
「ありがとうございます」
まだ20代の青年は背が高く体格もがっちりしていて
横にいる女性はまだあどけなさが残っていた
部屋に戻ると床が用意されていたが 由香里が
「ねぇ 内風呂でビールを呑まないですか」
「うん そうしようか」
由香里は冷蔵庫からビールとコップを用意し露天風呂に運んだ
お互い浴衣脱ぎ湯船に浸かった
由香里は用意したビールをコップにそそぎ
「では あなたの仕事を祈って乾杯です」
「うん ありがとう」
ビールを飲干した後 神山は市川の動向を聞いた
今日昼過ぎに 喫茶レイで市川と話していただけに気になった
由香里は市川の心の動きをかいつまんで説明した
「大輔もこれで懲りただろうな でなければだめだ」
「だったら あ・な・た・は どうなの?」
「なにが」
「だって 市川さんより素敵よ だけど女心を分っている?」
「また 女心か まいったな」
「そうよ 本当の意味でいったら 市川さんのほうが、、、」
由香里はそこまで言って 言葉を止めた
「なんだよ そんな女心 女心って 多少分っているつもりだよ」
由香里は神山を怒らせてしまった事に反省していた
しかし由香里は自分に対し真剣に愛してくれていると
そう思うと もっと私『女』の事を分って欲しいと思った
今までも外見の美しさとかプロポーションの良さとか
本質で無い部分で誉められ 彼女自身それが本質を
認められていると勘違いしたときもあった
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