2010年9月30日木曜日

Vol.82 芽吹き -3-7

神山が聞くが 多分見たばかりなので 何も見えてこないだろうと
思い 什器なども動く事を伝えると 自分なりに移動させた
「わぁー こうするとわかりやすいけれど パズルのようね」
「ははは パズルか そうですね」
神山は時間をかけなければ 納得する配置が決まらないと思った
「久保さん このモデルは現場に置きましょうか それとも
僕の事務所にでも置きましょうか?」
「現場でいいですよ 現場に置いてください」

「さあ それではお昼の時間にしましょう」
高橋は女将におつまみとビールを運んでくれるよう頼んだ
おつまみは事前に準備されていたので 直ぐに運ばれたが
祥子はおつまみが来ても モデルに興味があり時々見ていた
田中はビールをみんなのグラスに注ぐと高橋が
「それではモデルの完成で 乾杯」
みんなが乾杯をして 祥子もようやくみんなと話すようになった
「神山さん ウインドーコンテスト最優秀賞を受賞されたんでしょ
おめでとうございます 凄いですね」
「もう話が伝わっているんだ そうなんですよ」
「そうそう 山ちゃん おめでとうございます 凄いね」
「まあ たまたまですよ でも良かった
筒井さんも 大変喜んでくれたし」
「そうね 筒井も自分の事のように 喜んでいたわ」
「飾って頂いたドレスシャツは 全部売れてしまったわ
大変な反響だったですよ」
「そうなんですか へぇー あれって高いのに良く出ましたね」
「デザインや品質を考慮すれば安いって 分かってくれる女性が
少しだけ 財布の紐を緩めてくれたのね」
「そうか よかった 陳列して売れなかったら大変だからね」
4人はコンテスト受賞の話で盛り上がりながら食事を終えた

神山は先に店を出て祥子に
「これから 銀座に行くけれど 会社に戻る?」
「ええ 会社へ行きます」
「じゃ 送っていくよ」
「えっ ほんと」
二人が話していると 高橋と田中が店から出てきたので
「考ちゃん ご馳走様」
「ごちそうさまでした」
「いえいえ どういたしまして そうしたらコレを現場において
僕らは 会社に戻ります」
「うん お願いします 又 連絡しますね」
「はい じゃ」
高橋と田中はスケールモデルを持ち現場に歩いていった
神山は少し歩いて タクシーを拾い銀座にむかった
「凄いわね あのモデル」
「うん 良く作ってくれました ははは」
「ねえ 知っている 9日の事」
「うん うちは僕だけだよ 課長から筒井さんに話していたよ」
「なんなのかしら 分からないわ」
「うん 何だろうね アルタの佐藤部長も招待されているんだ」
「へぇー なにかしら?」
「今回は全然 読めないや って言っても自分の事分からなかったし」
「ねえ 今夜は何時頃になるの」
「うーん 8時には動けるよ もう少し早いかな」
「そうしたら イタリア料理でもいい?」
「うんいいよ」
「そうね8時に3丁目の交差点はどう お店は直ぐ近くなんだ
私 早く終わるから お店で待っています」
「了解 交差点に着いたら電話するよ」
「うん分かった 私ね 明日なんだけど お休みを貰ったの」
「へぇー 凄いね 土日じゃなくて 大丈夫なんだ」
「うん ほら先日名古屋に帰ったでしょ その荷物がくるの」
「それで休みを貰えたんだ いいね」
「うん それから ソファーとか家電製品を買わないといけないし
だから 時間が空いているようだったら 渋谷に一緒に行かない」
「うん 明日は多分急ぎは無いはずだから 大丈夫だよ」
「じゃ お願いね」
タクシーが青山3丁目の交差点で止まると
「すみません 一人降ります お願いします」
そういうと扉が開き 祥子が反対側の歩道を指をさし教えてくれた
「じゃ今夜」
「はーい 待っています」
祥子は手を振って見送ってくれた





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