2013年10月9日水曜日

Vol.1187 百日紅 -7-68



「清清しくて 気分がいい うん 頑張って欲しい 応援するよ」
取引先からはこんな言葉があちらこちらで囁かれた
優勝した細川にも賞品が渡り 奥村の一本〆で祝賀会と歓迎会は終了した

神山と洋子 杉田と奈々子がホテルのエントランスで取引先を
見送っていると後ろにいる美佳に アルタの内野誠二とARXの篠原涼子が
「お互い楽しみね ふふふ 頑張ろうね」
「そうね お互い頑張りましょうね ふふふ で今夜はどこに行くの?」
「うーん よかったら一緒に行こうか 大丈夫かな杉田さん」
「うーん 難しいと思うよ これから2次会だって」
「じゃ 美佳は」
「うーん お邪魔だから 次の機会ね ふふふ」
「はーい じゃ お疲れ様」
「うん頑張ってね ふふふ」

「さあ 奥村さん お疲れ様でした 例の所に行きましょか
私の方で準備していますので はい」
「内藤さん ありがとうございます いつもすんません」
内藤はタクシーを手配すると神山に
「山ちゃん いつもの所です お付き合いをお願いしますね」
エントランスに残っているのは ニーナ・ニーナは筒井と祥子 フランス人
デザイナーの計4名 ARXはJrとジャック 秘書のナタリーの3人 
催事課で市川を除いた全員と内藤 神山と洋子の合計17名だった
タクシーで青山2丁目の『ざ いたりあん』へ向った
内藤は今回 美佳をあえて呼ぶ事をやめた
主役はあくまで杉田と奈々子 そして山崎絵里華と言う事で美佳には
辛いだろうが帰ってもらった
店内に入ると神山はフランス人デザイナーの間に入り ファッションの
話だけでなくおしゃべりを楽しんだ
宴も酣になると内藤夫人が杉田にオメガの時計をプレゼントしたりして
祝賀会も最高潮になった
新人の山崎も雰囲気に慣れてきたのか周りの人間と積極的に話していた
料理も少なくなった所で内藤が神山のところに来て
「山ちゃん 例の踊れる所へ行きませんか?」
「えっ 良いですけれど 珍しいですね」
「ええ これからそのジャケットのイメージビデオの撮影です」
「えっ だって営業中でしょ 大丈夫ですか」
「ははは 大丈夫です 貸切にしました はい」
「えっ 貸切ですか はぁー」
「それでエキストラもスタンバイしています」
「はぁー」
種明かしは内藤がNNからジャケットの試作品を神山に渡す日を予め
情報収集し その日に合わせて 赤坂のアフターシックスを5百万円で
貸しきるという計画で進んでいた
「えっ 5百万円ですか 凄いですね」
「うん でも考えたら安いよ スタジオで雰囲気作りにお金を掛けても
本物とは違うでしょ そこですよ」
「なるほど 時間とお金ですね」
「そうそう それで今夜はここに居る人たちにも行ってもらいたいが
どうだろうか? ビデオに出演したくない人もいると思うし」
「うーん どうでしょう 洋子は大丈夫だと思いますよ」
内藤は席に戻ると イメージビデオ撮影の出演者をみんなに聞いた
最初に手をあげたのはフランス人デザイナー2人で 催事課の連中は
渋っていた 倉元が手をあげると由香里も参加して 杉田や奈々子も
参加してくれる事になった
NNの筒井と祥子は手をあげていなかったがニヤニヤしていた

全員で赤坂 アフターシックスに行くと 初めてきた参加者は 店内の
雰囲気に圧倒され驚いていた
「あれっ考ちゃん どうしたの?」
「ははは 遅いですよ もう 待ちくたびれました」
店内はビデオ撮影用のカメラが3台入っていて 天井にも2台取り付けられ
本格的なビデオ撮影になった
四季で祝賀会を終えた 田中幸三も会場手伝いで来ていた
更に驚いた事に NNの浜野由貴と安田桃子も手伝いで来ていた
内藤はここで勤務するバニーガールやミクソロジスト(バーテンダー)を
ビデオの雰囲気つくりの為に アルバイトで来て貰った
内藤が神山と簡単な打ち合わせをしていると洋子や由貴たちが近寄ってきた
「あれっ どうしたの 凄く素敵なドレスじゃないか へぇー」
「ええ NNさんが用意してくれたの どう 素敵でしょ」
女性群がくるりと一回りするとスカートの裾がふわりと浮き上がり
「おぉー 素敵だ うん 綺麗だよ」
「そこで山ちゃん 今回は山ちゃんが主役だから 上に投げなくてもいいよ」
「はい 了解です」