「まあ 何言っているの もう神山さん聞いて 由紀枝さんたらね
こんなに必要ないでしょって Tバックとハイレグを1枚ずつくださいで
持っていかれたのよ もう」
「ははは こらっ 由紀枝 駄目だよ 誕生日のプレゼントを横取りして」
「はーい ふふふ でもね亜矢子さんが こんなに一杯どうしようかしら
って悩んでいたから 貰ったのよ ふふふ」
神山はどちらがどうなのか構わない事にして コック長に挨拶した
「神山さん こんばんわ よく気が付かれましたね」
「由紀枝から聞いた所 こちらで協力してくださると伺いました
ありがとうございます それでこれは私の気持ちです」
神山は封筒を差し出したが なかなか受け取らないので
「ははは お願いしますよ でないと今後利用できなくなります」
神山が再びお辞儀をすると林は
「神山さん 頭を上げてください 分かりました ありがたく頂きます」
3人はテーブル席に着くと ウエイトレスが早速ケーキを持ってきた
「ふふふ この歳でねぇー 少し恥ずかしいわ」
ローソクに火が灯されると 店内は照明が落とされ 亜矢子がローソクの
火を消そうとした時に 従業員達もハッピーバースディーを歌い亜矢子の
誕生日をみんなで祝った
周りの客からも拍手されるなか 火を消していった
店内が明るくなると 客からの拍手は最高潮になり 亜矢子は立ち上がり
お客一人一人にお辞儀をした
「わぁー おめでとうございます」
「ありがと 嬉しいわ ふふふ」
「由紀枝 ちょっとウエイトレスを呼んでください」
ウエイトレスが来ると神山は
「1グループに1本赤ワインを差し上げてください それで お会計は僕が
帰りにします お願いしますね」
ウエイトレスは神山の粋な計らいを 快く引き受け赤ワインのボトルを
テーブル席の客やカウンター席の客に配った
客は最初驚いたが 事情が分かると神山たちに改めて拍手した
亜矢子は神山の行動を見ていて 涙ぐんでいた
由紀枝が優しくハンカチで頬の涙を拭うと 益々涙が止まらなくなった
「おいおい 亜矢子 誕生日に涙って似合わないよ ほら」
「だって 嬉しいのよ もう ほんとよ グスン」
拍手もひと段落したときに林が直々にテーブルにきて
「亜矢子さん お誕生日おめでとう これからもさ頑張ってね」
そういうと 豪華なオードブルをテーブルにおいてくれた
ウエイトレスが取り皿やフォークやナイフなど持って来てくれた
シャンパンがきて 由紀枝が神山と亜矢子に注ぐと
「では 亜矢子さん うん歳おめでとう かんぱーい」
3人はグラスを合わせると 周りの客から拍手が起こった
亜矢子は控えめにグラスを持ちながら 笑顔で軽くお辞儀をした
「ほんと こんなに感激した誕生日は無いわ ありがと ふふふ」
「じゃ これから毎年行おうね ははは」
「もう 今回でお終いです」
「それでね神山さん 椿支配人が これまた凄いのよ」
「どうしたの?」
「ほら私がフロントでタクシーの配車を頼んでいたのね そこへ丁度
ほんといいタイミングで 椿支配人が事務室から出てこられて 私に
訳を聴くわけ それで正直に話をしたら なんと亜矢子さん
スィートルームルームに宿泊しなさいだって 驚きよ もう」
「へぇー じゃ 亜矢子は今夜スィートルームなんだ やったじゃん」
「ところがね亜矢子さんは断ったの ほらねぇー」
「まあね でも凄いね スィートルームか しかし一人では寂しいね」
「うんそうよね それでここでパーティーをする事も話して 椿支配人も
一枚噛んでいるわけなんです」
神山は今夜にでも由紀枝と亜矢子に渡そうとしていた シドニーのグラスを
椿に渡そうと考え
「亜矢子 これプレゼントだよ 仲間みんなに渡すものだから」
亜矢子は包装紙を開けると桐の箱が現れ 蓋を開けた
「わぁー 素敵なグラスね ありがとう」
神山はグラス製作に付いて 簡単に説明し
「由紀枝 由紀枝の分は改めて渡します 明日だけれど 椿支配人に
お会いする時間って有るかな」
「うーん どうだろう 今夜だったら まだいらっしゃいますよ」
神山と由紀枝はフロントにいき椿総支配人にあった
「遅くに申し訳ございません」
神山は亜矢子に話した内容を伝えると
「はい 内藤さんから伺っていますよ 私のところでも販売しないかって
お誘いの電話も頂いています」
神山はグラスを渡すと 包装紙を剥し桐箱の蓋をあけた
椿はグラスを手にすると