4人が受付で話をしていると 内藤が来て
「やあ 山ちゃん 早いですね」
「ええ 遅れると不味いですからね なあ翔」
「そうしたら 会議室に行きましょうか 準備は出来ています」
4人はエレベーターで会議室に行くと 秘書課長の案内で席に座った
会議室は過日の役員が全員並び 神山と洋子も並んだ
全員が並び終えると内藤社長が辞令を読み始めた
「杉田 翔 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタ
意匠担当常務を任命する
平成10年8月1日 株式会社 アルタ 社長 内藤 一哉」
杉田が辞令を受け取ると 丁寧にお辞儀をして下がり 奈々子が呼ばれた
「安井 奈々子 殿 右のもの 本日を持って株式会社アルタ
意匠担当常務 杉田 翔の専属秘書部長を任命する
平成10年8月1日 株式会社 アルタ 社長 内藤 一哉」
奈々子も深々とお辞儀をすると 辞令を手にし 席に戻った
儀式が終わり役員からは拍手が沸いた
社長室に行くと杉田にご祝儀が渡され 雑談が始まった
暫くすると神山が
「内藤さん 私はこれで失礼します」
「はい 分かりました 杉田さんと今後のプランを練ります」
「はい 翔 あまり大きなプランは控えなさい 洋子 翔の車で帰りなさい」
洋子はココに残る意味を感じ取り 笑顔で
「はい ありがとうございます」
「じゃ 失礼します」
神山はみんなに見送られアルタを後にして銀座の食品協会に向った
「やあ こんにちわ」
「今日は忙しかったですね 理事 こんにちわ」
「うん まあ 仕方がないな」
神山は時計を見ると12時になっていたので
「よし 先に食事をしよう どこにいく?」
「ええ いつものうなぎでお願いします 神山さんもう直ぐ泰子さんと
真由美が来ますので待って頂けますか」
「ははは いいよ ではそれまで資料を読んでおくよ ありがとう」
「それから理事 これが書留で 礼状は出しておきました」
「そうか ありがとう でもまだこんなに来るんだね」
「ええ お中元やお歳暮って関係ないですね ほんと凄い人気ですね」
神山は台車に乗せられた紙袋を数えると5つつもあった
暫くすると繊維協会の泰子と建築協会の真由美が台車に紙袋を乗せて
やってきた
「やあ ありがとう 大変だったね」
「ほんと 凄い人気ですね この時期でもこれだけ来るなんて初めてです」
「ははは その代わり有名税が大変だよ ありがとう さあうなぎに行こう」
4人は台車に乗せてある紙袋を2台の台車に纏め 神山の車に積んだ
台車を片付けるとタクシーで鈴やのうなぎ屋に入った
暖簾をくぐると奥座敷部屋に案内され いつものように注文した
生ビールが運ばれると神山が3人に
「いつもありがとう 感謝しています かんぱーい」
「ふふふ ご昇進おめでとうございます 専務」
「おいおい なぜ知っているの?」
「ええ これは企業秘密ですよ 政府機関が絡んでいますから ふふふ」
「こら泰子 教えてくれよ 僕だって理事職だよ もう」
「先ほど 洋子さんから連絡がありました 喜んでいましたよ」
「なぁーんだ うん そのホットラインは企業秘密だね ははは」
「でしょ それで名刺は休み明けに手配をさせて頂きます」
「うん お願いします でも500枚もいらないよ ほんと使わないから」
「はーい では300枚作りますね」
「うん お願い 足りなくなったら連絡するよ」
「そうね でも9月23日には使われるでしょ どうですか」
「ああ 合同披露宴か まあその時はその時さ それもホットライン情報?」
「ええ そうですよ ふふふ ほらスケジュール管理がありますから」
「そうか そうだよね」
「理事 5日のお休みお願いします」
泰子が有給休暇証をテーブルに出したので 認めを押印した
「理事 今度私たちも そこへ連れて行ってくださいね ふふふ」
「うん 大丈夫だよ 連れて行くよ 楽しみにしていなさい」
ゴルフの話をしながら うなぎを食べ終えると 泰子と真由美は鈴やを
出たところで別れ 帰っていった
香織とタクシーで協会事務所に戻ると神山は30分昼寝をした
「理事 起きてください 30分経ちましたよ」
「おお ありがとう あーあ スッキリした」
香織がアイスコーヒーを渡すと美味しそうに飲みながら資料をみた