4月6日 月曜日 小雨
「神山 龍巳 殿 右のもの 本日を持って専門部長を任命する
平成9年4月6日 銀座店店長 池上 聡」
神山は特例の人事命課を受けた
秘書課課長 店次長 販促部長を筆頭に他の部長が見守る中
人事辞令が発令された
「山ちゃん 頑張ってくれよ」
店長から励ましの言葉を頂き
「精一杯 尽力を発揮いたします 鈴やの為にも
ニーナ・ニーナジャパンの為にも 本日はありがとうございます」
神山は辞令を交付されてようやく自分が専門部長に
なったことを意識したがこれからが大変だと気を引き締めた
秘書課から催事課のビルに帰る途中 課長クラスと行き交うと
「おめでとう がんばってな」
と皆声を掛けられた
今回の人事は特例中の特例で 銀座店の皆がすぐに知る事になった
催事課に戻ると皆が神山の帰りを待っていて
「おめでとう すごいな 頑張ってくれよ」
と お祝いと励ましの言葉があちこちから来た
「ありがとうございます 暫くの間 銀座が手薄に成りますが
ここに居るスタッフが私をカバーし仕事をさせて頂きます」
神山の第一声をききあちこちから拍手がわいた
催事課でも奥村課長が異例の発表をした
「取引先の方も殆ど来られているので ここで人事発表を行います
本日をもって神山さんは専門部長になられました
現在 銀座店の仕事のほかにニーナ・ニーナジャパンの
代々木上原店出店準備の為 そちらの仕事もして頂きます
以上宜しくお願いします」
奥村課長の発表が終るとまたお祝いの拍手がわいた
神山はここまで発表をされたのであればと思い
「私が抜けた所は 杉田君がフォローしてくれるようになっています
勿論 倉元部長が全てを見るようにはなっていますが
杉田君にもがんばって頂きたいと思っています」
神山は奥村課長を見たが こちらを見て頷き返してきた
「神山部長が言われたように 杉田君がフォローをしますので
各取引先の方も杉田君を後押しして下さるようお願いします
杉田君 一言どうかね」
「はい 今回 神山部長のフォローをさせて頂きます
微力な私ですが精一杯頑張りますので ご支援をお願いします」
ここで又 部屋に居る皆から拍手が沸いた
なかなか自分の席につくことが出来ない神山だった
電話機が鳴ったので由香里が受話器を取り上げると
ニーナ・ニーナジャパンの筒井からだった
「神山部長 ニーナ・ニーナJPの筒井副社長からお電話です」
由香里が改まった口調で受話器を手渡すので お互い笑った
「はい神山ですが ありがとうございます」
「いや おめでとう 今忙しいだろうから又 後で」
「はい では」
受話器を置くとすぐに電話機がなった 今度は神山が取り上げると
「アルタの内藤ですが 神山部長はいらしゃいますか」
「神山です」
「やあ 昇進おめでとう 頑張ってください」
「はい 分りました 今後も宜しくお願いします」
受話器を置き奥村課長にアルタの社長から
お祝いの言葉を頂いた事を伝えた
(しかし なんで取引先のお偉方がいるのだろう
それに余り知らない取引先も来ているな)
取引先と催事課の皆が久しぶりで揃うので宴会場のような
そうぞうしい会話で大変だった
「課長 僕は上原で1時に約束がありますので 暫くしたらでます」
「そうか 昼を一緒にと思ったが 仕方ないな」
「又 設けてください 由香里姫と連絡を取り合いますから」
「うん 経費もこれからある程度自由だから由香里さんに言ってくれ」
「おう 良かったな 山ちゃん 頼むぞ」
「倉さん ありがとうございます それとこのカードの件も」
「ああ 大変だものな」
「それから 昨日アルタさんからビール券を一杯頂きました」
「おう それはいい事だ 寄らせてもらうよ」
神山は自分の席につき 杉田とデザインの割り振りをした
殆どを杉田にまかせたが自身もデザインしFAXで送る事にした
売場との打ち合わせは杉田が行うがチェックは神山が行う事に
なっているので 詳細を電話連絡するよう指示した
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