2013年8月6日火曜日

Vol.1123 百日紅 -5-66



大した情報も把握できていないじゃないか ねぇー」
「へぇー そんな部が出来るんだ そうね あなたの言うとおりよ
そんなの作る必要があるのかしら 理事を増やしてまで」
「そう そうだろ 理事を増やす事になるもの 時田さんに聞いてよ」
「まぁ ちょっと待ってね」
洋子は時田に電話をして理由を尋ねると
「うん ほら下の会計で部長が余ってくるんだ それで急遽考えたんだ」
「まぁー でも管理部だったら部下も何名か必要でしょ 勿体無いわよ
その分を各店で稼動させた方が メリットがあると思うわ」
「うん 分かっている でもな 降格は出来ないしな 悩んでいるんだ」
「その部長ってまだ理事じゃないでしょ」
「うん まだヒラ部長だ」
「そうしたら 会計の専門部長はどうなの おじ様」
「うーん それも考えたんだが 管理職から専門じゃ降格だろ うーん」
洋子も少し考えると
「そうしたら もう少し大きく捉えて 顧客情報管理部ってどうかしら
これは 外商部の顧客管理だけじゃなくて 色々な角度から情報を収集して
分析をするわけ それを売場や外商にフィードバックするようにすれば
作る価値があると思います」
「おっ そうかっ それはいい考えだ それなら本社に置いてもいいしな」
「ええ それに各店で余る部長を各店の情報管理部長にすれば良いでしょ」
「おお そうだな わかった そうしよう 早速堀田君に報告するよ
いやぁー 助かったよ ありがとう」
「いえいえ その方が責任あるお仕事だと思ったまでです」
「そうだな 外商ばかりではなく 顧客全体を考えれば凄い仕事だな」
洋子は電話を切ると神山に掻い摘んで報告した
「うん その方がいいね 特に銀座はね でも仕事量が半端じゃないな
大変な仕事量になるよ きっと 顧客の購買動向まで調べないといけないし」
「いいじゃない だって理事になるんでしょ そのくらいの仕事をしないと」
「まあ そうだね 翔や奈々子ちゃんのように休みなしで働かないとね」
「そうね でも 会計でそんなに人が余るのかしら、、、?」
「うん 先日 上野に行ったときの話しだけれどね 本社の会計と経理が
一つになるんだ 会計部が無くなって 経理部に吸収され スリムにする
そして各店と同じように経理部会計課にするって話しだよ」
「そうね 会計部って言っても 各店の確認作業だしね それはいい事ね」
「うん そんな事も考え合わさっているんだよ 今回の移動は」
「なるほど 人事を離れると 疎くなるわね ふふふ」
「仕方がないよ その分 こちらで頑張っているんだから」

神山と洋子が帰り支度をしていると時田から電話があった
「おお ワシじゃが」
「はい おじ様 急にどうされたの?」
「うん 先ほどの件だが 中止になった って言うより各店で情報管理部を
設けるようになった」
「へぇー 凄いですね」
「うん まあな まあそんな訳で 山ちゃんや洋子の人事命課参加はなし
って事で 連絡をしたまでじゃ」
「それで堀田理事から文章が来ないんですね」
「うん 彼も話していたが 各店で基盤を作り その後統括が良いだろう
って結論になった」
「そうですね その方がいいですね よかったですね」
「うん まあな ありがとう 助かったよ ハハハ」
「はーい それでは失礼します」
洋子が神山に報告すると
「へぇー まずは各店で基盤つくりか なるほどね まあその方が
情報を収集してどの様に活用するか まあ小手調べってところかな」
「そうね じっくり焦らずね ふふふ」
「うん 手探りで始めなければいけないから その方が動きやすいよ
本社にそれを作っても各店ではどこの部署が何をするか 慌てるだけさ
それだったら 最初から各店で作って 課長クラスで業務内容を
すり合わせた方が まだ効果的だよ うん」
「そうね 堀田さんも同じ意見ですって よかったわ」
「ははは さあ 夕飯はどこにしようか 何を食べる?」
「今日は早く帰るわ ごめんなさい」
「いいよ 昨夜だってゴルフの練習をしたし うん じゃ帰ろうか」
神山は洋子を自宅付近まで送るとスタジオに帰ってきた

祐子が居ないのでゴルフの練習に行っているのだと思いソファーで
寛いでいると祐子が戻ってきた
「あれっ 練習じゃないんだ」
「ええ ごめんなさい 実はゲストルームの置物を落として壊したんです」
祐子は今日の大掃除で置物を移動している時に 清掃スタッフが床に
置いてある置物に足を引っ掛けてしまい壊した事を話した
「それで不動産屋に届け出て 先ほど示談にして貰いました」