「えぇ 私もびっくりしているのですよ」
「そこで 以前神山さんは筒井と親しく話が出来ると
伺っていたものですから なにか 存じ上げていらっしゃると
思いまして お尋ねました」
「うん 僕なんか 何も知りませんよ 御殿場開店は知っていますが」
果たして うそが見破られたか否か 心臓がどきどきしていた
「そうですか 神山さんだったら なにかご存知かと思いましてね」
「う~ん すみません ご期待に添えませんで」
「それと 浜野由貴が上原に移動になるんですよ」
これまた心臓の鼓動を抑えなくてはいけない言葉が出てきた
「へえ すごい人事ですね」
「ええ 私も彼女だとまだ店長は無理だとお話をしたのですが
しかし 筒井はこの人事で会社を磐石の構えにすると
言われるものですから、、、」
神山は何故にこの様な行動をとったのか腑に落ちなかった
それとも筒井になにかこの様な行動を起こさせる何かが起きたのか
林は一通り愚痴を言ったので気分が優れて来たのか
「どうもお邪魔しました お忙しいところをありがとうございました」
「いえいえ 何もお力になれませんでした また何かありましたら
お気軽にどうぞ来て下さい」
「はい ありがとうございます」
林は一礼をして催事課を出て行った
斉藤由香里が近寄ってきて
「ねえ どうしたの 今日の林さん 随分と暗い感じだったわよ」
「うん ニーナ・ニーナが御殿場のアウトレットに
出店する事は知っているだろ」
「ええ だけどそれと林さんとどんな関係があるの?」
神山は林との話をかいつまんで話した
「だけど 銀座店のベテランでしょ 林さん 大丈夫なのかしら」
「しかし はっきり言ってよその会社の人事だからね
まだ公じゃないから 少しの間は口にチャックだ いいね」
「はい わかりました」
席に戻り仕事をしていると翔が
「先輩 5月の店外ですがここが分からないんです 教えてください」
神山は図面の綴りを受け取ると
「ああ ここか じゃあっちで」
神山と翔はセンターテーブルに行くと図面を広げて説明した
「そうだ 経費の詳細もあっただろ それを持ってきて」
翔は言われたとおり 詳細を神山に渡すと
「いいか ここの売り場のハンガーラックとここの売り場の
陳列台を足してごらん」
翔は言われたとおり 図面から台数を足していくと
「ほら 経費詳細のこの数字になるだろ わかった」
「だって 先輩 陳列台が詳細に無いから どうしたのか
分からなかったし まさかサービスで入れたのかと思いましたよ」
「うん これには理由があってね この陳列台はそのまま売り場で
使って その翌週かな また催事場のバーゲンで使うんだよ
だから ハンガーラック並みに安くして貰った訳さ」
「そうですか でも詳細になぜ明記しなかったんですか」
「うん 明記すると 同じ金額で貸し出しが出来ると 知らない
人間が見たとき そうなるだろ だから分かるように
図面に →7Fと記入してあるだろ」
「なるほど この記入はその意味があったんですね 分かりました」
「ははは だって当時 担当を離れるなんて 思ってもいないしな」
「そうですね そうするとまだまだ暗号が一杯あるんですね」
「ははは 一杯あるよ 探してくださいね」
「またぁー 先輩教えてくださいよ」
「それと 金曜日に全体会議だよね」
「ええ そうです 出てくれるんですよね」
「うーん わからん」
「えっー そんな」
「図面はどうした 出来上がった?」
「ええ 出来ています」
翔は図面を神山に見せると
「この図面は書いてもいいのかな」
「ええ 大丈夫ですよ」
神山は翔が起こした図面に赤鉛筆で色々と記入していった
「まず ここの通路幅は 図面より狭くなる
ホテルから貰っている図面が違っているんだよ 30cm狭いよ」
「へぇー 凄いですね」
「まあね それから ここの柱6本は実際より細くなっている
確かWとDとも14cmくらい細いよ」
「へぇー」
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