2013年8月13日火曜日

Vol.1130 百日紅 -5-66



神山がグラスの底を見てみると【P-001/P-101】となっていた
「なに このPって」
「試作のプロトタイプのPです 100組作りました それで半分ほど
買っていただけませんか?」
「ははは いいよ 全部買うよ えーっと1400万円だね
でもさ なぜ100組なのに101番なの」
「ええ ほら4番って嫌われているでしょ なので101番です」
「そうか 分かった では100組買いますね 宣伝にしては安いよ」
「店をとおしていませんから それにデザイン料も入っていません」
「ははは で誰に渡せばいいの?」
「ええ 自分です お願いします」
「わかった それからカタログを早急に作りなさい 考ちゃん頼むね」
「ええ 大丈夫です 写真撮影も終わり 本ちゃん用のパッケージも
綺麗なダンボールで手配しています 見本はこれです」
高橋孝一から見せられた化粧箱は藍紺のデザインで纏められ 作りも
ダンボールと思えないほど頑丈な作りだった
「今 化粧箱の試作をいくつか作っています」
「うん これなら配達の時に落下してもグラスは大丈夫そうだね」
「ええ そこに気を使っています ダンボール屋も初めてではないので
結構ノウハウを持っていていい化粧箱が出来そうです 期待しています」
「うん お願いします まずはこの試作を配る時に カタログがないと
訴求力が無いので お願いします それから翔 現物は何処にあるの」
「ええ まだ半分も出来ていないんですよ 30組程度です 私の部屋に
積んであります」
「そうしたら 自分で配る分を抜いて 後は僕の部屋に運んでください
そうそう 時田副社長や会社関係は二人で配りに行こう いいね
単独行動するとダブりが出てくるし あとダブりそうな所は
洋子にリストを渡しておいてくれるかな お願いします」
「そうですね 社内は完全にダブりますね 分かりました
早急に奈々子にリストを作ってもらいます」
「うん シンプルに自分が配りたい所でいいよ 考えると抜けるからね」
「はい 分かりました ありがとうございます」
「じゃ これは頂いていきます ありがとう お金は洋子が持ってくるよ」
「はい お願いします」

神山は次長室に戻ると洋子に事情を説明しグラスを見せた
「わぁー 素敵なグラスですね 良く出来ましたね」
「うん 翔も頑張っている様子だったよ それでこれを翔に渡して」
神山は引き出しから現金2000万円を取り出し洋子に渡した
「はい 分かりました では行ってきます」
神山はグラスを洗い冷蔵庫にいれ冷やした 洋子が戻ってくると
「ふふふ 杉田君ったら以前ならいいですって言っていたのが 今は
はい ありがとうございます って 大人になったわね」
「ははは あれも軍資金で調達したんだろう うん いいことだ」
神山はグラスを冷蔵庫から出し ビールを注ぐと綺麗な絵柄が浮き出た
「わぁー 何ともいえない美しさですね 素敵だわぁー」
「うん こうやって呑むと美味しいし 心が癒されるね」
「そうね このオリンピックが思い出されて良いと思うわ」
二人がビールを呑んでいると杉田が台車でグラスを運んできた
「おお ありがとう」
4人でグラスを下ろすと神山が
「翔 自分の分はどうした」
「ええ 後で良いですよ 残り物には福があるって」
「そうか そうしたら 2番を持っていきなさい そうそう奈々子ちゃんは
5番を持っていきなさい」
「えっ いいんですか?」
「うん いいよ 持っていきなさい」
杉田は化粧箱に書かれているシリアルナンバーを確認すると
「ありがとうございます 頂きます」
「先輩 常務 ありがとうございます 大切に使いますね」
「うん これからも頼むね そうそう奈々子ちゃん 少し休みなさい
仕事がきついのは分かるけれど 休むのも仕事だよ いいね」
「はーい 了解です」
「それから 翔 カタログを大至急作らせなさい 本式の印刷でなくてもOK
ほら この試作品を配るのに必要だろ カラーコピーでいいよ」
「はい 畏まりました 早速手配します」
二人が部屋から出て行くと神山は洋子に3番のグラスセットを渡した
「では プレゼントだ どうぞ」
「わぁー ありがとうございます」

神山は祐子や由紀枝に触発されお昼に お蕎麦が食べたくなり店内の
レストランへ食べに行った
おつまみのとりわさなどを食べながら
「ねえ 洋子 グラスをさ権田社長の所に持っていくの どうする?」