神山と市川は事務館の向かい側にある 喫茶レイに入った
「なあ 大輔 詳しく話せよ どうしたんだ」
「うん 実はな 付き合っている女の子に赤ちゃんが出来たんだ」
「えっ 出来ちゃったかー、、、」
「うん それで向こうは産みたいと言っているんだよ
だから俺 かあちゃんと別れようと思っているんだ」
「なに 別れる 奥さんと、、、」
「うん」
「相手は幾つなんだよ」
「今年25歳かな」
「なんだよ 17歳も年下じゃないか へぇー もてるな大輔」
このとき少しだけ市川の顔が明るくなった
「ところで 課長にはなんと答えたんだよ」
「うん 実はそこまで話していないんだ」
「まさか 出来た事も伏せているのか?」
「うん」
神山は市川の俯いている顔を殴りたい衝動にかられた
「大輔 奥ちゃんにきちんと話せよ
あの人 大変なんだぞ 奥さんから電話がかかってきて
大輔を庇って なあ 正直に話してみろよ
あの人の事だ いい案があるはずだよ なあ」
市川は 俯いたまま神山を見ることが出来なかった
「だってさ このままじゃ 大輔 クビになるぞ」
「うん だからここも辞めちゃおうかとも考えたりした」
「そんな 今の奥さんや子供はどうするんだよ 考えたのか」
「うん」
「相手はどこの人なんだ」
「うん 横浜に住んでいる」
「職業は」
「会社員だ」
「大輔 だったら別れるのにお金で解決出来るだろう」
「うーん」
「おい 同期として最後に言っておく
出来た事を課長に話て 会社を辞めるならその後にしろ」
神山はそういうと 席を立ち喫茶レイをでた
部屋に戻ると 奥村が
「山ちゃん 筒井さんから電話だ このメモへ電話して」
「はい えっ今日は日曜日なのにどうしたんだろう」
神山は席に戻ると 筒井の携帯電話に電話をした
「はい 筒井です」
「銀座の神山です どうされたんですか?」
「いや大した用件じゃないけれど 今夜上原のマンションに
アルタの佐藤部長とお邪魔したくて 電話をしたんだ」
「えっ 佐藤さんもですか、、、またどうされたんですか」
「ほら 事務所が開設された訳だろ だからお祝いさ」
「あーあ びっくりすよ ありがとうございます
そうすると 何時頃に来られますか?」
「5時頃だけど 大丈夫かな」
「ええ でも食事の用意が出来ないんですよ」
「ははは いいよ そんなに気にしなくて ではお願いしますね」
電話を切ると 倉元に
「倉さん 今夜アルタの佐藤部長と筒井さんが 来るんですって」
「おう いいじゃないか よかったな」
「でも なにも御持て成しが出来ないんですよ」
「いいじゃないか 酒とつまみがあれば」
「そうか つまみはコンビニで買おう まあ突然ですよね ほんと」
「ははは そんな事もあるさ」
16時過ぎまで催事課で仕事をした神山は
「じゃあ 翔 僕はこれで帰るけれど なにかあったら携帯な」
「はい お疲れ様でした」
「倉さん お先に失礼します」
「おう 明日は遅刻するなよ 大事な日だからな」
「はい ありがとうございます」
神山は課長に挨拶しようとしたが 居なかったので
「由香里さん お先です 課長に伝えておいてね」
「はーい お疲れ様でした 明日が楽しみね」
「まあ 嬉しいけれどね、、、 それでは」
神山は日比谷通りに出るとタクシーを拾って上原に向かった
車の中で市川のことをどうしたら良いか考えていたが
いい案が浮かばずに 寝てしまった
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