「よかったね 明日モデルが出来るって 喜んでいたよ」
「わぁー ほんと 嬉しいわ ありがと」
「うん やっぱり壁を固定しないとふらふらするでしょ
それが大変なんですよ なので最初に決めて貰うと助かる」
「そうか 固定していないと どうするの」
「うん 例えば 上にテグスを張ってそこにぶる下げるとか
どちらにしても 格好は悪いし 参考にならないんだよ」
「うんうん 分かる じゃ私 スピードアップに貢献したのね」
「そうだよ ありがとう」
「じゃ赤ワインを呑みましょうか ちょっと待ってね」
祥子はそういうと棚から ワイングラスを取り出し
「はい お願い」
今度は冷蔵庫の野菜室から赤ワインを取り出した
「ねえ コルク抜くのやってぇー」
神山はコルク栓抜きを上手にねじ込むと ゆっくりと引き上げ
ポンと音を出し 綺麗にコルクが抜けた
神山はワイングラスにワインを注ぎいれると 祥子に渡し
「じゃ 改めて乾杯」
「ありがと これからも教えてね 嬉しいな」
暫く食べたり呑んだりした後に神山が
「ねえ 今日ね林さんが 僕を訪ねてきたんだよ 驚きさ」
「えっ 貴方のところへ」
「うん だから何も知らぬ存ぜぬで通したよ ドキドキしたよ」
「うーん そうですか ごめんなさい」
「いや 別に気にしていないよ はっきり言ってよそ様の
人事に僕がどうのこうの言える立場ではないからね」
「そうよね でも今日も 夕方に林さんから電話があって
辞めたいという内容だったの 困ったわね」
「僕は筒井さんを信じているよ 大丈夫だよ 任せておけば」
「ほんと 大丈夫かしら」
「信用してあげないと 筒井さん可哀想だよ」
「そうね わかったわ ごめんなさい」
祥子はいつもの明るい笑顔に戻り フォークをすすめ
「ねえ 明日のお昼はどうされるんですか」
「うん たぶん現場だと思うよ お昼一緒にしようか」
「ええ 私も書類を届けるところがあって 上原に来るんですよ
そうしたら1時でいいかしら?」
「うん じゃ1時に現場で集合だね 居なかったら駅前寿司」
「わはっ また駅前寿司 大丈夫?」
「いいじゃん あそこの鮮魚は格別美味しいよ 安いし」
「はーい なにかあったら携帯電話ねっ」
「うん お願いします」
楽しいひと時を過ごし ダイニングテーブルで寛いでいると神山が
「ねえ 祥子さん 僕は仕事があるので 向こうの部屋に戻るよ」
「えっー 戻っちゃうのー 寂しいな」
「うん でもやらなければいけないことが沢山あって」
「分かったわ 明日の夜は絶対に お泊りしてね」
「うん 一応銀座の作業を確認して戻ってくるよ」
「わぁー お願いよ だったら邪魔しないから貴方の部屋に居ていい?」
「うん 来てもいいけれど なにもないし つまらないよ
また明日にでも部屋の中は 見せるよ だから我慢して」
「うん じゃ おやすみなさい」
「明日 朝ごはんを一緒に食べたいな」
「うん いいよ 起こしてあげるね」
「よっかたぁー 助かるよ 美味しいし 祥子の顔は見ていたれるし」
「じゃあ いってもいい?」
「ははは 祥子の顔を見ていたら 仕事にならないじゃないか」
「ふふふ そうね ごめんなさい」
神山と祥子は抱き合って キスをすると祥子が
「はい そこまで ねっ お仕事でしょ」
「うん じゃ ゆっくり寝てね 明日もハードだよ」
「はーい おやすみなさい」
神山は祥子の部屋を出ると 自分の部屋で貯まっている仕事をし
翔がこれから担当するであろう 仕事の整理を始めた
資料が無い為 思い出しながらポイントをパソコンで入力して
プリントアウトした 出来ればメールで送りたかったが
簡単なイラストや注釈を 記入するところが無くなり
プリントアウトした用紙に記入をし FAX送信する事にした
神山は時計を見ると25時を回っていたが構わずFAXをした
冷蔵庫から缶ビールを取り出し グラスに注ぎ呑んだ
テラスに出てみると 涼しい風が気持ちよく タバコをふかし
遠くの山を眺めていた
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