4月12日 日曜日
今朝は昨日と違い今にも雨が降りそうな雲行きだった
先に目を覚ましたのは神山で化粧室で用を足すと窓を開け
部屋の中の空気を入れ替えた
少しひんやりした気持ちの良い風が神山は好きだった
テーブルのタバコを取りベランダで吸っていると
駐車場が騒がしくなってきた
団体のゴルフ客が出発する所だった
アテンドしている女性が桜川と直ぐに分り大急ぎで部屋に戻った
バスローブを羽織ってベランダに出てみると駐車場の車が出た後で
桜川がお辞儀をして見送っている所だった
神山はガラスを閉め一か八か叫んだ
「おはよ~」
桜川も気がつきこちらに向かってお辞儀をした
神山も手を振って答えた
桜川がホテルに戻ると神山もガラス戸を開け部屋に戻った
由香里を見に行ってみるとまだぐっすりと寝息を立てていた
神山は3階の温泉大浴場に行きたくなったので
メモを残し浴衣で出て行った
【由香里殿 3階の大浴場に行く 30分で戻る】
神山はタオルをもって3階の温泉大浴場に入ったが
先客が2,3人いただけで 貸しきり状態だった
柱についている時計を見てみると7時30分をさしていたので
8時前に上がれば約束の時間には部屋に着くと思った
ゆっくりと浸かり体を温めた後 サウナで汗を流した
吹き出る汗をぬぐいながら我慢をしたあとは水風呂で躰を
引き締め又 サウナで汗を流した
最後に温泉で体を温め風呂を出てエレベーターを待っていると
桜川が近づいて来たので会釈をした
「お風呂ですか 如何でしたでしょうか?」
「ええ 大変広くて綺麗で驚きました 湯加減も良かったですよ」
「ありがとうございます お食事はどのようにされますか」
「バイキングを頂きます」
「そうですね 人気がありますしお口に合うといいのですが」
「それと昨夜はありがとうございますステーキ美味しかったですよ」
神山は桜川が手配した事だと思い礼を言うと
「あの件は椿が手配しておりました 私ではないのですよ」
「そうだったんですか いや失礼しました」
二人が話しているとエレベーターが来て扉が開いた
乗り込む人がいないか確認をして扉を閉めた
箱の中は二人きりになり神山は少し息苦しくなった
「今日はどちらまで行かれるのですか」
「ええ 沼津港まで 美味しいマグロを食べに」
桜川は嬉しそうな顔で
「美味しいところをご案内させて頂きますよ ご迷惑でなかったら」
「それは よかった お願いします しかしお仕事があるでしょ」
「ええ 今日はお昼の12時にあがりです」
「そうですか では12時にどこで待ち合わせますか」
「出来れば御殿場駅で12時過ぎにお願いできますか」
「では御殿場駅でお待ちしています お願いします」
話が終る時にエレベーターが止まり扉が開いた
神山と桜川は反対方向に歩き出したが神山が
振り返ると桜川はこちらに向かってお辞儀をしていた
部屋に戻ると由香里はまだ寝ていた
余程昨日の撮影は疲れたのだろうと思いそのまま寝かせてあげた
神山は桜川との事を考えると余り遅い朝食もいけないと思い
「由香里 さあ起きてください」
「う~ん なあに あなた」
寝ぼけ眼で神山を見つけると両手を広げ神山に抱きついた
「どう 起こしてしまったけど 大丈夫」
「う~ん まだ眠ったいわ」
神山は甘える由香里の上半身を起こしキスをした
ようやく目がさめた由香里に
「さっき由香里が寝ている間に温泉大浴場に行ってきた」
「ずるい 一人で行って」
「だって 何回か起こしたけど寝ていたから」
「いいな それでどうでしたか 大浴場は?」
「広くて綺麗で 申し分なかったよ」
「じゃあ 私も行って来ていいですか?」
「うん 行ってきなよ 満足するよきっと」
「では行くわ 私も 浴衣で大丈夫かしら?」
神山は人前で由香里の浴衣姿を見せたくなかったが
「うんみんな浴衣姿だったよ 丹前を羽織ってゆけば良いよ」
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