「ところで由紀枝 今日はどうするの?」
「ふふふ ドライブよ 祐子さんと一緒に」
「へぇー どこに行くの?」
「ええ 鎌倉に美味しいお蕎麦屋さんが出来たって そこが評判だから
祐子さんと食べにいこうねって 前から決めていたの」
「そうか 気を付けてね そうすると夕方に帰るんだね」
「ええ アルコールが入ると不味いしね ふふふ」
「そうだね じゃ 僕はこれから出勤するよ」
「はーい 行ってらっしゃい 又 御殿場に来てね ばいばーい」
神山は二人に見送られ玄関を出た
次長室に入ると洋子が近寄ってきて
「どうでしたか 納車は」
「うん 二人とも喜んでいたよ 早速鎌倉までドライブだって」
「へぇー そうか、、、新しいお蕎麦屋さんでしょ きっと」
「うん へぇー 洋子も知っているんだ」
「ええ 女性週刊誌などで取り上げられているわよ」
「じゃ そのうちに行こうね」
「ふふふ 祐子さんに情報を聞いてくださいね」
「そうだね ホヤホヤの情報だものね うん 聞いておくよ」
神山はGプロの部屋に行くと高橋孝一と打ち合わせをした
御殿場アウトレットの見積りが出てきたが どのブースも予算を下回り
各企業には喜ばれるかもしれないが 共用部分の地下イベントスペースが
予算をオーバーし悩んでいた
「そうすると1億がどうしても出ないんだ 困ったな」
神山たちは共用部分は各社ブース予算から案分で割り当てるよう進めて
いたが 一番予算計上高くしているアレックスの出資割合を高くしても
追いつかなかった
「これ以上 アレックスに負担をかけられないね どうしようか 参った」
「そうしたら 共用部分にアレックスのスペースを設けるってどうかな」
「うーん でもさ考ちゃん これで説明しているでしょ 予算がありません
共用部分にブースを設けます 1億出してくださいじゃ 納得しないよ」
「そうですね 困ったな」
「全体の予算は余っているのに どうするか あーあ 参った」
「ねえ 山ちゃん そうしたらさ 腹を割って話したらどう」
結局 アレックスジャパン 東都食品 鈴や食品 ニーナ・ニーナと
4社が同額2千5百万円を出資してもらう事で話は落ち着いた
神山は直ぐ各社に電話をし 経緯を説明すると快く承諾してもらった
4社とも1千万円から3千万円戻ってくるので2千5百万円出資には
目を瞑りいいものを造ってもらおうと考えていた
「良かった でも地下を造るってお金が掛かるんだね 参ったよ」
「ええ それにミニ工場でしょ そこでお金が掛かるんですね」
「まあ 各社とも戻りが有るから目を瞑ってくれたと思うよ これが
そのまま予算オーバーです ったら出すのを渋るよきっと」
「そうですね でも良かった では早速報告します そうそう山ちゃん
このオーバー1億だけど 安くなる可能性は有るんだ だから安心して」
「ははは お願いします」
神山がGプロの部屋を出ようとしたときに杉田が部長席からでてきて
「先輩 ちょっとお待ちください」
「うん」
神山が振り返ると桐の箱を持っていた
「実はシドニーオリンピックグラスが完成しました 箱は桐箱ですが」
「へぇー 早いね よくやった」
杉田と神山は会議テーブルに座り 箱を開けてみるとグラスを手に取った
「へぇー これが大会キャラクターのグラスか良く纏めたね ねえ考ちゃん」
「ええ Gプロのスタッフと論議して決めました」
「あとは陸上競技・競泳・バレーボール・体操・柔道だね うんいいよ
そうすると この5種目でセットにするんだね」
「ええ セットはこの組み合わせをAプランで一押しのセットです
その他にもサッカーやテニス バドミントンや射撃などと 5種目プラス
大会キャラクターを入れて6客のセットを作ります」
「そうだね でもさそうすると31種目だから6プランでも1種目余るよ」
「ええ そこで全部の種目を網羅すると組み合わせが出来なくなるので
種目人気度や競技の多さを考慮して3プランに絞りました」
「そうだね その方が選びやすいね でその他の種目はバラで販売か」
「ええ そこなんですよ 全てバラで販売します って言うのは各グラスの
底にシリアルナンバーを振ります でAプランだとAの何番ってなりますが
バラのグラスにはA B Cと入らないんですよ」
「なるほど そうするとシリアルナンバーで揃えたい場合は バラで購入か」
「ええ そうした方が 売り上げが伸びると協議した結果です」
「いいね そうしよう うん」
「で このセットはP-1のシリアルが振ってあります」