「しかし大変だね 皆振り回されたね 僕も仲間か」
「そうだよ ほんと 昨日筒井さんとのゴルフで
自宅に帰ったら忘れていて今朝早く起こされたわけよ
昨日 話をしておいてくれればこんなに慌てないのに」
「まあ 内藤さんらしいね」
「ほんと では」
「あっ 僕が撮影したプリントも渡すよ」
「えっ それはありがたいです お願いします」
神山が電話を切ったときにドアのノックがあった
由香里が温泉大浴場から戻ってきたので
「今 由香里が大浴場に行っている間に大変な事が起きた」
由香里は丹前を脱ぎタオルで髪を拭きながら
「どうされたの?」
神山は沼津港に桜川が同伴し案内してくれる事とアルタが
ニーナ・ニーナ以外で写真が必要になり
これから取りに来る事を伝えた
「両方とも凄いわね だけど桜川さん どうしてかしら」
「それは聞いていない 由香里から聞いてよ」
「だけど 二人きりじゃないからつまらないな」
「そんな事言うなよ 折角案内してくれるんだから」
「そうね 由香里じゃなくて 斎藤さんよ」
「うん 分った」
「アルタの社長ものんびりしているわね」
「だけど 昨日の内に現像しておいて良かったね」
「ほんとね これで佐藤部長も助かるでしょ」
「由香里のおかげだよ」
「昨日 三脚を買わなければ現像していないですもんね」
「そうだね 後は幸ちゃんに渡すだけだ」
「何時頃こちらに来るの?」
「10時頃と言っていたよ」
「そうしたら 朝食のときカウンターに預けておけば」
「そうだね そうしよう 電話するよ」
神山は高橋に電話をしカウンターに預けておく事を伝えた
「了解です 幸に連絡します ご迷惑をお掛けします」
「いや 探している時間ももったいないでしょ」
「そうです 了解しました」
電話を切ると由香里に
「ではゆっくりと朝食が出来るね」
「行きますか 忘れないでね写真とフィルム」
「了解です 由香里殿」
神山が敬礼をして言うとくすっと笑った
由香里と神山は丹前を羽織ってレストランに向かった
途中4階のカウンターによってフイルムと写真を預けた
3階のレストランはバイキング専用になっていて
和食、洋食、中華の朝食は2階のレストランになっていた
夕食までに明日の朝食メニューを聞き準備していたが
朝になると別メニューが欲しくなる客の為に多めに作ってあった
レストラン入り口で部屋番号を聞かれたので
「ええと S-720です」
受付が宿泊者名簿を確認し
「神山様ですね 只今ご案内しますのでお待ちください」
受付の女性がウエイトレスを呼び指示をした
「どうぞこちらです 何かご注文がございましたらお呼びください」
神山たちが座ったのは窓際で 日本庭園が良く見える所だった
「すみませんが 地ビールを2本下さい」
「はい かいこまりました」
由香里と神山はトレーに取り皿をのせ料理されたものを見た
神山は一通り見てみてビールのつまみになるような物を選んだ
席に戻り神山の選んだ料理をみて由香里は
「主食はどうするのですか 食べないといけないでしょ」
「これだけあると 迷うよね 後で選びますよ」
実際 種類が豊富で選びすぎ残す客も居るほどだった
神山はグラスにビールを注ぎ乾杯をした
窓から見える日本庭園が都会の慌しい生活を忘れさせた
神山は現実から逃避したとき誰が付いて来るか考えた
由香里か 祥子か 果たして桜川か
しかしそんな思いも払拭された
「神山様 カウンターにアルタの高橋様がお見えになっていますが」
「えっ、、、どうしよう、、、」
「合って来たらどうですか 折角だから」
「そうしようか」
「そのほうが いいですよ」
「では 行って来ます すぐに戻るよ」
「はい いってらっしゃい」
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