2010年9月7日火曜日

Vol.59 芽吹き -1-5

佐藤と筒井はそのコップを手にすると
「日本製ではないですね 重たいですよ」
それを受けて奥村が
「ええ フランスの有名なコップです 最高級のクリスタルです」
「わぁー 持つ手が震えてきましたよ ははは」
由香里は冷蔵庫を開けると よく冷えた瓶ビールをだして
新しいグラスにビールを注いだ
「それでは 山ちゃん 事務所開設 おめでとう かんぱーい」
神山はみんなの気持ちが嬉しかった
「山ちゃん これ おつまみよ ほら貴方が好きなチーズよ」
「おお 出そうよ」
そういって 一箱開けてテーブルに出した

神山は先ほど筒井から向かいに祥子が住んでいる事は
社内でも何人も知らない事なので 出来ればオフレコにして欲しい
と言われ 向かい側の部屋が話題になっても 祥子のことを
話す事は無かった

「ねえ由香里姫 翔と大輔はどうしたの」
「うん お留守番よ 翔君は 猛勉強しているわよ
さっきもね この買い物行く時に 手伝って貰いたいから頼んだの
そうしたら『今は手が話せません』って それで倉さんに頼んで
翔君をひっぱりだした訳」
「ははは そんな事いうようになったんだ あいつ」
「おう 本人頑張っているぞ」
「そうですね 明日にでもご褒美をあげよう 頼もしいですね」
神山が翔のことを話していると ドアフォンがまた鳴った
「どうしたのかな 今日は多いな」
独り言を言いながらモニターを覗くと
「神山さま 駅前寿司屋です 出前をお届けしました」
神山は自動ドアを開けて 玄関も開けておいた
暫くすると
「こんばんわ 出前です ありがとうございます
空きましたらいつでもいいですから電話をください 器を回収します」
「はい ありがとう」
3人前の盛り合わせと 鮮魚のおつまみが4皿 
てんぷら盛り合わせが人数分と結構なご馳走がきた
「課長 ありがとうございます」
「山ちゃん これは佐藤部長のところだ」
神山は改めて佐藤にお礼を言った
「どういたしまして ほら安くて旨いだろ それで注文したんだ」
「ええ 昼に入ったんですが 新鮮で安くて はまりますね」
「ははは そうですね」
神山はモニターが非常に見やすいので佐藤に聞くと
「ええ 既存品と交換しました モニターも倍位大きくしました
ほらセキュリティーの問題があり 山ちゃん自身でなくとも
他の入居者に ご迷惑をおかけしたくないでしょ それですよ」
「そうですよね 今 変なのが多いから、、、」
「山ちゃん それを管理人に話し 早速全部屋交換をするそうですよ」
「わぁー 凄いですね」
神山は佐藤と話が終わると
「ちょっと失礼」
そういって 業務用の電話で催事課の杉田に電話をした
「はい 翔です」
「やあ 頑張っているみたいだね」
「まあ やるっきゃ無いでしょ 昇進遅れるし」
「そうだな 留守番 ありがとう」
「どういたしまして 由香里さんに買い物を手伝わされました
そうそう あのグラス 1客1万円するんですよ
割らないように 丁寧に扱ってくださいね」
「そんなに 高いものなのか 分かった 割っちゃたらごめんな」
「そうですね 形あるもの壊れますからね」
「それから この電話番号が ここの事務所の電話番号だ
一応 控えておいてください お願いします」
「先輩 駄目ですよ これって交換通しているでしょ もう」
「あっ そうかごめんごめん じゃあメモって」
神山は杉田に事務所の電話番号を伝えると電話を切った

お寿司が無くなりおつまみも無くなってきたので 時計を見ると
20時を回っていた
テーブルの上は お皿の上が殆どきれいになってきた時 佐藤が
「山ちゃん そろそろ失礼するよ 楽しかった がんばろうね」
「ありがとうございます お願いします」
それを聞いていた筒井も席から立ち上がり神山に





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