2010年9月12日日曜日

Vol.64 芽吹き -2-6

全てに経費が絡んでいるので 少ない予算で大きな効果を
生むように考える事を充分と説明した
「はい 分りました ご迷惑をお掛けしないよう頑張ります」
「うん頼んだよ 何かあったら 携帯でも良いから連絡をくれ」
「迷ったときは上司に相談する事 自分の判断はだめだぞ いいね」
「はい 分りました」
杉田と話をしている間に各取引先もぽつぽつと引き上げていった

6日8時 代々木上原

業務用の電話が鳴り響き バスから出るとアルタの高橋からだった
「ごめんね 山ちゃん」
「おやようさん どうしたの?」
「うん 今日お昼に現場で打ち合わせをしたいんだけれど」
「うん 何時?」
「1時がいいんだ」
「いいよ 現場でいいんだね」
「うん 実は今 ニーナ・ニーナの筒井さんから連絡があって
チーフの久保さんが1時に現場に来るんだって
それで 一応 顔合わせと仕事の進め方を説明しようと思って」
神山はこのとき久保祥子を知っている事を伏せて
「分かった どちらにしても 1時に現場に行きます」
「うん お願いします」
「了解」
神山は高橋との電話を切ると祥子に電話をした
「はい 祥子です おはようございます」
「おはよう ところで 1時に上原で打ち合わせって知っている?」
「ええ 先ほど筒井さんから電話があって 会社に寄らないで
上原の現場に直接行くよう 指示がありました」
「えっ そうなの 今ね アルタから電話があって チーフの
久保さんと顔合わせと今後のためにで1時現場って言われた」
「ふふふ そうすると 筒井さんが動かしているのね
私もびっくりしているんだもん」
「じゃあ 現場が終わったら会社にいくの?」
「ううん そのまま帰っていいって 言われたけれど
一旦帰社して報告だけするわ」
「そうだね その方がすっきりするし じゃあ 1時に
そうそう そうしたら東京駅から 一緒にいく?」
「うーん いいわよ 恥ずかしいでしょ」
「まあ そうだね では」
神山は電話を切ると 筒井がなぜこのような細工をしたのか
いくら考えても分からなかった
出かける支度をして バックの中を確認すると
昨日 高橋から貰った封筒が二つと筒井から貰った封筒があり
中を確認した
アルタの方は 最初が100万で後から佐藤部長が20万
ニーナ・ニーナの筒井さんが10万と合計130万のご祝儀だった
佐藤部長から貰ったタクシー券は30枚も入っていて
使い道に困るほどだった
(よし 今朝は少し贅沢して タクシーで出勤してみよう)
神山は姿見で確認すると バッグを持ち部屋を後にした
大通りにでてタクシーを拾い 銀座まで走ると渋滞に
つかまることなく スムーズに事務所までたどり着いた

銀座店催事課
「課長 このご祝儀 どうされるんですか?」
斉藤由香里は業者から貰った祝儀袋の束を奥村に見せた
「由香里さん 山ちゃん宛ては」
「ええ こちらに別にしてあります」
「そうか 催事課できたんだね」
「ええ 山ちゃんにっていわれ これは催事課さんですって
そうやって置かれていかれました」
今日来た業者の数は数えていないが50や70社くらいは
入れ替わり来ていたと見られる
奥村が祝儀袋を見ていると 同じ業者から複数頂いているのもあり
いままで昇進や歓送迎会でこれだけ ご祝儀が集まったのも
珍しく 奥村も戸惑った
「由香里さん 山ちゃんの分は 本人に渡して ねっ
で 催事課の分だよな どうするのこれ はぁー」
斉藤由香里が言うには 山ちゃんの分は合計で43社170万
催事課分が46社で90万円あるという
「そうしたら 業者名と金額を帳簿につけて 軍資金に回そう」
「はい 分かりました じゃあ 山ちゃんの分は、、、」
「うん そのまま渡して 後は本人が処理をするでしょ」
「はい 分かりました」





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