「はい 秋山ですが どうされましたか専務」
「うん あのぉー 杉田理事の各理事に対しての挨拶がまだなんですよ」
「あっ そうでしたね 申し訳ございません それで」
「ええ これからアルタの人事命課があるものですから お昼前には
伺えると思いますので 宜しくお願いします」
「はい 分かりました あのぉー洋子は」
「ええ いますが 替わりましょうか」
「はい お願いします」
神山は洋子を呼び電話に出るようにいった
「どうしたの洋子 びっくりよ専務から直接電話なんて」
「だって 若いと初々しくて助けたくなるんですって もう 知らないわ」
「まあ またけんかしたの ねえ それはそれとして どの位包むの」
「知らないわ 聞いてよ もう」
「まあ 洋子らしくないわね 分かったわ 大きいのを2つでいいでしょ」
「うん どうかしら もう一つあげて貰えるかしら お願いします」
「ふふふ 分かったわ じゃ3つ用意して頂きますね」
「ねえ 時田副社長の所にも伺った方が良いでしょ 順序として」
「分かったわ 奈々子ちゃんに注意しておくわ」
「そうね 私が頑張る所じゃないもんね」
「ねえ けんかしちゃ駄目よ わかった」
「はーい でも 悔しいわよね ほんと もう」
「はいはい こんど また呑みましょうね では失礼します」
「はーい お願いね」
電話を切ると洋子は結果を報告せず 机に向かい仕事をこなしていた
神山はそんな態度の洋子に
「洋子 業務だぞ 結果報告をきちんとして欲しい なんだその態度は」
言われた洋子は
「はい 済みません 秘書室から安井のほうに連絡がいくようになります
今回は私たちの事ではありませんので報告をしませんでした」
「わかった いつまでもその態度を改めないのなら クビだ いいよ
すぐにこの部屋から出て行って」
洋子は何も言えず俯いていると
「僕は 若い人間は初々しくて助けたくなると言っただけだ それを
勘違いしてもらっては 今後の仕事にも影響がでる 洋子の考え方が
改められないなら ここに居る資格は無いよ そうだろ」
洋子は神山の言っている事がよく分かりすぎるので辛く涙した
「はい ごめんなさい」
神山は洋子の涙を見るのは久しぶりだが 今日だけは許せなかった
「業務命令に従わなければ クビです いいですか いくら時田さんが
血縁関係でも 業務は仕事です そこが分からなければクビ」
洋子は机に伏せ声を出して泣いていた
「いいかね 洋子だけじゃない 僕だって辛い思いをしている それを
仕事に持ち込んでは駄目だ 特に今回はまだ初体験の奈々子ちゃんだ
こちらで準備してあげなければ 先方にも失礼に当る
その位分からないなの よく考えなさい」
洋子は泣きながら神山の言葉をかみしめ聞いていた
自分の行き場がなくなり 泣いているしかなかったが一言神山に
「そうしたら もう 私の前で辛い事を言わないようにしてください
お願いします」
「なんだ そんな甘い考えだったのか それは自分の事だろ いいかね
よく考えなさい 僕は洋子に対し辛い事で強要したか していないよ」
この言葉も洋子には辛かった 言われれば神山は洋子に対し 辛い事の
強要は一切ないし 逆に楽しい事ばかりだった
今までの事が走馬灯のように頭の中をぐるぐる回り始めると
ふたたび机に伏して大きな声を出し泣いてしまった
神山は事態を見切り
「洋子 アルタにいくぞ 泣いているんだったら不参加だぞ
自分だって 僕の秘書で参加しなければいけないんだから」
洋子は自分を取り戻し 涙を拭くと化粧を全部落とした
涙声ながら
「はい いきます 参列します 済みませんでした」
神山は何も言わず 次長室を出ると車をビルに付けた
洋子が乗車すると
「ごめんなさい あなたの言うとおりです ごめんなさい」
神山は何も言わないで 運転をしていると洋子は簡単に化粧をした
アルタに着くと杉田と奈々子は既に来ていて奈々子が洋子に
「先輩 遅いですよ もう」
「うん ごめんごめん ふふふ」
奈々子は余り多くを語らない洋子を不審に思ったが杉田に
「では お嫁さんに挨拶をしてきますね」
「うん まあ ほどほどに ははは」
杉田は少し照れて奈々子に話していた