2010年9月17日金曜日

Vol.69 芽吹き -2-6

高橋たち3人は傘をさして 駅に向かっていった

「祥子さん これからどうしますか」
「ええ 会社へ行って バックヤードの詳細を見直しします」
「そうしたら 車で送っていくよ 僕も催事課に行きます」
「わぁー ほんと 嬉しいなぁー」
神山はタクシーを拾うと運転手に 青山3丁目経由銀座と伝えた
「ねえ スケールモデルってなあに」
「まあ言ってみれば 小さな店舗ですよ」
「わぁー 小さい頃良く遊んだ あの小さなおうちが出来るの?」
「ははは そうですよ まあ多少割愛はしますがね」
「助かるわ ありがとうございます」
「ほら 目線を変えると お店の中がわかり易いでしょ」
「そうか そうですね なるほど 神山さんって やっぱり凄い」
「特に あのように外に面している所では 大切なんですよ」
「なるほど 分かるような気がします」
「今夜はどうされますか? 雨が降っているし」
「ねえ 神山さんピザ宅にしようか
実は私 今夜は少し遅くなると思うの だいたい8時ごろには
帰れると思うんです だからそうしませんか」
「そうしたら 会社を出たら電話をください 注文しますから」
「わぁー そうね そうするわ じゃお願いしていいかしら」
「いいですよ それまで僕は部屋で仕事をしていますから」
「今日は何時ごろ戻られるんですか」
「多分 6時頃には戻れますよ」
タクシーは青山3丁目の交差点で止まると祥子が
「ねえ ここで降ろして ここから直ぐだし」
「うん 運転手さん 一人降ります」
ドアが開くと 祥子は降りて歩道に渡ると神山に手を振った

神山が催事課の部屋に戻ると斉藤由香里が
「お帰りなさい 部長」
神山の目を見て笑顔で話すと
「ほんと 1日に何回も往復すると大変だよ」
「はい これ」
由香里はカードを渡し
「これ 地下鉄のプリペイドカードよ 使って」
「ありがとう 助かるよ でも大丈夫なの?」
「ええ 先ほど部長の交通費請求で購入したのよ」
「へぇー 凄いね 部長って」
「だから部長っていいでしょ」
二人が笑っていると 奥村が
「山ちゃん お帰り 少し前にアルタの内藤さんから
お褒めの言葉を頂いたよ 早速ありがとうございますって」
神山は何のことについて 褒められたのか検討がつかず
「はぁ 普通の事ですよ」
「ほら ニーナ・ニーナの久保さんの件や 天井解体の件
大変喜んでいたぞ 適切な指摘だって」
神山は言われて分かったが 当たり前のことなので
「まあ 期間が少なければそう考えますよ 当たり前です」
「まあまあ 先方は喜んでいるんだ 当たり前でも凄いじゃん」
「おう 店長も喜んでいたぞ」
「あっ 倉さん 本当ですか」
「おう 先ほど来られてな 嬉しそうな顔して 褒めていたよ」
「参ったなぁー そんな大げさな事じゃ無いのに」
「まあな でも周りが喜んでいるんだ いいじゃないか なっ」
神山は由香里から貰ったカードをバッグに入れると由香里が
「ねえ ちょっと話があるんだぁ いいかな」
「うん 大丈夫だよ ちょっと待っていてね 置いてくるから」

由香里は神山と催事課の部屋を出ると喫茶レイに入った
二人はウエイトレスにコーヒーを注文すると由香里が
「ねえ 市川君の事知っているでしょ」
「ああ 先日もあいつと話したよ なんでも出来ちゃったと言っていた」
「それでね 私にも相談があったのよ」
「えっ いつ?」
「さっきよ」
「なんで?」
「ほら 中絶の事なの」
「えっ 中絶?」
「そう 彼女がどうしても産みたいという話で 中絶するとしたら
時期的にどうだろうかって」
「なんでまた由香里に? 奥さんが居るだろうに」
「うーん そうね でも話しにくいんじゃないの それで私に





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